横浜弁護士会新聞

2009年4月号  −3− 目次

論壇 債権法改正プロジェクトチームの設立を願う
 民法(債権法)改正の動向については、昨年6月号本欄での林薫男副委員長の概説や日弁連ニュース等で既にご存じの向きも多いであろう。判例タイムズ誌上で加藤雅信教授を代表とする民法改正研究会の「日本民法改正試案・仮案(平成21年1月1日案)」が公表されたこともあり、どのような方向で改正がなされるのか予断を許さないところとなっている。
 改正に向けての今後のスケジュールは、3月末に検討委員会の改正試案が発表され、4月29日のシンポジウムを経て、法制審にかけられる予定である。法制審の段階で日弁連推薦の委員・幹事が選任され、また、日弁連内に委員らを支援するバックアップチームが編成されて、当会からもその委員を送り出すことになると思われる。
 ところで、学者と法務省関係者のみで構成された検討委員会の試案が事実上法制審での審議対象とされるであろうが、そうした状況に対する批判は正当であるし、我々は、それが立法や法改正の際の常態となりつつあることを自省するとともに、現状を分析し、対策を講じていかなければならない。
 しかし、それはそれとして、我々は、これを機に、実務家の立場から、民法の改正について積極的に意見を述べ、対案を示していかなければならない。
 司法制度委員会は、意見書提出を最低限度の目標として、改正検討委員会の議事録をもとに調査・研究を続け、内田貴法務省参与(前東大教授)の講演会を企画するなどしているものの、少人数での活動に留まることから、残念ながら、なしうることに限界があるのが実情である。
 債権法改正については、商法、破産法、消費者契約法その他との整合性を図り、将来のあるべき生活関係をも想定した検討がなされなければならないが、そのためには、幅広い知識と豊富な経験、柔軟な思考と膨大なエネルギーが必要である。
 債権法改正の重要性とその影響の大きさに鑑み、当会としても、「債権法改正プロジェクトチーム(PT)」を立ち上げ、会員の総力を結集して対処していくべきではなかろうか。その活動の中心は、バックアップチーム員の支援と意見書作成となろうが、一般会員に対する情報開示、研修の企画等も重要な活動となる。その重要性とボリュームからして、PT員の負担は大きなものとなろうが、得るところもまた少なくないはずである。そして、1月9日に催された内田貴法務省参与による債権法改正講演会(中継)は、前日の案内にもかかわらず37名の参加者を数え、幅広い層の会員が関心を示していることからすると、PTについても、会員の広範かつ積極的な参加と協力を期待できるのではないかと思われる。勿論、司法制度委員会としても、その中核を担っていきたいと考えている。
 既に、大規模単位会においてはPTが設立され、あるいは予定されているようであるが、他会の動向に倣うということではなく、当会として、主体的かつ積極的に対応していくべきである。
 「債権法改正PT」の早期設立を切に願うものである。
(司法制度委員会委員長 佐藤 正幸)

新こちら記者クラブ 傍聴席のモラルを問う
 ちょっと昔の話題で恐縮だが、08年9月のこと。国税徴収法違反罪に問われた夫婦に対し、裁判官が執行猶予付き判決を言い渡して閉廷後、能面の「翁」に似た男性が傍聴席からのっそりと歩み寄り、夫婦に罵声を浴びせた。「税金を払わない奴は非国民だ。死んでしまえ」。
 有罪判決に憤懣やる方ない被告も「じゃあ、あなたは幾ら納めているの? 貴方よりは余程、国に貢献している」と言い返し、見るに堪えない口喧嘩に発展した。
 司法を担当するようになって1年が経つ。裁判員制度の開始を控えて関心が高まっているためか、傍聴希望者も日増しに増えているようだ。狭い法廷では、お目当ての裁判を傍聴するため、その前の公判から座席を確保している人もおり、熱心さに感心させられる。
 他方、裁判所からは、マナー悪化に頭を痛める声も聞こえる。件の「翁」だけでなく、傍聴席で飲酒する人、新聞を広げる人……。居眠りをして退廷を命じられる人も何度も目撃した。
 翻って我が身。流石に居眠りは無いにせよ、支局から原稿の問い合わせが来る度、携帯電話を片手に席を立つなど、決してお行儀が良いとは言えまい。
 報道に携わる者、会社の看板を背負って取材している者として、恥ずかしくない立ち居振る舞いを心掛けたい。
 …と言いつつ、この原稿を書いている今も、着信を知らせようとブルブル震える電話の液晶画面には、「横浜支局」と表示されている。
(読売新聞 松山 翔平)

常議員会 議長・副議長の退任挨拶
常議員会議長 星野 秀紀
若手の意見も聞きたい
 就任の挨拶で、若い期の常議員にどんどん意見を述べてもらいたいと書きました。4月や5月の常議員会では、若い期の委員も指名して意見を求めたりもしていましたが、議題が多くなり、時間の制約もあって、意見が出ないようなときに若い期の委員を指名すると、後ろにいる執行部や記録を取っている副議長に睨まれ、議事進行の圧力に屈してしまうことも多くなりました。残念なことです。しかし、論点は漏らさず議論でき、議事の結果にも誤りはなかったと思っています。
 この原稿を書いている時点では、あと2回常議員会があります。現時点での皆勤(全回出席者)は8名です。例年と比較して多いのか少ないのかわかりませんが、約4分の1の委員が全回出席とはうれしい限りです。
 
常議員会副議長 飯田 直久
議論沸騰も平穏に幕
 今年度の常任委員会は、小委員会を設置するような重大問題が起きることもなく、平穏に幕を閉じそうです。
 さて、副議長の主な仕事といえば、常議員会速報の発行です。当初は「PCを持ち込んで当日作ってしまえ」と意気込んでいたものの、議長の絶妙なコントロールのお陰で、議論が沸騰、意見も多岐に渡り入力が追いつかない。なるべく解り易く、雰囲気も伝えたい、ちょっとコメントも入れたい等とパーフェクトを求める内に、「速報」は「遅報」となり、「休報?」となってしまいました(深く反省)。とはいえ、一部常議員とともに、私も皆勤賞。恒例の議長からの贈り物は、お手製のジャムとか。朝食のトーストが楽しみになりそうです。

理事者室だより12 終わりよければ全てよし
副会長 加藤 勝
 小田原城址の満開の桜も昨年は心なしか色あせて映った。でも今年はまるで満面の笑みのように鮮やかに映るに違いない。さて、20年度最後の理事者室だよりは奮闘の陰での苦労を思い出すまま少し。
 日に何件もの会合が重なり、飛ぶように移動し、溢れる行事をこなしてきた武井会長。でも、ある時足早に会場に急ぐ途中でふくらはぎの肉離れ。
 中締め役としていつも至極の話芸で宴席を締めてきた小賀坂筆頭。でも、中締め不要の理事者合宿では酔って会長邸(伊豆)の床に寝て動かず、工藤・加藤が手足を持って寝床まで運ぶ。
 体質上酒を受け付けないが、宴席には常に参加する律儀な川島副会長。でも、宴会シーズンに体調を崩し、トイレでしばらく動けなくなったことが何度か。
 豪胆にみえながら、実は細やかな心配りで気疲れも多かった齋藤副会長。でも、ある時衝動的にふらふらしていた野良猫を拾い、結局自分で飼うことに。猫がわが身に重なったのだろうか。
 刑事、ITなど難件課題にあますところなく対応し、関弁連地区懇では日弁会長をも感激させる伝説のスピーチをした工藤副会長。でも、5月の胃カメラに続き、原因不明の手首の痛みに耐えかねてまた病院へ。
 そして私加藤は臨時総会を終えた後も何とか生きている。
 皆様1年間本当にありがとうございました。そして新理事者の方々、これからの1年をどうか健康でお過ごしください。

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