4月1日から「ひまわり中小企業コールセンター」による中小企業を対象とした全国規模の相談業務が開始される。相談者が全国共通の電話番号(0570−001−240)に電話すると、局番によって自動的に各地域の単位弁護士会に振り分けられ、その窓口が相談受付業務を行うという仕組みである。単位弁護士会では、予め中小企業問題に対応可能な弁護士をリスト化したり、当番日を決めたりしておき、順次相談者を割り振っていく。割り振られた弁護士は、原則として当日中に相談者に連絡を取り、必要であれば後日アポを取って相談に応じることで、迅速に中小企業のニーズに対応することを目指す。相談料については、開始後6か月間は初回30分までは無料とする予定である。 |
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中小企業は、我が国の企業の9割以上を占め、その経済基盤を支えると共に、地方においては経済活動の主体としての役割を担っている。 |
ところが、これまでは多くの法的な問題を抱えながら、弁護士が法的サービスを十分に提供できて来なかったのが実情だった。日弁連が行ったアンケートでも、中小企業の8割が法的問題を抱えていると回答しながら、弁護士を利用した経験のない企業が約半数に及んでいる。経営者側は、「弁護士は裁判等の法的手続きを行う専門家」「事が起きなければ相談する相手ではない」という意識が根強い。 |
弁護士の業務は、社会の複雑化、経済活動のグローバル化等によって、訴訟に限らず、紛争の予防やリスクマネージメントへの対応にまで及んでいる。日弁連は、昨年11月、弁護士による法的サービスの利用を促進し、その為の組織的かつ全国的なサービスの提供体制を構築することを目的として「日弁連中小企業法律支援センター」を設置し、弁護士へのアクセス障害の解消や、中小企業問題に対応できる弁護士の育成に取り組んでいる。コールセンターは、いわばその目玉とも言える取り組みである。 |
各単位会では、受付窓口の設置、適切かつ迅速に対応するためのシステムの構築、弁護士のリスト化、中小企業問題に対応可能な弁護士の育成、といった組織作りが急務となる。 |
当会では、トライアル期間として、2月1日から12日まで、先行してコールセンターの相談を実施した。合計で24件の相談があったが、債権回収や労働問題、更には、事業承継や融資関連の相談など具体的に紛争となる前の段階での相談も多く寄せられ、相談者にも好評だった。今後は、当会でも、コールセンターの広報や担当弁護士を確保する方法・研修といった点が課題となろう。 |
コールセンターは、中小企業からのハードルを下げ、弁護士を積極的に利用して貰うための初めての全国的な試みである。中小企業の経営者には是非この制度を活用していただくと共に、会員の理解と協力をお願いしたい。 |
(業務改革委員会 商工部会長 飯田直久) |