横浜弁護士会新聞

2006年5月号  −3− 目次

理事者室だより
副会長 延命 政之
 このコラムは、一年間5人の副会長が交代で執筆させていただきます。文字どおり理事者室で時々刻々起きていることを、副会長の眼をとおしてお伝えします。今回は、私たち理事者の仕事場に関する報告です。
 理事者室は弁護士会館の2階にあります。一番奥に会長の席があり、それを囲むように副会長の席があります。理事者室の隣には会議室兼応接室があり、理事者会は週に一度ここで開かれます。私は、副会長になるまで、この理事者室に入ることを極力避けてきました。学校で言えば校長室にあたるこの部屋は、劣等生の私にとって近寄り難い場所でした。
 理事者室を訪れる人には、優しい事務局の皆さんを除くと、旧理事者が多いように思います。以前会長・副会長だった会員が弁護士会の会務の中核を担っていて、それらの会員が現理事者である私たちと会務の運営について打ち合わせをするために訪れるわけです。
 若手会員の支援を公約にしている今期の理事者としましては、若い会員が抱えている問題について、会員の皆さんの意見を聞きたいと考えています。理事者室には、ウィークデイの午後日直の副会長が交代で常駐していますので、足を運んでみてください。若手の皆さん、大歓迎ですよ!

あなたも学校の教壇に!! 法教育センター開設
 3月27日、ロイヤルホール横浜において、当会法教育センター開設記念式典・記念講演会が催された。
 法教育とは、法律専門家ではない人々が、法や司法制度、これらの基礎となっている価値を理解し、法的なものの考え方を身につけるための教育をいう。当会では、司法教育委員会が中心となって法教育に取り組んできた。法教育センターは、これまでの活動をより継続的かつ組織的に実施し、その内容を拡充させることを目的として、委員会活動から独立した機関として立ち上げられたものである。法教育センターの活動内容は、(1)法教育を実施するための講師のあっせん(出前授業、模擬裁判指導等)(2)裁判傍聴会の企画運営であり、設立を機に、法教育が広く実践されていくことが期待されている。
 式典は、当会会長の開会の挨拶に始まり、来賓である、横浜地方裁判所長、横浜家庭裁判所長、横浜地方検察庁検事正の挨拶が続いた。
 続いて、横浜国立大学教育人間学部北川善英教授、当会会員でもある神奈川大学法科大学院間部俊明教授による記念講演が行われた。北川教授は、「法教育の重要性と法曹界への期待」と題して、教員養成の現場に携わる自らの経験談を交えつつ、教育現場に関わる法律家に望む姿について、幅広く講演を行った。続く間部教授からは、「平成の司法改革と法教育」と題して、一連の司法改革の流れの中に法教育を位置づけた上で、わが国の法風土に沿った法教育の確立の必要性を訴える講演が行われた。
 式典終了後は、開設記念パーティーが催され、当会会員、教育関係者、研究者らの間で法教育についての活発な意見交換が行われ、記念行事は盛会の中終了した。
 今回の法教育センターの開設により法教育活動の益々の発展が期待されるところである。

こちら記者クラブ 汲み取る視点
 4月から司法担当の記者になった。04年に入社し、配属された川崎支局では1年間、地裁川崎支部を担当していたが、その頃と比較して、週ごとに更新される開廷表の分厚さにまず驚く。また4月には早速、三菱タイヤ脱落事故や保土ケ谷事件の判決があるなど横浜では全国の耳目を集める裁判も多く、期日のチェック、必要書類の請求、予定稿の準備などの膨大な作業量にすでに目がくらみそうだ。
 だが、不謹慎に聞こえるかもしれないが裁判は「おもしろい」。できるだけ傍聴をしながら興味をもって取材している。特に刑事では発生段階ではわからない犯行の手口や動機が示され、容疑者や言葉や表情を目の当たりにすることができる。場合によっては被害者や関係者も同じ空間に身をおく法廷は、喜怒哀楽が凝縮した現場だ。
 式典は、当会会長の開会の挨拶に始まり、来賓である、横浜地方裁判所長、横浜家庭裁判所長、横浜地方検察庁検事正の挨拶が続いた。
 市民が刑事裁判に裁判員として参加する裁判員制度のスタートが3年後に迫っている。裁判に市民が参加することで司法への関心が高まることは、どうすれば犯罪の悲劇が繰り返されないようにと社会全体が考える契機にもなるのではないだろうか。
 記者の仕事も同じ延長線にあるとおぼろげながら思う。罪状認否や判決など事実関係をしっかりと書くことは当たり前だが、分厚い開廷表の一行一行に潜む人々のさまざまな思いを汲み取り、公判では耳をしっかりと立てて、どうしてその事件が起こったのか考える鍵を探したいと思う。
(毎日新聞・横浜支局 野口由紀)

常議員会レポート平成17年度 第14回(平成18年3月24日)
 今回が本年度最後の常議員会となった。本年度の常議員会は、出席率も高く最後まで熱心な討議がなされた。特に、本年度は、綱紀・懲戒事務の滞留問題という重大問題が発覚し、臨時常議員会を含め6回に亘り審議がなされ、常議員を中心とする調査委員会、臨時総会の決議案起草チームが編成されるなど、常議員会の重要性を認識させられた1年であった。
〈議 案〉
 2名の当会入会申込者があり、入会を承認した。両名とも東京弁護士会からの登録換えである。
 前回から継続案件となっていた記録等管理保存規則一部改正の件につき、承認した。前回委員から質問があった弁護士会照会関係書類の保存範囲等の説明を受け、承認したものである。
 横浜市からの「震災時産業ワンストップセンター」の開設・運営協力依頼につき協力することを承認した。本センターは、弁護士会との関係では、災害時、法律相談等のため、弁護士を派遣することを内容とするものである。また、このための体制作りをすることを確認した。
 横浜弁護士会委員会委員等選任の件につき、下記のとおり選任した。
(1) 財務室室員につき5名が選任された。内4名は留任、前田一会員(41期)が新任である。
(2) 事務局運営室員につき、5名が選任された。内4名は留任、三浦修会員(41期)が新任である。
(3) 人事委員会につき、改選に伴い10名が選任された。内5名は留任、新任の5名は、佐伯剛(22期)、(37期)、(42期)、服部政克(48期)、藤田敏宏(43期)各会員である。
 横浜地方裁判所委員会委員として、惠崎和則会員(33期)を推薦することを事後承認した。中村れい子会員(26期)の退任に伴い、推薦したものである。
 1会員からの会費免除の申請につき、これを承認した。同会員は77歳であるが、申請は、病気を理由とするものである。
 神奈川県行政書士会が平成18年度ADRセンターを設置することに対して内容証明郵便を発信する件につき、承認した。同会は、(1)著作権に関する紛争(2)自転車交通事故に関する紛争(3)相続に関する紛争の分野につき、ADR機関を設置しようとしているが、行政書士法に定められた業務範囲を逸脱していること、弁護士法72条に抵触すること等の理由で、問題であることを指摘するものである。
 「新たな国選弁護人選任手続に係る刑事訴訟法規則改正に関する意見」を日弁連に提出することを承認した。同意見は、「新たな国選弁護人選任手続及び即決裁判手続の理事会での審議について(依頼)」につき、日弁連の検討資料として意見を述べるものであるが、刑事訴訟規則29条(国選弁護人の選任)の改正、日本司法支援センターによる国選弁護人の候補の指名に関し、同センターの恣意的運用を危惧する観点から意見を述べるものである。
〈報告事項〉
 理事者から、12件の報告があったが、主なものは以下のとおりである。
 日弁連/綱紀委員会委員等の人事推薦をしたこと。
 当会パート職員の給与につき、待遇改善をしたこと。
 高齢者・障害者権利擁護の集い実行委員会委員を選任したこと。
 横浜市包括外部監査人に仁平信哉会員(38期)が選任される予定であること。

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