横浜弁護士会新聞

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2005年3月号(2)

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がんばれ新潟 ─関東弁護士会連合会平成16年度第2回地区別懇談会─
 2月25日、横浜ロイヤルパークホテルで、関弁連地区別懇談会が開催された。この懇談会は、日弁連の理事が関弁連の各単位会に赴き、各単位会からの質問に日弁連が回答するという形で、弁護士会を取り巻く種々問題について意見交換を行うことを目的として開催されている。今回の担当会は、もともと新潟県弁護士会であったが、新潟中越地震の影響により開催が不可能となったことから、当会で開催される運びとなった。
 当日は、日本司法支援センターの準備状況や裁判員制度・ADRなど司法改革関連の問題について日弁連から報告がなされたほか、新潟県中越地震についての日弁連や各単位会の支援状況や、大規模災害時の緊急対策についての各単位会の取り組み状況などについても活発に意見交換がなされた。

私の独立した頃(100) 輿石英雄会員の巻
修習先で人生の師と出会う
 何号か前にこのコーナーを書いていた加藤徹さんと同じ年、1979年4月に、私は、同じビルの隣の部屋で、石戸谷豊さんと一緒に独立した。弁護士になって5年目のことだった。
 私は、山歩きを趣味とされ、その好きな山で亡くなられた山内忠吉先生の下で、72年に弁護士修習をした(26期)。
 山内先生は、その前年に弁護士会長を勤めておられたが、誠実で、だれであっても一人の人間として尊重してくれるような人であった。若いときに、先生のような、人間としても弁護士としても尊敬できる方に出会えたことは本当に幸せなことであったと思う。
 74年に修習が終わったとき、山内先生からすすめられるままに、横浜合同法律事務所で弁護士としての第一歩を踏み出した。
 数年たった頃、薬害スモン訴訟弁護団が神奈川でも組織されることになった。私は、神奈川弁護団の中心になっていた28期の会員とともに、弁護団に参加した。この弁護団活動の中で、28期の加藤さんや石戸谷さんと親しく知り合ったのであった。
 それから数年たち、3人とも独立することになった。1人では何となく不安なので、私は石戸谷さんと2人で「港共同法律事務所」を開設し、加藤さんは同じビルの隣の部屋に1人で事務所を開設した。夕方になると、加藤さんが水割りのウィイスキーグラス片手に私たちの部屋にやって来て、3人でたわいもない雑談にふけったりしたものであった。
 加藤さんは当時も釣りをしながら優雅にやっていたようだが、私と石戸谷さんはまだ事件も少なく、スモン訴訟の和解成立のたびに入る弁護士費用で、ようやく息をつぎながらやっていた。
 独立して5年たち、なんとか1人でやれるようになったので、84年に輿石法律事務所を開設した。
 独立してはや25年もの年月が過ぎてしまった。時々温泉に行ってリフレッシュしながら、関心のある高齢者・障害者の法律問題に取り組んでいる日々である。

元気印のひと 図面片手に現地調査も
神奈川県収用委員 中村れい子会員
収用委員会とはどういうものですか?
 都市計画事案や区画整理事業、道路や鉄道事業等で公共用地が必要となった時に、土地の買収が出来なかった場合の、収用の是非や収用に伴う損失の補償を決定(採決)する独立行政委員会です。各県に1つ置かれています。
委員は何名ですか?
 法律で7名と決まっていて、今は学者3名、弁護士2名、不動産鑑定士1名、行政OB1名です。古いので肩書きは会長代理ですが、数年前に延命政之会員の参加があり、すごく心強いです。
職務はどのようにされているのですか?
 委員会は月2回、午後いっぱいを使って全員出席で開かれます。
 審理の日と会議の日があり、審理は裁判とほぼ同じイメージです。ただ収用を求める起業者(市や公団等)は担当者が常時10名以上参加しますし、土地所有者や借地人等の関係人も多いときは同数以上になり、そこに委員と事務局5名が加わるとかなりの大所帯にになります。
 現地調査もしますよ。道路脇で背広姿の集団が図面片手になにやら群がっていたら、この委員会が仕事中だと思って下さい。(笑)
 今は係属案件が10件を越えているので、半日の期日に審理を2件入れることもあります。
 会議の日は事案の検討と採決書作成の向けて熱く(?)議論を交わします。
委員になっての感想は?
 少し前になりますが、アイヌ文化の保存が問われた北海道の二風谷ダムや緊急使用の不許可が出た沖縄の楚辺通信所の案件について現地で直接話を伺う機会がありました。
 あと、税金が投入されるためでしょう。収用の損失や補償の考え方は私達が普段扱っている概念と少し違いがありますね。最近は代理人がつかれるケースが多いのですが、是非収用の場に新風を吹き込んで頂きたいですね。

県内自治体 訪問報告
副会長 橋本 吉行
 高橋会長以下本年度執行部は、神奈川県下の地方自治体の首長と意見交換をするため、昨年8月から12月にかけて神奈川県下の全地方自治体を訪問してきた。執行部が訪問した自治体の数は、神奈川県、横浜市をはじめ県下の全市町村38に及ぶものであり、文字通り執行部が県内全域を踏破するものとなった。
 各首長との会談では、執行部の方から、司法改革を踏まえたこれからの神奈川県下の地域司法のあり方、裁判員制度をにらんだ法教育の実施、日本司法支援センター設立を控えた今後の法律相談事業等のあり方、自治体の法律ブレーンとしての弁護士の関わり方、昨年11月に設立された大規模災害対策士業連絡協議会の活動への自治体に対する協力要請など、当会を取り巻く様々な現実的な問題を提起して意見交換を行った。各首長からもその地域の実情や住民の法的ニーズなどについて具体的な説明があり、今後の神奈川県下での弁護士・弁護士会活動を考える上で貴重な意見交換の場となった。
 県下の自治体とは、無料法律相談事業等を通じて会員が以前から関わってはいるが、自治体と弁護士会との関係は普段はそれほど密接な関係にあるとも言えないことから、高橋会長が今回各自治体を訪問し、首長と直接会談したことは、弁護士会と自治体の距離を縮めることに役立ったものといえる。ことに、日本司法支援センター神奈川支部が平成18年から動き出すことを控え、このような自治体訪問を行った結果、本年3月2日には各自治体の相談事業担当者が弁護士会において一同に会し、日本司法支援センターの今後の活動を視野に入れた協議の場を持つことになった。このことは、この自治体訪問の大きな成果と言えよう。
 今回の自治体訪問に関わった会員数は執行部を含め延べ154名に及び、支部地域の自治体訪問には支部会員も同行した。その中で、38自治体全部を実際に回りきったのは高橋会長ただ一人であり、地域司法にかける会長の情熱が伝わる訪問であった。

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