横浜弁護士会新聞

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2001年12月号(3)

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えいちゃんは考える
 一〇月に、当会の小川直人会員が弁護士任官して裁判官になり、現在東京地裁で新しい職務に励んでいる。
 横浜弁護士会始まって以来のこととして、非常に喜ばしいことであり、同君の今後のご活躍を期待したいと思う。
 ただ、小川君に続く弁護士任官者がいつ出るかと聞かれるといささか心許ないように感じている。
 一方、横浜国大との法科大学院協議は、着実に進んでおり、現在二〇〇四年から教授一名、助教授一名の合計二名の専任教官を三年程度の期間毎に、横浜弁護士会からの派遣を要請されている。
 様々な条件から、二〇〇二年三月頃には、具体的人選を終えている必要があるとのことである。
 この点に関しては、当会の法科大学院検討特別委員会において、具体的な人選に入っているとのことだが、なかなか困難を極めていると聞いている。
 弁護士任官にせよ、ロースクールの教官にせよ、弁護士としての人生を大きく転換する事になるのだから、なかなか希望者が出ないということはよく理解できる。
 しかし、一方で弁護士任官にせよ、ロースクールにせよ、現在進行中の司法改革の大きな目玉であり、現在の司法のあり方を大きく変えるための第一歩となるものである。何が何でも推進していく必要があると思う。
 また、任官者も教官も、横浜弁護士会としては出せなかったということになれば、「弁護士会は司法改革に、総論では賛成しながら、具体的実行の段になると尻込みする」と、市民から信用されなくなる心配が大きいように思う。
 弁護士任官もロースクール教官も、この夏にアンケートをとった。
 その回答では、会員の中には希望する気持ちを持っていても、様々な事情から希望するには至らないというものが、少なからずあった。事情の中には、経済的な側面も大きいように思う。
 例えば、ロースクールの専任教官は、週に三日以上は大学院にとられることになるという。例えていえば当会の副会長職を三年続けて行うということを意味する。
 無論、それなりの報酬は支払われるであろうが、事務所を維持していくには不十分であろう。弁護士任官者の一番の不安も任官するまでの事務所経営ではないだろうか。
 弁護士任官にせよ、ロースクール教官にせよ、対象者個人の犠牲的精神だけに頼っていては、継続的に送り出すことは困難であろう。
 横浜弁護士会の代表として、また司法改革の具体的な担い手として送り出す以上、会員全員で支えていくことが必要だと考えている。
 そのための具体的な支援策を、早急に検討していくことが必要不可欠である。
須須木永一会長

会長声明
「坂本弁護士の13回忌法要に際して」
 去る一一月四日、当横浜弁護士会会員であった坂本堤弁護士(当時 三三歳)と妻郁子さん(同二九歳)、長男龍彦ちゃん(同一歳二ヵ月)の一三回忌法要が、鎌倉円覚寺松嶺院においてしめやかに行われた。
 坂本会員は、オウム真理教(現アレフ)による被害の救済に取り組んでいたが、一九八九年(平成元年)一一月、家族とともに行方不明となり、家族、同僚、日弁連、当会をはじめとする各弁護士会、坂本弁護士と家族を救う全国弁護士の会、そして多くの市民の方々による必死の救出活動にもかかわらず、一九九五年(平成七年)九月、無念にも、妻郁子さん、龍彦ちゃんとともに、遺体として発見されるに至った。
 坂本会員は、当時経験二年半の弁護士であったが、子ども・障害者など社会的弱者の権利を守るためにひたむきに活動していた。
 そのさなかに弁護士業務を理由として殺害され、妻子までもが犠牲となったことは、弁護士業務妨害事件の最たるものであり、私たちにとっても痛恨の極みである。また、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の業務を妨害することは、国民の基本的人権に対する侵害であり、法治主義、ひいては民主主義に対する挑戦でもある。
 私たちは、一三回忌を迎え、坂本会員一家の事件を決して忘れず、弁護士業務妨害を許すことなく、今後も人権擁護・社会正義実現の使命を果たしていく決意に改めて表明するものである。
二〇〇一年(平成一三年) 一一月五日
横浜弁護士会 会長 須須木永一

自治体の外部監査研修
 去る一〇月二日、弁護士会において、広島県の初代包括外部監査人を務められた水中誠三弁護士を招いて、地方自治体の外部監査人についての研修会が開催された。水中先生によれば、外部監査は是非とも弁護士がやるべき仕事であるということである。外部監査というと財務会計知識が必要で、公認会計士が適任であるとの認識を持ちがちであり、実際にも会計士が就任している例が圧倒的であるが、補助者として会計士の支援を受けることもできるし、また、その本来の制度目的に照らせば弁護士の職能が適しているのであり、それを自治体側にも理解してもらう必要があると強調しておられた。実際にも数少ない弁護士の外部監査は高い評価を得ているとのことである。水中先生は、外部監査人を務められた感想として、時間は相当とられたが、銭金ではない満足感があると述べられていた。
 現在、神奈川県、横浜市ともにその外部監査人は会計士であるとのことであるが、今後、弁護士の新しい業務として、弁護士の果たす役割は大きいと感じた。
(榎本ゆき乃会員)

常議員会レポート第9回:平成13年11月15日
人事案件 (一号〜四号議案および緊急議案一号〜ニ号)
「訟務検事の募集あり」
 いずれも人事案件であり、詳細は常議員会速報に掲載した。今回の人事案件の中で目を引いたのは、東京法務局訟務部からの任期付職員法に基づく訟務検事の募集である。四四期から四九期の弁護士を対象としているとのことである。対象の期の方には会から個別にご連絡を差し上げることになっている。
特殊法人国民生活センターの改革のあり方についての意見書提出をめぐって大いに議論
 小泉内閣による特殊法人改革の一環として国民生活センターの廃止・民営化が検討されている。
 これに対し、日弁連やいくつかの単位会から、同センターの果たしてきた役割の大きさからそれに対して反対する声明が出されている。
 当会でも同様の立場から反対の声明を出したいというのが理事者の提案である。
 これに対して、国を挙げて特殊法人改革をしようとしているときにその費用対効果を検証することなしに反対の声明を出すとはいかがなものか、その点を検証した上で判断すべきであるという反対意見が出された。
 これに対して、費用対効果の検証はなかなか厳しい、消費者系の多数かつ少額の被害は司法的救済に馴染みにくく、同センターの果たしてきた役割は大きいというのが実感である、などの意見が出され、採決の結果、理事者提案が可決された(七号議案)。
国選弁護人推薦に関する規則が改正される (大阪では既に実施)
 これについては以前のレポートでも紹介し、会員集会ももたれていることであるから制度の内容について、改めての説明は必要ないかと思う。
 要するに、国選弁護事件が多数の会員によって担われずに一部の会員に集中し、なおかつ恒常的に滞留現象が発生しており、何とか改善しないと機能不全に陥る可能性があるので、いわば国選事件における当番弁護士制度を実施したいというものである。
 既に実施されている大阪では順調に機能しているとのことである。
 常議員会で行われた質疑を紹介すると、他の仕事(例えば民事再生の申し立てなど)で急に忙しくなったという場合に割り当てを断れるかということであるが、理事者の回答は、原則的に不可である、法律相談などと同様に担当者の責任で代わりの人を見つけていただくことになるとのことである。
 丸一日をあけておいて担当する事件がなかったという場合はロスが大きい、午前と午後に分けられないかという質問も出された。これについては、その方法も検討したが、細かく分けることによってかえってロスが大きくなると思われるので不可である、というのが理事者の回答であった。
 反対意見もあって採決に付されたが、賛成多数で可決された(六号議案)。横浜地裁・簡裁における平成一四年四月一日以降の公判期日指定分から実施される。
(副議長 湯沢 誠)
常議員からズバリひとこと
 議題は人事や規則制定が多い。人事は、当該候補者ではいけないという理由は全くないし、規則制定も既に規則はたくさんあるので、他と類似になるか技術的な条項を検討することになる。他の議題も同様のものが多い。先生方は生真面目で、議論しようと意気込んで会に臨んでおられるが、如何せん大いに議論する程の議題でないことが多いので、どうしても細かな議論になってしまい、力を持て余し気味である。
(37期 岸 哲)

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