横浜弁護士会新聞

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2003年4月号(2)

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常議員会議長・副議長退任ご挨拶
常議員会議長 箕 山 洋 二
 平成一四年度の常議員会議長の任務を無事終えることが出来たのは、常議員の皆様と森副議長の全面的なご協力のお蔭と、感謝しているところである。
 今年度も、前年度開始した「常議員会速報」を継続し、全会員にファックスしてその時の最もホットな情報をお知らせすることとし、森副議長の獅子奮迅の活躍により、全回お知らせすることが出来た。小島周一会員の日弁連理事会速報と日弁連ニュースを併せて見ていただければ、司法改革論議の状況をご理解いただけたのではないかと思っている。
 今年度は、日弁連に対する答申案の審議、臨時総会招集決定(特に、支部会規・会則の制定、倫理関連議案、会名変更等々、重要議案が目白押しであった)、人権委員会の勧告案件、会長声明等、大量の資料の事前検討なしには論議できない重大な議案が多く、白熱した議論が展開された。
 特に指摘したいのは、意見が老若男女を問わず、活発に発言されたことであり、横浜弁護士会の良き伝統が息づいているなと実感させられた。
 今回の経験を、是非次年度の会務運営に生かしていきたいと考えている。皆様の、今後も変わらぬご指導・ご鞭撻を願っている。
常議員会副議長 森  卓 爾
 「常議員会レポート」はいかがでしたか。常議員会の直後に「常議員会速報」を発行し、翌月の弁護士会新聞に「常議員会レポート」を出して、常議員会の議論の内容と結果を出来る限り早く会員に伝えることを心がけてきた。これが副議長の重要な役割の一つ。しかしながら、振り返って見ると、活発な議論の内容と結果を短い文章の中にコンパクトにまとめるには筆力不足であり、充分に伝えられなかったのではないかと感じる。
 今期の常議員会は、多才な論者が多く活発な議論が展開された。司法改革の流れの真っ只中にあり、関連する議案も多かった。また、「有事法制に反対する決議」案が常議員の提案により議案となり可決されるということがあった。
 事前に送られてくる大部の資料を読み、常議員会に望んだが、副議長という立場から発言の機会が少なく、私にとってはちょっぴり残念でもあった常議員会であった。

元家裁調査官からみた付添人活動 付添人実務研修会
 二月一七日、寺尾絢彦元家裁調査官を講師に迎え、付添人実務研修会が開催された。同氏は、三八年間の家裁調査官生活のうち三五年間を少年係として過ごした経歴を持ち、その豊富な経験に基づく貴重な講演であった。
 審判は少年が成長するための出発点であると語る同氏の話に会員は熱心に耳を傾けた。「最後まで少年の側に立ち、その健全な部分を指摘してそれを伸ばすように働きかけるのが付添人である」という言葉には、身の引き締まる思いがした。
(会員 河住志保)

ベトナムの法廷を傍聴して
会員 澤田 久代
 日本ベトナム友好法律家協会で二月二六日からベトナムを訪問するというので、それに同行させてもらった。今回は、特に民事訴訟法の問題点を検討するということで、ハノイ人民裁判所の法廷傍聴などもさせていただいた。
 同協会は、一九九二年一二月五日に、経済発展を目指すベトナムに法律家として協力したいということで、主には京都や大阪の弁護士らが呼び掛け人となって、約二年間の準備期間を要して設立されたものである。
 私が参加したのは今回が初めてであるが、設立当初から参加している弁護士によればこの一〇年間のベトナムの経済的・法律的な成長は、目をみはるものがあるとのことであった。
 現在のベトナムの民事法体系の内、実体法はそれなりに整備されているが、訴訟法はまだ整備が遅れているということで、現在も改正作業中とのことだった。
 法廷傍聴をして一番印象的だったことは、民事の法廷であるにもかかわらず、検察官が立ち会っていたことであろうか。社会主義国家ゆえかもしれないが、検察官は国益の代表者ということで、一定の事件は、立会が必要的とされており、また、そうでない事件であっても途中から立会を要求されることはよくあるとのことだった。

ハノイ人民裁判所の法廷
 法廷の様子は、一段高いところに裁判官と検察官の席が設けられており、下がったところに当事者席が裁判官と向き合う形で設けられていた。当事者は代理人をつけることも可能となっているが、利用する者はまだ少数で、代理人席も最近ようやく設けられたとのことだった。
 訴訟手続としては、訴訟提起の段階、審理準備の段階、審理段階に区分されている。
 訴状が却下されない限りは、審理準備段階に進むとのことだった。
 ベトナムでは職権主義がとられているので、審理準備段階において、裁判所長から指名された担当裁判官が、関係証拠を収集する(証人の供述を聴取したり、鑑定を行ったり、現場検証など。なお、ここには当事者の立会権は保障されていない)。また、和解前置主義がとられているので、この準備段階において、担当裁判官は和解を試みる必要があり、和解が整えば事件は終結する。
 審理段階では、まず人定質問がされ、裁判長から事件の概要などが読み上げられる。そして、準備段階での証拠収集が不足していた場合等には、裁判官は、法廷において、当事者や利害関係人等に対し、尋問をする(実際には、当事者等に対しては、ここで尋問をされることが多いとのことだった)。最後に、検察官が事件解決に関する意見を表明し、裁判官らの合議を経て、判決が言い渡される。
 判決は即日なされるものが大半とのことだった。また、検察官が表明した意見にかなり左右されていると思うとのことでもあった(但し、後者の感想は、通訳をしてくれた現地の人の弁で、法律家の意見でないことを付言しておく)。
 もっとも、判決が出ても、それを執行するにあたって、当該当事者の合意がいるとのことだから、やはり今後の法整備の必要性は高いようである。

犯罪被害事件の取り扱いに向けて あっせん・仲裁センター
 犯罪被害者の問題がクローズアップされてきている昨今、あっせん・仲裁センターの中でも積極的に取り上げていこうという動きが起き、運営委員会内の検討部会が検討を重ねてきた。
 その一環として、二月一三日、岡山弁護士会の高原勝哉弁護士を講師としてお招きし、当弁護士会会館にて研修会を行った。日弁連犯罪被害者支援委員会の委員長でもある同弁護士は、岡山仲裁センターの中心的存在として犯罪被害者問題に取り組んでおり、その先進的な取り組みの実情について、熱くかつ朗らかに語った。被害者支援の一つのメニューとして加害者との対話の機会を設けることの有意義性、かといって押し付けは禁物であること、加害者に謝罪の気持ちの可能性がない場合には取り扱うべきではないこと等、熱意と経験に裏打ちされた貴重な話の数々に、受講者の脳と精神も活性化され、質疑応答も熱気を帯びた。
 この四月以降、当会あっせん・仲裁センターでも、犯罪被害者問題を取り扱っていく予定である。ただ、被害者問題においては二次被害を防ぐ観点から常に慎重な配慮が必要であるので、関係者各自がそのことを念頭に置きつつ有意義に利用されることが望まれる。
(会員 畑中隆爾)

民裁懇開催のお知らせ
と き 5月29日(木) 午後5時30分
ところ 横浜弁護士会会館5階
テーマ 「計画審理について」
出席者 横浜地方裁判所裁判官、書記官、当会会員
☆今後の民事裁判の動向について裁判官、書記官と直に意見交換のできる有意義な機会です。
 ふるってご参加ください。

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