横浜弁護士会新聞

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2003年12月号(2)

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「弁護士のための不動産鑑定」研修会 不動産鑑定の具体的手法等をわかりやすく説明
 中西章法不動産鑑定士を講師として、「弁護士のための不動産鑑定」と題して研修会が10月20日当会会館において開催され、76名の会員が熱心に参加した。
 研修会においては、分厚く充実した内容の資料・レジュメが配布され、それに従って講師の説明がなされた。具体的には、平成15年1月1日に施行された改正後の不動産鑑定評価基準の要点に関する説明から始まり、会員にとって興味が深いと思われる競売不動産の鑑定、賃料(新規賃料・継続賃料)に関するさまざまな鑑定手法に至るまで、ときおり具体的な数字を用いて鑑定手法の適用例を示すなど、多岐にわたり極めて分かりやすく詳細な説明がなされた。さらには、商業ビル敷地の地代につき収益還元法が今後の主流となることを示唆する最近の注目される東京高裁の判例についても説明があり、まさに手取り足取りといった具合であった。
 弁護士業務においてもさまざまな場面で不動産鑑定とかかわることがあるものの、なかなか具体的な鑑定手法等を学べる機会はそう多くないと思われる。このことからすれば、第一線で活躍されている講師から興味深いトピックにつき実務に即した解説を聞くことができる本研修会は、非常に有意義であった。ただ、余りに盛り沢山な内容を2時間という短時間で行うものであったため、説明に追いつくのがやっとであり、もう少し時間に余裕が欲しいところであった。

家庭裁判所増築計画 プレハブ工法による簡易増築で
裁判所庁舎建替問題対策特別委員会
委員長  栗田 誠之
 現在、横浜家庭裁判所において、平成16年4月1日からの使用予定で、庁舎の増改築工事が行われてる。この増改築は、既存棟の裏にある駐車場部分に、地上3階の鉄骨造延べ床面積1580を増築し、3階において既存棟と増築棟とをつなぐ渡り廊下を設置するというもの。今回の増改築の目的は、調停室の不足を補うためのいわば緊急の措置としてなされるもので、プレハブ工法による鉄骨造りの構造による簡易増築との説明を受けている。イメージとしては、地裁本庁舎建替のときの仮庁舎を念頭におけばよい。
 この増築により調停室が24室増え、既存棟の調停室13室とあわせて調停室は37室となる。また、平成16年度から離婚等の人事訴訟を家庭裁判所で審理するとの法改正案をにらんで、既存庁舎の2階部分にラウンド法廷が1室確保される。なお、増築棟の建設に伴い、駐車場は減少し、完成後に確保される駐車場数は17程度となる予定である。
 この簡易増改築に対しては、当会から、駐車場確保、エレベーターの非設置についての高齢者への配慮、案内板表示のより一層の充実、公衆電話の設置、内装への配慮、分煙の実現、などの要望を家庭裁判所に出している。
 今後、人事訴訟の改正等により法廷等の確保が必要となることなどから、家庭裁判所の全面的な建替えも予想される。また、最近、DVがらみの離婚事件等、裁判所庁舎内外での殺傷事件など重大問題の発生する虞がある事件が増加している。このような事件の場合には、通路を違えた法廷や調停室へのアプローチ、待合室の設置場所の配慮、緊急事態の場合の避難路や人員整備等の対処方法の準備、保険への加入など、危機管理体制が裁判所においても必要な時期にきている。
 そのため、当委員会においては、現在の家庭裁判所のハード・ソフト両面につき会員のアンケート等を実施し、将来の家庭裁判所の全面的な建替もにらんで、適切な要望を出すべく、準備をしている。会員においても、気軽に意見をお寄せいただければと思っている。

元気印のひと 自分の考えを実現できる魅力
日弁連弁護士会照会制度委員会委員長
清水規廣会員(28期)
−弁護士会照会制度に深く係わるようになったきっかけは何ですか
 平成4年、当会副会長として担当しました。回答が来なかったり、拒否されたりして、制度的欠陥があるのではないかと感じました。
−日弁連はどのように取り組んできたのですか
 平成5年、司法制度調査会で、各単位会の情報交換をしました。専門部会を設けた後、同13年、独立した委員会となり、本年7月、私が委員長に就任しました。日弁連は、照会の手続、照会先への督促、回答拒否に対する抗議等の会規案モデルを作成しました。
−委員会は、どのような活動をしていますか
 第一に制度改善のための情報交換です。年1回、委員会と各単位会担当副会長、事務職員との連絡協議会を開きます。また、メーリングリストでも各地と情報交換をできるようにしました。
 第二に照会先に制度の重要性を理解してもらうことです。懇談会を開いたり、弁護士出身議員に国会質問をしてもらったりします。銀行協会との協議で、全相続人の承諾がなくても被相続人名義の口座の相続時の残高や生前の出入金履歴が開示されるようになりました。課題は、名義を借用した被相続人の口座の残高や、財産分与時に他方配偶者の口座の残高が開示されるようにすることです。
 第三に弁護士法23条の2の改正に向けた運動です。回答義務を明示すること、回答を拒否されたときに日弁連が拒否者に勧告できるようにすること、照会した会員に回答の目的外使用を禁止すること等が必要です。単位会の要請では力不足でも、集約して日弁連の意見にすると立法・行政府も重視します。自分の考えを実現できることが日弁連の活動の楽しいところです。
−当会会員へのメッセージをお願いします
 回答する立場に立って照会事項を設定して下さい。長期の調査を要せずに簡単に回答できる事項で、イエス・ノーで答えられるような具体的な質問が望ましいです。
−ありがとうございました
(聞き手 市川 統子)

三会合同相談会を開催
 10月4日に弁護士会、司法書士会、税理士会の三会合同の相談会が神奈川県民センターにて開催された。
 平成6年6月に、国民の法的サービスの要求に迅速かつ適切に答える協力体制作りを目的として、当会と司法書士会との間で第1回の協議会を実施した後、税理士会も加わった三会の協力関係を推進する具体的な試みとして、平成9年以降毎年1回の合同相談会を実施しており、今回は7回目の合同相談会となる。
 年によって開催場所や広報の方法が異なることから、来場する相談者の人数は年によってかなり違うが、今年は100人の相談者があり、とても盛況だった。当会からは午前中8人、午後4人の合計12人の会員に相談員として協力いただいたが、相談者が多かったことから相談員には多数の相談に対応して頂いた。
 相談者の中には、弁護士、司法書士、税理士の3人に相談している人もあり、この相談会は次回はいつあるのかと聞いていく人があるなど好評だった。
(会員 内田 憲宏)

裁判傍聴について 初の試み「模擬接見」
 10月15日、中高生対象の法廷傍聴会が行なわれ、公文国際学園の中学生・高校生32名と引率教員2名と、弁護士4名が講師・付添いとして参加した。当日は、まず初めての試みである「模擬接見」を行ない、弁護士2名が当番弁護士役・被疑者役を演じ、架空の傷害事件を題材に、接見でどのようなやりとりがあるかを演じながら法律手続の説明を行なった。
 その後、場所を法廷に移し、実際の傷害事件の公判を傍聴した。生徒たちは終始まじめに模擬接見・法廷の傍聴をしていた。傍聴後、生徒からの質問や感想はやや控えめだったが、保釈・被害弁償・被害感情等、公判でポイントとなった事柄についての意見も出され、ドラマで見ている裁判との違いに気づいて感心し、あるいは検察官が怖かったという感想も出された。また、後日生徒から「司法に興味を持つことができた」との感想も寄せられ、成功のうちに終わった。

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