横浜弁護士会新聞

2008年7月号  −3− 目次


事務所探訪(7) 川崎総合法律事務所編 様々な事件を処理するための事務所としての工夫
 川崎駅から東に伸びる大通りを進み、複雑に交差する立体歩道橋を渡ると、そこに今回ご紹介させて頂く川崎総合法律事務所がある。同事務所は所長である高柳馨会員を始め7名の弁護士と17名の事務員で構成されており、川崎の中では規模の大きい事務所の一つである。高柳会員に事務所事件の特徴や事務所運営上の工夫等についてお話を伺った。
あらゆるジャンルの事件に対応
 同事務所はその前身も含めると、川崎の地で約10年間活動を続けて来たが、事務所に相談に来る人や事件にはどのような特徴があるのだろうか。「種々雑多ですね。弁護士によって成年後見やDV事件を積極的にやっていたりとそれぞれ個性はありますが、事務所としては特に専門を設けていないんですよ。個人のお客さんもいれば法人もいて、本当にごく普通の事務所です」。
事件の種類によって担当事務員を決定
 様々な依頼が舞い込む同事務所では、事件を担当する弁護士が決定すると、その事件の種類によって担当の事務員が自動的に決まるというシステムになっている。「クレサラ事件担当の事務員、一般民事担当の事務員、管財事件担当の事務員というのが決まっていて、しかもどの弁護士を担当するかも決まっているんです」。
 このシステムにしてからは、特定の事務員に仕事が集中してしまうといった事態も少なくなり、業務が円滑に進むようになったという。そして、この担当を決めるのは弁護士ではなく事務局であるという。「弁護士や事件との相性というのもあると思いますし、事務局自身が仕事をしやすいように試行錯誤しているところなんです」。
 担当する弁護士と事件を事務局自身が決定することにより、個々の事務員が主体的に事件と取り組むようになり、これが結果として円滑な事件処理を導いているようである。また、数か月すると担当事件を交代することになっており、これによって事務所全体の業務内容をそれぞれの事務員が把握することができるとのことである。
情報の共有・管理
 57坪の事務所スペースの中、弁護士は各々の個室を持ち、その中で執務している。大所帯の事務所では、全弁護士のスケジュールを所内全体で把握するのは難しいところだが、同事務所では弁護士のスケジュールをパソコンで管理することにより、事務局や他の弁護士が互いにスケジュールを把握できるようなシステムを採っている。
 また、事務所全体での会議を月1回開く他、弁護士だけの会議も行っており、事務所運営上の問題についてお互いの意見を出し合い、解決を図っているという。

理事者室便り3 必読「事務局紹介」
副会長 齋藤 佐知子
 理事者に就任して早2か月。通常総会も提出した議案全てをご承認いただき、無事終了しました。この2か月間、日々の会務をこなすうちにあっという間に過ぎました。私の机周りの物ニャンコ(本紙1月号)も少しずつ増え、隣の小賀坂筆頭副会長と工藤副会長の机まで進出するのも時間の問題です(ウソ)。理事者に就任してまず驚くのが、膨大な決裁書類の数です。弁護士会で受発信する文書全てが事務局の責任者を経て理事者に回ります。理事者就任初日が日直担当だった私は、机の上に積み上げられた多量の書類のファイルを前になすすべもなく茫然と立ち尽くしました。
 ところで、弁護士会の活動が活発になり、会員が増え、様々な制度が創設されると、それに伴い事務量が激増します。私の担当は事務局運営室ですが、弁護士会事務局の職員は、弁護士会の社会的使命を十分に理解し、激務をこなしています(必読「事務局紹介」=本紙3〜5月号)。理事者を始めとして会員が多種多様な問題に取り組めるのも、優秀かつ献身的な事務局の支えがあってこそと有り難さを痛感しております。また、今年は、来年に控えた裁判員裁判の実施、被疑者国選の拡大などに向けて万全の態勢を整える準備を進める一方、6月の関東十県会50周年記念行事と9月の関東弁護士会連合会定期大会と大きな行事が控えております。会員の皆様には多大なるご理解・ご協力のほど御願い申し上げます。

新こちら記者クラブ 取材の断り方
 「先ほどの裁判についてお話を聞かせてもらえないでしょうか」
 昨年のある日。母親が子どもを殺害し自殺を図ろうとした事件の初公判後、法廷の外で待ち構えて、2人の弁護人に話し掛けた。
 ところが2人とも無視。いくら言葉をかけても、目すら合わせてくれない。いつのまにか私は透明人間にされてしまったのかと錯覚するほど。2人にとって、私は壁のようだ。
 しつこく話し掛けると、年長の弁護人が「話せません」とぶっきらぼうに言い放って、足早に消えていった。
 他社の記者とともにぼう然とした。「壁」が私だけではなかったのは救いだが、最初から無視せずに「取材はお断りします」ぐらいのことを言えないものか、と不満が残った。
 こう書くと、「弁護士は取材に慣れていないから」とか「記者が失礼だったんだろう」などの反応がある。
 記者に問題があることだってあるし、それは否定しない。ただ取材の断り方についてはそれなりに考えておいて損はないはずだ。
 個人的な提案としては(1)無視しない。誰だって無視されれば嫌な気持ちになる。(2)立ち止まって名刺交換する。相手が誰なのか知ることは対人関係の基本。(3)取材拒否の理由ははっきり言う。記者は理由が分からなければ食い下がる性分です。
 一番良い方法は、取材対応について記者に逆取材することかも…。そのために記者クラブを利用するのも悪くないのでは?
(東京新聞 小川 慎一)

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