横浜弁護士会新聞

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2005年6月号(3)

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司法改革仕上げの年に貴重な経験 日弁連副会長の1年
清水 規廣 会員
 日弁連副会長の任期を終え、はや1か月が過ぎた。しかし、霞が関までの定時出勤の癖はなおらず、朝6時15分になるとまだ目覚めてしまう。今になって毎日緊張して過ごしていたことを痛感する。
 当会から選出された副会長として重責を十二分にまっとうできたか、いささか心もとない。しかし、私としては3月31日午後5時にゴールを切るまで全力疾走したつもりである。
 昨年度は司法制度改革法案の仕上げの年であった。4月以降成立した司法制度改革関連法案は、裁判員法、刑訴法改正、知財高裁設置法、判事補検事の他職経験法、弁護士法改正、労働審判法、総合司法支援法、行政事件訴訟法、ADR基本法、裁判所法改正(司法修習生の給費制廃止)などであった。
 また、これに関連して民法・不動産登記法・破産法・信託業法等の全面改正、犯罪被害者等基本法、刑法改正(凶悪犯罪の重罰化、集団強姦罪新設、公訴時効の延長等)、民訴法改正(間接強制、最低売価等)などの重要法案も成立した。
 弁護士費用敗訴者負担法案を廃案にしたことも加えて、多くの歴史的な法案の検討作業や成立過程の最前線に立つことができた。
 国会から参考人に呼ばれて日弁連の意見を述べたのも2回に及んだ。
 いずれもが貴重な経験となった。
 目を通さなければならない書類の多さ、発言する一言の影響の大きさ、悩ましい問題に決断を下すことの難しさ等、副会長室では未経験のことばかりであった。しかし、国会、最高裁、首相官邸、政党、経済団体等恐れ多い建物にも入らせてもらい、いわゆる高官の方々に日弁連の考えを述べさせて頂いたし、都内や地方の有名料亭などで美味しいものを堪能した。また、理事会や正副会長会で皆が納得するまで議論をすることの素晴らしさも味わった。
 過日、何人かの先輩から私を副会長にとの声を頂戴した時、他に適任の方々がおられると逃げ回った私ではあったが、今にして思えば本当に楽しい1年であった。私をバックアップして頂いた多くの会員の方々に深謝する次第。
 司法改革の実行は単位会の双肩にある。今後は一会員として活動させて頂き、日弁連で学んだものを当会へ伝えてゆきたい。

理事者からの「かけ橋」
パソコンが悲鳴をあげている!
副会長 三浦 修
 理事者になって強く感じることは、いかに多くの情報収集および作業を弁護士会の事務局に頼っているかということである。事務局の協力がなければ何事もスムーズに進まない。このことは歴代理事者も感じていたことであろう。
 この事務局の情報収集および作業に必要不可欠なのが、言うまでもなくパソコンの存在であるが、理事者になって初めて、弁護士会のパソコンが実は極めて「あやうい」状況にあることが分かった。
 例えば、平成12年に導入したメインパソコンはもうリース契約期間切れ(保証期間切れ)で、今度故障するとメーカーは修理に来てくれない。ひとたび故障すれば、データ入力業務やパソコンを利用した各種受付業務ができないばかりか、過去データが消失するといった事態に陥るが、修復の目処は立たないのである。
 また、会計ソフトは、起動して入力画面が表示されるまでに1分、各会計の総括表の消去・出力作業に5分もかかる。
 ただでさえ事務量が増大してきている昨今において、横浜弁護士会の事務局はこのようなリスクおよび非効率と背中合わせに作業をしているのである。
 今期の理事者はこの問題を猶予ならない問題と考えて、通常総会終了次第早急に対策を講じる予定である。

こちら記者クラブ 弁護士の思いを広く社会に
 なぜ皆さんが弁護士の道を選んだのか?「法を通じて正義の実現を目指すため」といった動機が多いのではと推察する。同様に、私たちがなぜ記者になったかと聞かれれば、多かれ少なかれ、「日本を良くしたいと思ったから」と答えるだろう。
 現実の仕事はどうか。「読者のため」ならまだ良い。むしろ、ベクトルが「社会」でなく、「会社」を向いていることもある。弁護士稼業でも、「依頼者のため」に精力を尽くしていながら、実は社会性の意識が薄くなってしまっていることはないだろうか。何人かの弁護士から「魂を売らないと、この仕事はできない」との声を聞いた。
 「依頼人とひそかに喜びを分かち合うのが横浜の弁護士のスタイル」だとか。確かに、当事者が勝つことが一番大事だ。しかし、例えば医療過誤で、「賠償の額でなく、本当のことを言って欲しい。犠牲者がこれ以上出て欲しくない」といった思いから、訴訟を提起する被害者も多くいる。また、判決はさておいても、訴訟活動を通じて、権力・システムの問題点を世に問うたり、世論を動かすこともできるはずだ。
 横浜弁護士会の皆さんはPR下手……1年半余の司法記者生活でそう感じている。裁判官に理解してもらうことが第一の仕事だとしても、それは一つの手段でしかない。当事者の思い、そして弁護士としての思いを、法廷という小さな箱の中にとどめず、社会に広く伝えて欲しい。記者は、その思いに共感し、一緒に伝えるお手伝いはできると思っている。
 読売新聞横浜支局 記者 高野光一郎

常議員会レポート 第3回(平成17年5月10日)
〈議 案〉
1 日弁連照会「裁判員制度の制度設計に関する論点について」に対する当会回答の件
 当会は、日弁連から、裁判員制度の制度設計に関して検討すべき事項につき、意見を求められたが、当会刑事弁護センター運営委員会及び裁判員裁判制度運用委員会が各論点につき検討し纏めた意見につき、当会の意見として日弁連に提出することを承認した。
2 (財)日弁連交通事故相談センター神奈川県支部役員推薦の件
 支部長として庄司道弘会員(30期)、副支部長として6名、監事として2名の会員を推薦した。任期は、平成17年5月26日から平成18年の通常総会終了日まで。
3 からの特別共済対象者申出の件
 会員が公設事務所において執務するため当会を退会するに当たり、同会員から横浜弁護士会共済規則第24条の2に基づき特別共済対象者となることの申出があり、これを承認した。
〈緊急議案〉
1 再入会予定者である吉川晋平元会員の入会金納付免除の件
 吉川元会員は、公設事務所を開設するために当会を退会した者であるが、今般公設事務所を退職するにあたり当会に再入会の申込み予定。横浜弁護士会会則第11条第2項によれば、公設事務所開設のために退会し、退会後5年以内に再入会しようとする者に対して、入会金納付を免除することができるとする規定があるところ、同規定に基づき同会員の入会金の納付を免除することを承認した。
2 「横浜弁護士会弁護士の人事等に関する規則」に基づき神奈川県及び県内政令指定都市の監査委員を常議員会付議事項とする件
 同規則第2条は、会員を官公署等の地位に推薦する場合における常議員会の議に付すべき対象たる地位を定めるが、その中に「その他常議員会が特に指定した地位」との規定がある。現在常議員会は、7件の付議対象となる地位を定めているが、これに追加し、同監査委員の重要性に鑑み、常議員会の付議事項とすることを承認した。
3 横浜市監査委員候補者推薦の件
 前号の承認を受けて、横浜市監査委員に須須木永一会員を推薦することとした。
〈報告事項〉
 下記事項につき、報告があった。
 各種委員人事推薦の件
 弁護士フェスタ実行委員会設置の件
 公設事務所開設に係る経過の件
 「神奈川の司法を考える懇談会」の結果を横浜地方裁判所及び横浜家庭裁判所に提出する件
 ゲートキーパー制度に関する日弁連の行動指針案につき、次回の常議員会の議題とする件

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