横浜弁護士会新聞

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2005年1月号(2)

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都市型公設事務所を開設 総額3千万円の財政支援決まる 12月2日の臨時総会
 12月2日、当会会館5階大会議室において臨時総会が開催され、公設事務所の設置及び総額3千万円を限度とする運営資金の援助を内容とする議案を初め、多数の議案が審議された。特に公設事務所関連の議案は会員の関心も深く、さまざまな意見が取り交わされたが、全ての議案が原案通り可決承認された。また、総会の中で清水規廣日弁連副会長により、11月10日開催の日弁連臨時総会及び司法改革に係わる国会関連についての日弁連会務報告が行われた。
2時間を超え公設事務所の役割を審議
 当会にいわゆる都市型公設事務所を設置し、人材育成や事件過疎対策を担わせ、これに財政的支援を行うことを内容とする「公設事務所の設置運営の支援等に関する決議」は賛成57、反対14、同会規の制定は賛成56、反対14でいずれも可決成立した。
 田中副会長は同議案の提案理由として、(1)市民の司法アクセスの実現ため当会において都市型公設事務所の開設が必要不可欠である。(2)東弁・二弁・大阪・一弁・岡山において、相次いで公設事務所が設置され、北海道、名古屋においても設立に向けて現在具体的に準備がなされている。(3)当会においても2002年度に司法改革推進本部、2003年度には都市型公設事務所設置検討ワーキンググループ(現「特別委員会」)から意見書、本年2月、次いで9月には会員集会が開催、十分に議論がなされた。(4)都市型公設事務所は、人材の養成と派遣、事件過疎への対応等必要不可欠である等の説明があり、会員へ理解を訴えた。
 この議案の審議は2時間を越え、公設事務所の処理する「公益的事件」とは何かとの質問や、駆け込み寺的事務所では最初から破綻が見えているとの反対意見、弁護士の人材養成等都市型公設事務所の必要性は高いとの賛成意見等、出席した会員の間で活発に議論が交わされた。
 執行部から「公設事務所が当初からその目的全てを実現処理できるとは考えてはいない。小さく生んで大きく育てて頂きたい」との決意表明がなされ、冒頭のとおり議決された。
他の議案は特に異論なく成立
 同日提出された公設事務所関係以外の議案は特に反対意見もなく満場一致で可決された。
主な改正の簡単な説明は以下の通り。
1、 緊急時の重要な建議答申を常議員会又は総会への事後報告制とした。これは早急に意見表明するのでなければ、建議答申自体に意味をなさないような場合、執行部の判断だけで会長が意見表明できることとしたもの。
2、 弁護士人事及び職員人事を常議員会の審議事項からはずし、人事委員会ないし事務局運営室へ権限を委譲するものとし、限られた常議員会の審議時間を有効に使い、審議の充実をはかることとした。
3、 判事補及び検事が弁護士職務経験のための入会する場合、日弁連の方針に従い、入会金や弁護士会館建設負担金等を免除することとした。
4、 司法修習委員会の副委員長を複数選任できるものとし、今後の新しい司法修習に対応することができるように体制を充実させた。
5、 外国法事務弁護士による弁護士の雇用が可能となったこと及び特定共同事業がなくなったこと並びに弁護士倫理が廃止されたことに伴う会規改正。
6、 市民のための司法の実現とその財政基盤の確保に向けての決議。
7、 規則で定められていた当番弁護士制度を会規として根拠づけた。
8、 当番弁護士について事前承認をしない旨の決議や推薦停止の措置がとられた会員について、国選弁護人としても同様とすることとした。
9、 市民窓口の担当者が執行部ないしは懲戒委員に就任したときは当然に担当員を退任するものとした。
10、 神奈川住宅紛争審査会の移設が予定より遅延したことに基づき、家賃支出のため補正予算を組んだ。

労働審判制度研修会 盛況のうちに開催 関係者参加して、全国初
 11月26日、平成18年4月実施予定の新たな「労働審判制度」の研修会が、研修委員会、人権擁護委員会、法律相談センター運営委員会主催で開催された。弁護士のほか、関係者として裁判所、労使の各団体からも参加を得る形で、全国に先がけて行われたもので、約120名の出席による熱気ある研修会となった。
 労働審判制度は、解雇、未払い賃金問題などの個別的労使紛争について、地裁において、裁判官である審判官1名に労使代表の審判員各1名を加えた合議による、従来にない構成で行われる紛争解決制度で、原則3回の期日による調停または審判による解決を目指す、全く新しい画期的な制度。このため研修会には、本制度の利用、主宰に深く関わる経営者団体、労働組合からも多数出席があり、さらには横浜地方裁判所第7民事部からも、菊池洋一判事以下7名が出席された。
 研修会では、横溝正子日弁連労働法制委員会委員長からのあいさつを受けた後、政府の司法制度改革推進本部労働検討会において、委員として本制度の創設に労使の立場から尽力した、第一東京弁護士会の石嵜信憲弁護士と鵜飼良昭当会会員により、本制度の概要、労使当事者代理人として果たすべき具体的任務について講演が行われた。両講師とも、本制度の生みの親として、これを実効性のある労使紛争解決手段とするためには、これからの具体的な運用に向けた関係者全員の積極的な取り組みが重要であると熱弁をふるった。
 両講師の講演後、労働審判員輩出の母体となる経営者側、労働者側各団体等から、本制度実施に向けた準備状況、要望について、数多くの報告、質問が行われ、最後に、本制度に携わる関係者が、その充実に向け、今後熱意を持って取り組むことを再確認して閉会となった。
 今回の研修会は、関係者が初めて一堂に会し、率直な意見交換も行えたという点で非常に意義があるものであった。
(人権擁護委員会 働く人の権利部会長 内嶋 順一)

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