60期 会員 竹内 裕惠 |
弁護士になって、ようやく3年目を迎えました。その折、「新人弁護士奮闘記」の執筆依頼を受け、「新人弁護士」という理由で「奮闘」したことって何だろうと、自分の2年間を振り返ってみました。 |
経験が少ないから仕事がうまくいかない、時間がかかる、といったことは当然ありましたけれど、それらは努力でカバーすることも可能です。よくよく考えてみると、最も「奮闘」させられたのは、依頼者の視線に対してでしょうか。「先生、おいくつですか?」という質問(すなわち、あなた弁護士何年目?という疑問)や、「お若いのに合格されてすごいわ」という言葉(すなわち、頼りなさそうだけれど大丈夫?という不安)など、新人弁護士という理由で受けなければならない試練は、依頼者から与えられたものでした。 |
では、依頼者の疑問にどのようにこたえればいいのか?年齢や経験年数を詐称しても意味がありませんので、やはり仕事の内容で納得してもらうほかありません。時間をかけて信頼関係を得られるよう「奮闘」する毎日です。 |
弁護士になって「先生」と呼ばれるようになりましたが、最初の1か月間はものすごく落ち着かない心持ちでした。その後は「先生」と呼ばれて振り返れるようにはなりましたが、私のことを「先生」と呼んでくださる方は、ほとんどが私より目上でかつ社会経験豊富な方です。このことを思うと、依頼者の私に対する疑問や不安は、私に大事な事件を任せていることの裏返しではないかと感じます。だとすれば、依頼者の視線は「奮闘」すべき試練ではなく、新人弁護士にかけてもらえた期待のあらわれなのかもしれません。 |
いろいろと2年間を振り返ってきましたが、今後も周囲の期待に応えられるよう、「新人」でなくなっても頑張りつづけたいと思います。また、今までは事務所の諸先輩方やスタッフに助けられてばかりでしたが、微力ながら貢献できるようになれば、それは一人前の弁護士になれたということかな、などと考えています。 |