横浜弁護士会新聞

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2005年3月号(3)

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理事者の独り言
弁護士浪人 現れる…かも?
副会長 田中 学武
 副会長に就任してから現時点で10か月が過ぎた。私は所謂支部枠であり、本部での法律相談を担当していなかったこともあり、本部の会館や職員の方についてほとんど知識が無く、当初は借りてきた猫の気持ちがよくわかった。弁護士一年生としてボス弁事務所に出勤し始めた頃を思い出していた。
 弁護士一年生といえば来年10月に研修所を卒業する59期の修習生予定者の当会の事前研修に参加した。弁護士志望者はやはり就職が最も気になっていたようだ。どういう新人を事務所は希望しているのか、といった質問が出た。弁護士側からは、「結局本人の人柄とボスとの相性である」という回答だった。
 合格者数が年々増加していく状況から見て、弁護士志望者が就職に不安を持つのはもっともだと思った。また、検事志望者からも採用枠増大にも限度がありそうなので、志望どおり検事になれるかという不安の声も出た。そうすると従来の割合どおり判・検・弁が増大していくと考えるのは間違っていると気が付いた。
 合格者3千人の時代では弁護士志望が何人くらいなのか、数字ではいえないが、弁護士の資格はあっても就職ができない所謂弁護士浪人が出現する可能性もある。即独立も可能ではあるが、弁護士精神の涵養、スキルアップという点から、問題が無くもない。増加する弁護士志望者を当会が受け入れる体制を作ることが現執行部の一つの重大なテーマであるし、今後も最大なテーマであり続けるだろう。

検事正着任インタビュー 趣味は登山 職員とハイキングも 横浜地方検察庁 松永榮治検事正
◆ご出身やご経歴、これまでの印象に残る事件についてお聞かせ下さい。
 出身は、熊本県阿蘇外輪山麓の菊池です。九州大学を卒業し、修習期は24期です。任官して33年目ですが、うち22年が東京都内で、東京地検の特別捜査部と特別公判部が通算11年です。最近数年の任地は、最高検検事、静岡地検検事正、千葉地検検事正です。特別捜査部と特別公判部時代の事件は、長期間関わりを持ったので印象に残っています。例えば、リクルート事件、代議士の脱税事件、金融機関の破綻事件などです。
◆趣味やご家族について教えて下さい。
 家族は妻と娘3人です。夏は北アルプスや南アルプスへの登山、その他の季節はハイキングや名所旧跡めぐりをします。本格的登山以外は妻が同行します。庁舎内で私がハイキングを企画して掲示し、それを見た職員が集まるというようなこともやってきました。
◆お好きな本、座右の銘などがありましたら教えて下さい。
 捜査の第一線の時は、業界を知るために経済小説を良く読みました。最近では、歴史物や、新訳が出版されて読みやすくなった海外の名作の読み直しをします。新田次郎の山岳小説や深田久弥のものは当然読みました。座右の銘は、仕事に関しては、列子にある「愚公山を移す」としています。
◆刑事司法改革による変化に対応するために何が必要と感じておられますか、また若手法曹に対してのアドバイスがありましたらお聞かせ下さい。
 制度は、国民が受け入れ、納得するかどうかで、うまく機能するかどうかが決まります。国民の理解を得るにはどうすればよいかを考えていかなければなりません。若い法曹には、はじめは報われないかもしれませんが、何でも良いから人に負けない得意分野を持つことをお勧めします。
(聞き手=飯田直久副会長、滝口秀夫)

常議員会レポート 第12回(平成17年2月10日)
 2月24日開催予定の臨時総会議題の承認等の議案を中心に、今回も3時間を超える審議となった。
〈第1号議案〉
 検察官経験者から改正弁護士法5条3号に基づく入会申し込みがあり、審議のうえ入会を許可した。
〈第2号議案〉
 日本司法支援センター神奈川県支部支部長他の委員について、今後も常議員会付議事項とすることとした。
〈第3号議案〉
 日弁連からのパラリーガル認定制度創設に関する照会に対して賛成する趣旨の回答を出すことを承認した。
〈第4号議案〉
 同じく日弁連からの「裁判員裁判の実施支部について」の照会に対し、当会4支部とも実施したいとの意見を明確に示す回答を出すことを承認した。
〈第5号議案〉
 横浜弁護士会125周年行事として、記念会報の発行とレセプションを企画し、実行委員会を設置したいとの提案に対し、さらに具体的企画を検討することとして、次回継続審議とした。
〈第6号議案〉
 法教育に関する500人規模のシンポを、日弁連・関弁連及び県教委・横浜市教委と当会を主催者として、本年5月に開催したいとの提案に対し、共催関係や当会の予算面等に関し、さらに検討すべき点を指摘したうえ、開催について承認した。
〈第7号議案〉
 東日本入国管理センターにおける法律相談に関し、関弁連管内の各弁護士会相互間で協定を締結してほしいとの関弁連からの依頼について、当会としては前向きに検討したいと考えているが、次回までに関係委員会等ともさらに検討して提案したいとの説明があり、継続審議とした。
〈第13号議案〉
 前回から継続審議となっている支部サミットでの宣言を、当会としての県知事などへ執行したいとの提案に対し、会則との関係で、支部が正式の意見表明はできないが、できるだけ支部の独自性を認める方向で解釈することとして、結論として、当会以外の支部も参加したサミットで宣言が採択された事実を確認したうえ、当会の支部の意見は、当会の意見でもある趣旨を明確に示した上書きを付けて執行することとした。
〈第14号議案〉
 2月24日開催予定の臨時総会の開催及び議題について審議し、いずれも了承した。
 提出議案のうち、人権擁護活動に関する会規案については、前回から継続しての審議であったが、新規登録弁護士についての特別委嘱関係の条項は削除して提案された。
〈緊急議案〉
 貸金業金利規制に関する会長声明案に対し、刑事罰についても制限金利と連動させるとの点について、強い疑問が呈されたが、緊急に声明を発する必要性から、一部修正することとして承認した。
〈その他の議案〉
 その他、裁判所庁舎建替問題対策特別委員会設置規則の一部改正及び職員就業規則の一部改正等について審議し、いずれも提案どおり承認された。
〈報告事項〉
 今回から報告事項となった人事推薦のほか、会費免除の件、川崎市内の拘置支所設置に関する要望書の執行などの報告がなされた。
常議員からズバリひとこと
 毎回、諸先輩方、特に会長・副会長を経験された先生の目の付け所はさすがに違うなあと感心させられることばかりである。
 執行部を経験しなけりゃ分からない議論もあるということは、逆に執行部の苦心は多くの会員に理解されていないということであろうか。自分の勉強不足を棚に上げて、そんなことを考えつつ、諸先輩の意見にまた今日も頷くばかりである。
48期 町川智康

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