横浜弁護士会新聞

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2006年1月号(2)

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125周年記念行事 ─ 歴史から学ぶ ─ 多数の市民が参加
 昨年12月3日、当会会館において『横浜弁護士会125周年記念行事』が開催された。
 第1部では、歴代会長の紹介に先立ち『パワーポイント画像で見る横浜弁護士会の125年』と題して当会の歴史を横山裕之会員の解説と共に写真や資料で振り返った。戦前編では、明治13年の横浜代言人組合結成の広告、関東大震災前後の横浜地裁、派閥『緑会』の懇親会の様子などが、戦後編では、BC級裁判日米弁護人の江ノ島懇親旅行、県民集会、坂本事件などの様々な写真や資料が紹介された。
 第2部では、三谷太一郎東大名誉教授により『国民の司法参加−その今日的意義』と題した問題提起がなされた。同教授は、裁判員制度の持つ意義として、法曹の健全性を保つ為にも能動的人民としての国民の存在が重要である等論じられた。その後当会委員より、県内での陪審裁判無罪事例報告、陪審裁判の無罪率他の統計、読売新聞における陪審裁判の記事数の変遷、県内における拷問事件等について報告がなされた。
 第3部では、三谷教授、利谷信義東大名誉教授、TVKキャスター中村行宏氏、当会清水規廣会員をパネラーとして、昭和3年に施行されわずか15年後に停止された『陪審法』を検証することによって、裁判員制度をよりよいものとするためのパネルディスカッションが間部俊明実行委員長のコーディネートにより行われた。陪審制度衰退の原因として、三谷教授は政党政治の崩壊による政治的牽引力の喪失について、利谷教授は制度の維持、発展をおこたった在野法曹の責任を指摘した。裁判員制度について、中村氏は裁判員に課せられた守秘義務を緩和すべきと主張し、清水会員はいわゆる『お任せ司法』からの脱却と法教育の重要性を指摘した。我々弁護士が裁判員制度を維持発展させるための重要なポイントであることに責任の重さを感じさせられた。
 市民や法曹関係者ら約80名が参加したこの企画は、会場からの質問も多く出され、終了時刻を大幅に超過して大盛況のうちに幕を閉じた。

水原地方弁護士会と3回目の交流 法科大学院の実情に質問が集中
 昨年11月25日、大韓民国水原地方弁護士会の公式訪問団15名が、当会を訪問した。平成15年12月26日に第1回の訪問を受け、平成16年10月15日には当会から水原を訪問しているので、今回は3回目の交流会ということになる。
 訪問団は、横浜地方裁判所、横浜地方検察庁に表敬訪問した後、当会館において、セミナーを共同開催した。元々、韓国においては、我が国と同じように、司法試験制度があり、法学部の卒業生に限らず司法試験に合格した者が司法研修所で研修を受けて、法曹三者になる制度をとっている。しかるに、一昨年10月、大韓弁護士協会が反対の立場を示している中で、法科大学院制度の導入が国会で決定された。そこで、当会からは、神奈川県内における法科大学院に対して当会が組織的に支援している状況を報告し、水原地方弁護士会は今後どのように取り組む方針であるかを議論した。
 このように、両国の司法制度には共通点が多い上、司法改革の推進全体から見ると、捜査の可視化や行刑改革などの分野では韓国の改革の方が遙かに進んでいる。従って、両会の交流は、友好親善に加えて相互に学び合うという意味でも、極めて重要であり、継続的に行っていく意義がある。
(三木 恵美子会員)

専門実務研究会紹介(6) マンション法研究会 周辺プロからの厳しい目
河住 志保 会員
 どうやら世の中はマンションブームである。裁判所の周辺のオフィス街にも大型のマンションがどんどん建っている。新聞には毎日のように都会的でスタイリッシュな高層マンションのチラシが折り込まれ、家賃を払うよりローンの方が安いからとマンション購入に踏み切る若い世代の人も多い。マンションを終の棲家だと考えて購入するファミリーも増えている。
 居住スタイルの一つとしてもはや当たり前となりつつあるマンション。しかし、マンション法をきちんと勉強したことのある法律実務家は決して多くない。また、わが国ではマンション自体の歴史も浅く制度の不備や法の穴も多々存在し、判例の集積が問題解決の指針となっている側面もあって、まだまだ発展途上の分野であるといえる。
 他方で、平成13年に「マンションの管理の適正化に関する法律」の施行により、マンション管理士という国家資格が創設されたり、管理会社の質の向上が図られたりして、マンションに関わるプロのレベルは高くなっている。マンションの法律問題に弁護士が関わる際も、理解が不足したままの場当たり的な対応では、周辺のプロからはすぐに「この弁護士はよくわかっていない」と厳しい目で評価されてしまいそうである。
 マンション法研究会は、そのような社会状況の中で、従前から当会会員有志によって開催されていた区分所有法勉強会を引き継いで、その発展形として発足した。現在当会会員100名が登録しており、年間6回を目処に研究会を実施している。昨年5月の発足研究会では、タイムリーな話題として、震災後10年経過した神戸の震災マンションに関する報告がなされた。その後、現在はマンションの基本法である区分所有法のポイントを押さえるため、条文を読み進めているところである。入門者はもちろん、比較的多くマンション事件を手がけている会員も参加しているので、各自が日々の業務をこなす中で感じている疑問について発言し、意見や経験などの情報交換をする場ともなっている。今後は、事例や判例研究なども織り交ぜながら、実務に生かせる知識を皆で身に付けていきたい。
 10年後には築30年を超えるマンションが100万戸に達するといわれる。マンションに関わる法律相談や訴訟は今後も増加し、ますます複雑化していくであろう。その際に弁護士が的確なアドバイスのできる頼もしい存在であるためにも、興味のある方は是非参加していただければと思う。

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