裁判所庁舎建替問題対策特別委員会
委員長 栗田 誠之 |
現在、横浜家庭裁判所において、平成16年4月1日からの使用予定で、庁舎の増改築工事が行われてる。この増改築は、既存棟の裏にある駐車場部分に、地上3階の鉄骨造延べ床面積1580を増築し、3階において既存棟と増築棟とをつなぐ渡り廊下を設置するというもの。今回の増改築の目的は、調停室の不足を補うためのいわば緊急の措置としてなされるもので、プレハブ工法による鉄骨造りの構造による簡易増築との説明を受けている。イメージとしては、地裁本庁舎建替のときの仮庁舎を念頭におけばよい。 |
この増築により調停室が24室増え、既存棟の調停室13室とあわせて調停室は37室となる。また、平成16年度から離婚等の人事訴訟を家庭裁判所で審理するとの法改正案をにらんで、既存庁舎の2階部分にラウンド法廷が1室確保される。なお、増築棟の建設に伴い、駐車場は減少し、完成後に確保される駐車場数は17程度となる予定である。 |
この簡易増改築に対しては、当会から、駐車場確保、エレベーターの非設置についての高齢者への配慮、案内板表示のより一層の充実、公衆電話の設置、内装への配慮、分煙の実現、などの要望を家庭裁判所に出している。 |
今後、人事訴訟の改正等により法廷等の確保が必要となることなどから、家庭裁判所の全面的な建替えも予想される。また、最近、DVがらみの離婚事件等、裁判所庁舎内外での殺傷事件など重大問題の発生する虞がある事件が増加している。このような事件の場合には、通路を違えた法廷や調停室へのアプローチ、待合室の設置場所の配慮、緊急事態の場合の避難路や人員整備等の対処方法の準備、保険への加入など、危機管理体制が裁判所においても必要な時期にきている。 |
そのため、当委員会においては、現在の家庭裁判所のハード・ソフト両面につき会員のアンケート等を実施し、将来の家庭裁判所の全面的な建替もにらんで、適切な要望を出すべく、準備をしている。会員においても、気軽に意見をお寄せいただければと思っている。 |
日弁連弁護士会照会制度委員会委員長
清水規廣会員(28期) |
−弁護士会照会制度に深く係わるようになったきっかけは何ですか |
平成4年、当会副会長として担当しました。回答が来なかったり、拒否されたりして、制度的欠陥があるのではないかと感じました。 |
−日弁連はどのように取り組んできたのですか |
平成5年、司法制度調査会で、各単位会の情報交換をしました。専門部会を設けた後、同13年、独立した委員会となり、本年7月、私が委員長に就任しました。日弁連は、照会の手続、照会先への督促、回答拒否に対する抗議等の会規案モデルを作成しました。 |
−委員会は、どのような活動をしていますか |
第一に制度改善のための情報交換です。年1回、委員会と各単位会担当副会長、事務職員との連絡協議会を開きます。また、メーリングリストでも各地と情報交換をできるようにしました。 |
第二に照会先に制度の重要性を理解してもらうことです。懇談会を開いたり、弁護士出身議員に国会質問をしてもらったりします。銀行協会との協議で、全相続人の承諾がなくても被相続人名義の口座の相続時の残高や生前の出入金履歴が開示されるようになりました。課題は、名義を借用した被相続人の口座の残高や、財産分与時に他方配偶者の口座の残高が開示されるようにすることです。 |
第三に弁護士法23条の2の改正に向けた運動です。回答義務を明示すること、回答を拒否されたときに日弁連が拒否者に勧告できるようにすること、照会した会員に回答の目的外使用を禁止すること等が必要です。単位会の要請では力不足でも、集約して日弁連の意見にすると立法・行政府も重視します。自分の考えを実現できることが日弁連の活動の楽しいところです。 |
−当会会員へのメッセージをお願いします |
回答する立場に立って照会事項を設定して下さい。長期の調査を要せずに簡単に回答できる事項で、イエス・ノーで答えられるような具体的な質問が望ましいです。 |
−ありがとうございました |
(聞き手 市川 統子) |