横浜弁護士会新聞

2010年3月号  −3− 目次

早期移転が望まれる横須賀支部
裁判所庁舎建替問題対策特別委員会 委員長 奥山 壽
 現在の横須賀支部は田戸台の風光明媚な場所にあるものの、庁舎の老朽化が進んでおり、しかも深刻な耐震構造上の問題も抱えている。また、エレベーターもなく、最寄の駅には各駅停車しか止まらず、かつ高台に位置していることから交通の便も悪く建替え及び移転が必要といわれていた。
 このような中、横須賀市において新港埠頭地区に用地を準備して裁判所移転の誘致がなされた。当会も平成19年12月会長声明で建て替え移転を要望し、同20年12月横須賀で開催された首都圏弁護士会支部サミットにおいても宣言がなされ、これらの要望に沿う形で、同21年4月新港埠頭地区に移転が決まった。
 移転先である新港埠頭地区は、京浜急行横須賀中央駅から平坦な道を横須賀新港に向かって徒歩約10分の場所にあり、法務局等公的機関が集中することとなるので、利便性、アクセスとも以前よりもずっと改善されることが期待される。
 移転時期は、本年1月の裁判所からの報告によると、本年度予算に概算要求され、可決された場合、平成22年、23年の二箇年で工事を実施する予定となっている。これまでの平成25年までに行うとの予定より早まり、平成24年には新庁舎での業務が開始されることが見込まれる。
 基本設計プランでのゾーニング案では、1階簡易裁判所、2階家庭裁判所、3階地方裁判所・事務局、4階法廷となっており、平面図は予算成立後提示される。予算成立が待たれる。

常議員会のいま 若手も頑張ってます!
会員 田井 勝(60期)
 常議員になって、そろそろ1年がたちます。
 就任当初、お恥ずかしい限りですが、私は「常議員会」がどういうものか、あまり理解していませんでした。
 昨年4月、はじめて常議員会に出席すると、周りには、重鎮の先生ばかり。私が一番若い期であり、毎回毎回、緊張の連続でした。
 常議員会で扱われる議案は多種多様です。会長声明や、意見書、当会会館の賃貸借契約書や、さらには法律相談のマスコットキャラクターの契約書作成まで。また、公設事務所の設置問題や、各種の意見書等、難しい議案のときは、長時間に及ぶこともあります。和やかでありつつ、みな真剣に議論を交わします。自分が常議員として参加することで、弁護士会の業務がどういうものになっているか、そして、弁護士会が世の中で担うべき役割が何かということを再認識できました。
 弁護士会だからこそ、発言できること、行動できることがあります。我々若い弁護士が、会の役割を認識し、会務に積極的に参加していかなければならないと思います。
 そろそろ次回の「分厚い」会議用資料が事務所に届くころです。今まで議案を把握することに精一杯で、議論にほとんど参加できていません。「弁護士会をよくしたいからこそ、みんなが一生懸命議論するんだ」と、事務所の元理事者の先生からそう言われたことがあります。
 若手の期の代表として、最終回までに少しでも発言できればと思います。

新こちら記者クラブ 耳に残る裁判員の一言
 ある裁判員裁判の判決のあと、たまたま喫煙所で一緒になった1人の裁判員経験者がもらした一言が、今でも耳に残っている。「異様なプレッシャーに押し潰されそうだった」。
 裁判員制度が始まり、間もなく10カ月が経とうとしている。神奈川県でもこれまでに9件の裁判員裁判が順当に行われてきた。裁判官を挟むように裁判員が座っている法廷の光景も徐々に見慣れてきたような気がする。
 制度はまだ始まったばかりだが、裁判官、検察官、弁護士、これら法曹関係者の法廷での振る舞いは、みな一様に変わってきた。裁判が民意を反映し、国民により開かれたものになってきていることは確かなことだと思う。
 しかし、法の素人である裁判員が「人を裁く」ことには、心身ともに身を削るような緊張感を伴うであろうことは、冒頭の裁判員経験者の言葉からも明らかだ。
 判決は、被告はもちろん、その被害者や遺族の今後の人生にも関わってくる。短い審理日程の中、裁判員がそうした疲労と重圧の下で、冷静な判断力と高い意志を保ちながら、裁判に臨むことが出来ているのか、若干の疑問も残る。
 神奈川県では今後、川崎市のアパートで3人が刺し殺された殺人事件など、重大事件の裁判員裁判も待ち構えている。死刑の求刑が予想される裁判に、裁判員はどのような思いで臨み、どのような判断を下すのか。注目したいと思う。
 (NHK横浜放送局 石川 陽平記者)

理事者室だより 理事者の仕事はスポーツサークル?
副会長 二川 裕之
 今年度の理事者は野球部出身者が多いが、私は、大学時代、オリエンテーリングのサークルに所属していた。オリエンテーションとよく誤解されるが、れっきとしたスポーツである。
 理事者の仕事をしていると、両者が似ていることに気付く。対外試合の際には、試合会場の設営、参加人員の確保、当該試合に関するルール制定などの段取りが不可欠で、そのような裏方的な仕事は理事者と共通である。また、このスポーツはタイムレースであることに加え、夜のコンパも連日連夜行われるので、理事者と同様、「昼夜を問わない」体力が必要だ。また、他大学の同好サークルとの交流も多く、いろいろな人と出会い、なおかつ連携・調整をしなければならない点も理事者と似ている。地図とコンパスを駆使してゴールまでのルートを検索しなければならないところは、弁護士会のあるべき方針を常に模索している理事者の姿と重なる。さすがに9時間にも及ぶ理事者会まではなかったが(笑)。
 私は、サークルで新人勧誘に関して不滅といわれた記録を打ち立てたのであるが、他方、理事者として何を成し遂げたのかと振り返ると甚だ心もとない。
 そうではあってもここまで何とかやってこられたのは、ひとえに皆様方のご支援・ご協力の賜物である。この記事が出るころには現理事者は完全に引き継ぎモードとなり自然と顔がほころんでいると思うが、感謝の気持ちだけは忘れないでいたいと妙に殊勝に思うところである。

前のページへ 次のページへ

<<横浜弁護士会新聞メニューへ