横浜弁護士会新聞

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1999年4月号(2)

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あなたの事務所の危機管理は?
五本の支柱に支えられて   会長 井上 嘉久
 一年があっという間に過ぎ去ったような気がいたします。この間、会員の先生方から賜りましたご厚情に対し、心から御礼を申し上げます。
 会務の現実的執行は、実質的には、委員会と連携の下、副会長が担当しています。
 大河内副会長は、筆頭副会長として、理事者会をリードし、司法改革を実践すべき弁護士会のあるべき姿を模索し、会務を処理しておりました。いわば、我々理事者の理念的支柱であったと言っても過言ではないと思います。司法改革ビジョンに対する具体的検討、「弁護士業務に関する市民窓口設置規則」の制定等は、大河内副会長の力量によるものであります。
 福田副会長は、これ以上はないと思われる程緻密な論理構成の出来る人であります。「会員の公益活動及び委員会活動に関する会規」「横浜弁護士会委員会通則」の制定及びこれらに関連する規則の改正等は、福田副会長の存在なしには、成立しえなかったものであります。推敲を重ね、理事者室を退室したのが午前〇時をまわっていたことが一度や二度ではなかったようであります。責任感が強く、努力の人であり、理論的支柱でありました。
 岡部副会長は、事務局担当として、持前の明るさと面倒見の良さで事務局職員との意思の疎通に努め、数次の協議会を開催し、給与規定を含む就業規則改正の礎をつくり、また、広報委員会担当としてホームページ開設にも尽力しました。執行部が、決して暗くなることなく、明るく楽しく安定した情緒を維持できたのは、彼のお蔭であります。情緒的安定の支柱でありました。
 宮島副会長は、常議員会、総務委員会を担当し、常に上程する議題の確認に意を致し、一度たりとも「ミス」がありませんでした。また、県民集会、日弁連業務妨害シンポ開催についても、担当理事者として力を発揮し、共に成功裡に終りました。苦情に関し、申立者の主張をじっくり聴取し、納得のいく解決を図っていたことは、他の副会長に優るとも劣らないものでありました。会務を誠実にこなし、理事者の誠実の支柱でありました。
 佐藤副会長は、弁護士会の会計処理が公益法人会計基準に則ったものに移行した最初の予算担当として平成一〇年度予算原案を作成したほか、法律相談センター担当理事者として、海老名法律相談所設置を実現いたしました。体躯のとおり元気印そのものであると同時に、筋を通し、信義に悖ることのないことを第一義として会務を遂行し、信義の支柱でありました。
 こうした五本の支柱に構築され、献身的な事務局職員の皆さんの協力を得て、次期理事者に引継ぐことができる幸せをしみじみと感じています。改めて申し上げます。皆様本当にありがとうございました。


ビジョン実現に向けて   副会長 大河内 秀明
 昨年の一二月、日弁連は司法改革ビジョンを発表しました。その結果、はからずもビジョン元年ともいうべき年に副会長を務めるめぐり合わせになりました。弁護士会の会務の執行に携わったことで、司法に関する様々な情報や人に接する機会に恵まれました。また、会務に従事する立場から、司法に関する情報には常に注意を払うよう心がけたつもりです。そのお陰もあって、私なりのビジョンらしきものが描けるようになったと思っています。
 ビジョンを辞書で引くと、視覚・視力・光景から始まり、想像力・直覚力・(政治家的見識をもって未来を予見する)透察力を経て、空想・幻想・夢に至っています。
 司法改革ビジョンにいうそれはでありましょうが、に終わらせないためには、守旧派的な考え方から脱皮して、明治維新に匹敵するくらいの発想の転換が必要なのではないかと思います。
 私は、breakthroughという言葉を、「(殻を破って突き抜けて至る)大躍進」と自分なりに訳して気に入っていますが、ビジョンを考えるとき心すべき考え方を含んでいると思います。
 旧約聖書に「ビジョンなき民は滅びる」とあります。私は、司法改革ビジョンを実現するには二〇年はかかると思っていますが、どんなに長くかかろうとも、その実現を目指さないわけにはいきません。この一年間で学んだことを糧として、感性を磨いてビジョンの実現に向けて微力の限りを尽くしたいと思います。

別の世界を垣間みて   副会長 福田  護
 時間の流れも、出会う人々も全然違う、別世界に迷い込んでしまった一年でした。まずは、頼りない迷い子を支え、ご協力いただいた皆様に、厚く御礼申し上げます。
 ときまさに、司法改革の激動が始まる時期と重なりました。貴重な経験をさせていただいたと思います。そして、次期以降は、もっとたいへんだと思いますが、よろしくお願いいたします。
 それにしてもやっぱり、日々の業務をなんとかこなしていくのに追われてしまった一年でした。苦情対応については、一一年度から副会長業務とは別に市民窓口が発足しますが、私の担当分野でも、人事データの整理・蓄積や、弁護士会照会のマニュアル化など、そのまま課題として残したままで終わってしまいました。
 今の役員体制は、自分自身の弁護士業務とのかねあいも含めて、やはり忙しすぎると思います。司法改革への対処ということからも、これからの執行部は、もっともっと実質的な判断と実行力を要求されることになると思われます。そのための機能的な会の組織作りや環境整備が早急になされる必要があり、そこでは執行部体制のあり方も再検討されてよいかもしれません。
 ともあれ私自身は、もとの世界に戻らせていただきます。副会長の「お務め」を終えて、少しはまともな「弁護士会人」として更生した姿で、社会復帰をめざしたいと思います。

振り返れば会務(皆無?)   副会長 岡部 光平
 副会長に就任してからの一年間、会員皆様からの温かい叱咤激励、誠に身にしみました。時には、なんでそんなことまで言われなくてはいけないのか、などと内心激怒することもありましたが、会務の中身を知るにつけ、その叱咤激励が五臓六腑にしみわたるようにわかりました。すべてのご意見は、横浜弁護士会をよりよくしようとする気持ちからでているものと理解できました。
 以下、私の担当した会務につき主なものを振り返ってみたいと思います。
 まず、事務局担当関連では、秋富事務局長の退任に伴い村光二新事務局長を迎えました。当会は海老名法律相談所の開設等に伴い事務職員・パート職員の総数が約五〇名にならんとしております。それぞれの職員がそれぞれのポストにおいて、持ち味を存分に発揮できるような組織的でかつ効率的な事務局体制の確立が望まれるところです。
 広報関係では、ホームページの開設をしましたが、ご協力いただいた委員の力量には頭の下がる思いがいたします。司法改革推進センター関係では、高松の司法シンポにむけて「法曹一元」のプレシンポ開催、小冊子の作成、ワーキンググループの設置等若手の委員が力を出しました。修習委員会では、修習予定者に対する初めての事前研修を実施し大変好評でした。新民訴委員会では、裁判所の協力のもとテレビ会議システムのデモンストレーションを行いこれも大変好評でした。
 目をつむれば、走馬燈のように会務が浮かんできます。これらは会員皆様の英知の結集と事務局との連携の賜物です。きっと二一世紀にむけてもっとすばらしい弁護士会になるものと信じています。いろいろ無理難題を言いましたことをお詫びいたしますとともに、ありがとうございました。
 謝謝!。 

戸惑いの一年間   副会長 宮島 才一
 一年間の刑期を終えて漸く娑婆に復帰出来たなどと言う表現を使うことは不謹慎かもしれない。おもえば牢名主の井上先生は、牢屋の奥の重ねられた座布団にふんぞり返って座っている姿を見たことがない。公益活動がどうとか、委員会通則がああだとか、苦情窓口はどうなったなどといつも忙しなく過ごしながら、我々下下にお茶をよく入れてくれました。さすが年季のはいった囚人でした。
 この一年間はいままでに味わったことのない、心地よい苦痛、という不思議な体験であったように思う。弁護士会の果たすべき役割、その重要性、会内合意の形成の手法の難しさ等々、多くのことを学びました。特に、総務委員会・常議員会で戦われる論議の凄いこと。委員会で練り上げ、そしてさらに理事者会で検討された議案を総務委員会、常議員会に上程するとき、折るような気持ちで結果を見守るが、いとも簡単に論客が問題提起をしたり反対意見を述べるときなどは、恐怖にも似た思いでした。そんなとき、民主主義よりも政治的手法として優れているのは独裁政治である、などと法律家であることを忘れそうになる思いがしばしばありました。
 以上をもって退任の挨拶とさせていただきます。一年間御協力ありがとうございました。

失恋記   副会長 佐藤 嘉記
 無事一年間の任期を満了することができました。嬉びのあまり鼻唄まじりで退任の弁を書いてます。
 ♪『夢を見た。夢を見た。夢を見た。コーリャ。あなたと添うとこ夢に見た。』
 弁護士という職業は一生の伴侶ではありますが、流石に一五年もの歳月が経過しますと恋愛感情が既に磨耗しつつあることを否定できません。そうした時に理事者として出会うことになった横浜弁護士会はとても瑞々しい存在でした。
 前期理事者は全員この一年間、横浜弁護士会という存在を対象として恋愛をしていたのではないかと思います。横浜弁護士会は我々に様々な姿を見せてくれました。ある時は高貴な淑女のような、またある時は奔放なジャジャ馬娘のような。前期理事者の中には相思相愛の大恋愛をした人もいるようです。この先ストーカーとなる人も出るかもしれません。
 ♪『三々九度の盃を。コーリャ。いただくところで目が覚めた』
 しかし私はと申しますと、もともとその道に暗いものですから、残念ながら失恋に終わってしまいました。それでも私にはわかっているのです。失恋であれ悲恋であれ、何もなかったよりあったほうがいいということが。失恋直後に味わうほろ苦い気持や心の傷のうずきさえ、過ぎてしまえば今は昔、やがては美しい思い出となるのです。必要なのは行為者としての自分を客観的に評価することができ、かつ、自己嫌悪を忘却するに足りるだけの時間の経過のみです。
 と、ここまで書いてきて何となく私も多少なりともその道の手解きを受けたような気持になりました。次の恋愛対象をどうするかこれから落ち着いて考えてみます。
 無能力な私におつきあいいただいた他の前期理事者の皆様及び弁護士会事務局職員の皆様に厚く御礼申し上げます。  ありがとうございました。

議長退任あいさつ   常議員会議長 高荒 敏明
 横浜弁護士会新聞の常議員会レポートの欄に「常議員からズバリ一言」という囲み記事が毎回掲載されています。読めば、常議員会の様子が彷彿としてきます。この企画を考えた広報委員会は偉い。議長になってからは、弁護士会新聞を読むときは、まっ先にここを読みました。「ズバリ一言」言われているのは、ほかならぬ議長であることが多いからです。そこで、この機会をお借りして、ズバリ一言に一言。
 不満が多いのは、常議員会の審議時間の長さです。会議開始の定刻は午後三時ですが、四時間以上かかった常議員会が何回もあったと思います。午後八時半頃にようやく閉会となった会議さえありました。
 議長の采配のまずさはお詫びするしかありませんが、このほかに、会議が長くなる原因はいくつかあります。審議すべき議案の絶対数が多いこと、議案それ自体が議論が鋭く分かれ討論を要する場合があることなどです。この二つが重なったら、目も当てられません。今年度の常議員会でも、「異議なし」の簡易採決ですますことができず、挙手による正式採決をした議案もかなりありました。修正動議が可決・成立したこともあります。このような議案については、質疑・討論の時間をできるだけ保障する必要がありますから、どうしても時間がかかります。常議員の方々は、このような議案については、時間がかかるのはやむを得ないと辛抱しておられたのだろうと解釈しております。
 人事案件、職員の任免に時間がかかりすぎるのではないかという意見には同感です。これを根本的に改善するには、これらの事項を常議員会の必要的審議事項と定めている横浜弁護士会会則四一条三号、同八号の改正が必要です。
 最後に、毎回「陰ながら」議事進行を支えてくれた山本安志副議長に感謝申し上げて、退任の挨拶とさせていただきます。

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