国際交流委員会委員 本多 麻紀 |
昨10月20日(金)から24日(火)にかけて、当会国際交流委員会では中国の上海・杭州に総勢20名の視察団(団長 谷口隆良委員長)を派遣した。 |
中国の法律家と交流を図るため、まずは横浜の姉妹都市である上海市の律師(弁護士)協会と協定を結ぶことを目標に定めた。今回の視察は、その足がかりを得るためのものである。 |
事前準備として、横浜国立大学の荒木一郎教授のご協力で、全会員向けに「連続中国法セミナー」を5回にわたり開催し、満を持しての出発となった。 |
最初に訪問した杭州では、杭州市西湖区人民法院・浙江省律師協会・杭州星韻律師事務所を訪問した。杭州は上海に近く、当委員会の中山秀行会員がたびたび訪れていることから、訪問先に加えた。大都市上海だけでなく、地方都市の法律家と交流できたのは大変良い経験となった。 |
上海では、今回の視察の最大の目的である上海市律師協会を表敬訪問したほか、上海第二中級人民法院、上海検察法院、錦天城律師事務所、あさひ・狛法律事務所の上海支店を訪問した。 |
上海で最も印象に残ったのは上海第二中級人民法院である。1700万人都市の上海には、高級法院のほか、2つの中級法院と19の基礎法院がある。法廷は講堂のように広い上、裁判官席の両脇に大型スクリーンまで設置されており、大変立派であった。 |
ここでは、専門通訳の音声ガイド付きで民事訴訟の第1回期日を傍聴した。コンピュータシステム売買に関する事件で、簡単に結論が出せる内容ではなかったが、第1回期日で、争点整理の上、証拠の提出・取り調べまで一気に行って結審してしまい、次回に判決言渡しだという。中国の民事訴訟法では、事件受理後7日以内に事件を登録し、原則として、事件を登録してから単独審議事件では3か月、合議事件でも6か月以内に審理を終結しなければならないと定められている。裁判所の設備・審理の内容ともに、日本との違いに驚かされた。 |
今回の視察では、中国の法務事情を広く見聞でき、強行日程であったが大きな成果が得られた。 |
横須賀支部 会員 望月由佳子 |
支部弁護士待合室の行方 |
当支部は、昨年10月から若手新入会員3名を迎えて総勢32名となり、平均年齢も一挙にダウンして、にわかに活気を呈している。 |
そんな当支部における最もホットな話題といえば、支部会館問題であろうか。 |
現在、当支部には支部会館はなく、裁判所横須賀支部庁舎内の弁護士待合室に弁護士会の職員が常駐し、弁護士会の備品を設置して使用している状況である。 |
ところが、この度、裁判所より、「裁判員制度が落ち着く頃までに、弁護士待合室から弁護士会事務機能を移転させるように」との要請があった。 |
従前から、裁判所より、「現行の使用形態には問題がある」との指摘があったのだが、裁判員制度の余波が思わぬ形で当支部にも訪れた格好である。 |
弁護士待合室以外にも、当支部では、月に1度、支部の検討課題を討議するために裁判所の一室を借りて支部昼食会を開催しているから、今後は、支部会館設置を本格的に検討することになろう。 |
裁判所外に支部会館を作ることについては、予算の問題もさることながら、適当な候補地があるか、立地によっては、弁護士の利用率が低くなることが懸念され(他支部でも同じような問題を抱えていると聞く)、今後、議論を呼びそうである。 |
私としては、期日を終えた後に、職員さんが入れてくれるお茶の一杯、諸先生方との語らいのひとときが楽しみなだけに、支部会館の行く先が早く決まるよう、切望している。 |