横浜弁護士会新聞

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2003年4月号(1)

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平成14年度 理事者退任ご挨拶
転換期の嵐の中で
会 長  池 田 忠 正
◇ この一年間、法科大学院三法、司法書士簡裁代理権付与法が成立し、弁護士法改正案、簡裁事物管轄裁判所法改正案、裁判迅速化法案が今の国会に上程されています。
 弁護士が長い間浸ってきたぬるま湯の時代は終焉を告げています。市民の権利意識の高まり、コスト意識の向上、情報量の量かさなどにより、市民が弁護士界(弁護士会、弁護士を総称)に対し、市民レベルに下りてくることを求めていることの証しがこれらの法案です。正に今、弁護士界は改革の時代の嵐の中で転換期を迎えているといえましょう。
◇ これらの法案の意味するところは、概略すると、弁護士が顧客を選べる時代が終わり、早晩、弁護士が利用者に選ばれる時代が到来すること、弁護士が労多くして益少ない事案を充分に引き受けてこなかったこと、事件に関係のない市民にとってマスコミに報じられる有名な事件が五年や一〇年もかかるのは時代遅れだと感じていること、非違行為を行なった弁護士に対して弁護士界が世間常識に充分には自律を働かすことができなかったこと、などでありましょう。
◇ 外圧がなければ自己改革に手をつけないという日本人の歴史がいわれますが、弁護士界もそうであったのではないか、という思いがします。
 しかし、弁護士界はこれらの外圧を絶好の好機とし、荒波でなく順風であるとして、これを捉えることが肝要ではないでしょうか。
◇ このような観点から、執行部はこの一年間、かっと眼を見開いて利用者である市民の生の声を聞こうと意を砕いてきました。
 例えば(1)懲戒処分を前に市民への被害拡大を防止するため、非違行為の事前公表に踏み切り、綱紀懲戒制度等の見直しを図ったこと(2)経済的に恵まれない市民のための民事法律扶助国庫補助金の増額について、自治体訪問により全県市議会の決議を得たこと(3)「弁護士フェスタ・イン・カナガワ」で多くの市民「裁判員」による模擬裁判を実施し一一〇〇名の参加を得て、司法改革の一端を市民に理解してもらう一助となったこと、などです。
◇ 支部の活発な活動は全国的にも注目されました。全国の支部ではじめての小田原支部主催の裁判員制度による模擬裁判劇、川崎支部による現職裁判官をまじえての司法改革フォーラム、相模原支部による首長など各界を交えた司法改革懇話会の発足などですが、これらは、地元市民に眼を向けた貴重な活動でした。そのような背景があってこそ、四つの支部が、当会の会則会規上はじめて正式な存在として位置づけられたといえましょう。
◇ 県内全域で活動している当会の実体にふさわしい会名変更を求めたのもこの延長線上にあります。残念ながら実現できませんでしたが、この総会で真正面から議論ができたことは当会の成長を示したものと言えますし、会員の六割、横浜市内の会員の約半分が会名変更に賛成したことは、当会の見識を示したものと言えるでしょう。会名変更の機は熟しつつあると考えます。
◇ 会内にあっては、財政危機の打開を果したことにより、今後の司法改革関連の出費、日弁連の副会長等に対する援助、支部会員等の委員会出席のための交通費など今後の検討課題を実施するための基盤が整備されると共に、当分の間会費を値上げする必要がないことが明らかになったことは大収穫でした。
◇ 財政危機打開の課程で明らかになったことのもうひとつは、相談センター、国選当番等の県内市場が相当な額に達していることです。当会が、公的団体として県内全域に亘って、司法ニーズに広く応えていることの証しでもあり、若手会員のためにも大いに資されていることを示すものです。
◇ 須須木日弁連副会長を充分に支えられたかどうか、司法改革各界懇談組織の設立に手をつけられなかったことなどの反省点や推進しつつある弁護士任官、非常勤裁判官、法科大学院の先行きが未だ不透明なことなど残された点は多々ありますが、「至誠無息」と「現実に即して理想に生く」をモットーに一年間充実した会運営に携わってまいりました。このような貴重な機会を与えて下さった会員の皆様のご協力とわがままな会長を支えて下さった五人の副会長の奮斗、それと事務局職員の皆様に心から感謝申し上げて、退任のご挨拶といたします。

ご支援ご協力に感謝
副会長  青木  孝   副会長  
副会長  尾立 孝司   副会長  古川 武志
      副会長  田中 隆三
 実質的に我々副会長の仕事が始まったのは、昨年三月の十県会の熱海での会合のように思います。この時期に、我々副会長が「池田丸」に乗り込んで船出をしたわけです。クルーの考えなどはだいたい分かってきたのですが、司法改革の嵐が吹きすさぶ中、どこを目指すか、何が起きるのか、不安で一杯の航海の始まりでした。しかし、しばらく航行をするうちに、副会長の役割が自然と決まってきたように思います。副会長は、皆のまとめ役でキャプテン池田の指示が出し易いようにいつも羅針盤を気にしていました。尾立副会長は、司法改革の大波が押し寄せる度に船の舳先を修理して、懸命に「池田丸」の運行を支えてきました。古川副会長は、機関士長として、常にエンジンの調子を見ながら、「池田丸」推進の力が衰えないように機関室に閉じこもって汗まみれで働いていました。田中副会長は、いつも皆の食糧確保に気を配り、航行途中にあった島での「お祭り」を取り仕切っていました。かくいう私青木は、無線係で、他の副会長が知らない人脈と連絡を取り合って、クルー以外の動員・援助を受けて「池田丸」の航行に全力を尽くすようにしてきました。
 いずれにしても、今、我々副会長がどこに着いたのか正確には分かりませんが、一応「池田丸」から下船し皆無事でいたのは、キャプテンの指示が正確であったことと、クルーが一体感を持ちながら航海することができたからだったと思います。勿論、この結果が、各委員会の先生方が、地上応援部隊として地道で堅実な活動をしてくれたことによるものであることは多言を要しないことであり、心から感謝しております。さらに、事務局の長谷川次長、三浦・藤原両課長以下職員の皆さん方の朝早くから夜遅くまでの懸命な尽力があったことにも、当然ながら感謝しております。最後になりましたが、次期執行部こそ、本当の荒海に立ち向かわなければなりません。微力ではありますが、キャプテン池田以下クルー全員でできることがあれぱ協力していきたいと考えています。
 一年間本当に有り難うございました。

臨時総会速報 会名変更の是非を問う議案3分の2に至らず否決
 平成一五年三月一一日午後三時から臨時総会が開催され、当会の会名変更の是非を問う議案について決議がなされ、動議により提案された「神奈川弁護士会」に変更するとの議案、原案の「神奈川県弁護士会」に変更するとの議案は、いずれも総議決数の三分の二に至らず否決された。なお、出席会員数は二五三名、総議決権数は五九六で、議決内容は左記の通り。
 「神奈川弁護士会」
  賛成三五九、反対二三一
 「神奈川県弁護士会」
  賛成三四七、反対二四三

山ゆり
 「♪キータゾ、ワレラーノ、ウルートラマーン!♪」
長男(二歳)の歌声が響く。我が家にウルトラマンがやって来た。ビデオを見て長男が見事とりこになったのだ。まだろくに言葉も何も知らないくせに、喜んで真似をし歌う。一歳の次男も歓声をあげて手を叩いている
男の子というのは、どうしてこうもウルトラマンが好きなのだろう。変身がかっこいい。必殺光線技がかっこいい。強いのがかっこいい
更にその魅力は、シリーズ性に負うところも大きかろう。次々登場していったウルトラマンがそれぞれ新機軸を生みつつ、ファミリーとしての繋がりがストーリー展開に深みを加えた。エースを助けにウルトラ兄弟が勢揃いしたときなど狂喜したものだ
おっと、つい自分が本気になってきてしまった。そう、最近よく思う。子供と遊んでいるとき、実はしっかり自分が遊んでいるということを。私の中の少年が子供と仲良く対等に遊んでいるのだ
妻のあきれ顔。ほっといてくれ。パパが楽しければ子供も楽しいはずさ。ほら子供たち、スペシウム光線を撃ってこい。ビビー! やられたあ! 見事パパの胸に命中だ。胸の奥の少年心に命中だ
そんなこんなで一日が過ぎ、添い寝タイムになる。長男にせがまれるまま「帰ってきたウルトラマン」の歌を歌い始めて、ふと思い出す。ずっと昔、祖父の還暦祝いの席で歌ったなあ…。五歳の私が蘇る。長男も声を合わせて歌う。一世代分の時がシンクロし、いつしか五歳と二歳の合唱になる イラスト
「♪……カエエーッテキタゾー、ウールトラマーン!♪」そう、ウルトラマンは帰ってくるのだ。少年の心を連れて。
(畑中隆爾)

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