2000年1月号(3) |
日弁連、業務改革 シンポジウム |
一一月五日、岩手県盛岡市内の盛岡グランドホテルにおいて、日弁連主催の第一一回弁護士業務対策シンポジウム(今回から「業務改革シンポジウム」と銘打ち)が開催された。 |
全体テーマを「21世紀の多様な事務所像をさぐる」とし、第一分科会では「隣接業種との協働による新たなステップ−『総合的法律経済関係事務所』構想を契機として」−をテーマに、第二分科会では「パラリーガル(分野別・一級秘書)の養成と活用−法律事務所の活性化の一方策として」−をテーマに、それぞれ基調報告、パネルディスカッションなど活発な討論が進められた。 |
第一分科会では、政府の規制緩和三カ年計画で、ワンストップサービスを可能にする「総合的法律経済関係事務所」構想がうたわれていることを受けて、税理士、司法書士、弁理士等と協働する事務所の開設・運営について、その名称や収支管理の方法などの具体的な検討が行われた。 |
複雑多様化する経済社会においては、確かに法的問題や紛争処理を的確にかつ迅速に処理するために他の資格業者との密接な協同関係が望まれているが、収支共同あるいは法人化まで認めるべきかどうか、倫理規定や弁護士自治、法律事務独占などの観点から問題が残されているとの指摘もなされた。 |
第二分科会では、当会の故乾俊彦会員が生前情熱を傾けたテーマでもあり、冒頭パネリストから、故乾会員に対する謝辞が述べられるという場面もあった。 |
ここでは、パラリーガルとはなにか、から始まりアメリカのパラリーガル事情の報告がなされ、なぜパラリーガルが必要なのかが討論された。 |
法律事務所の事務処理能力の拡大、それがひいては国民のニーズに応えてゆくことになるのだが、昨今の大量かつ定型的な処理案件(消費者破産、債務整理、交通事故)などにおけるパラリーガルの必要性が高いとの指摘がなされた。 |
しかし、あくまでも弁護士の指導監督のもとでの業務遂行であり、専門性の養成、倫理研修(業務範囲の問題)など、これからの議論が望まれるところである。 |
(岡部 光平)
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横浜法律事務所 事務職員 塚本聡さんに聞く |
塚本さんは、昨年七月、日弁連パラリーガル調査視察団の一員としてアメリカに同行されました。 |
アメリカの実情はいかがでしたか。 |
パラリーガルは、依頼者にかかる弁護士の費用を安くし、弁護士には時間と高度な仕事への専念を与えるといわれていますが、未だ発展途上の段階にあるようです。 |
教育システムの充実と、職業としての確立はされているようですがパラリーガルの多くが、パラリーガル協会の認定資格を持たずに働いている現状があり、もっぱら実践に基づく訓練と経験が評価されているようでした。 |
また、アメリカのパラリーガルには、仕事への「誇り」と「充実感」があって、何故日本の事務職員には、その「プライド」や「自己実現」の喜びがないのか考えさせられました。 |
日本の事務職員の存在も充分に「必要とし、必要とされる」存在であると思います。弁護士(会)は事務職員の役割を「正当に評価」し、事務職員は、自らの仕事をもっと「アピール」しても良いと思います。 |
一一月には日弁連業務改革シンポジウムの第二分科会で「パラリーガル」問題がテーマとされましたが、日本では「弁護士補助職」として資格のような形が必要であると思いますか。 |
あってもいいかもしれませんね。ただ、現在のままでの導入では資格そのものが生かされないこともあり得るので、現状の改善が必要かと思います。 |
どのような改善が必要でしょうか。 |
法律事務所を普通の「職場」にすることがあげられます。残念なことに相当数の事務所で、法的に強制の労働保険や、社会保険に加入していないなどの遅れた状況にあります。これが事務職員を定着させない大きな要因と思われます。これを個々の事務所任せとせず弁護士会や日弁連で組織的に対応することで、弁護士補助職論議を大きく進展させることができると考えています。 |
パラリーガルに関し、たとえば「破産関係」とか「交通事故関係」とかの資格認定が考えられているようですが、どう考えますか。 |
依頼者は、いろいろな法律問題を抱えて事務所に来ますので、依頼者の立場からすれば、分野制よりは総合職としてのパラリーガルが求められると思います。総合職を経て、それを基礎に分野制が構想されるべきだと思います。 |
パラリーガルが交通事故の「調査報告書」や離婚事件の「陳述書」を作成すること等が考えられていますが、どう考えますか。 |
今でも、多くの事務職員が「調査報告書」や「陳述書」を作成しています。しかし、その多くは教育、訓練を受けず、自らの経験に基づく部分が大きく、必ずしも法的理解や手続的理解が十分ではありません。研修の必要性が求められるところですね。 |
簡易裁判所にパラリーガルが弁護士の監督の下に出頭することについてはどう考えますか。 |
ホットな司法改革の問題ですね。一定程度の研修を経ればパラリーガルでも可能だと考えますが、弁護士会、裁判所は勿論のこと、隣接業種、依頼者との関係でも国民的合意が必要だろうと思います。 |
その他裁判に関し、弁護士補助職の役割をどのように考えますか。 |
証拠収集から、裁判手続、破産管財などまで幅広く、目立ちませんがその役割は重要なものと考えています。その役割を充分果たすためにも研修制度の充実、確立を早期に実現してもらいたいです。 |
(インタビュー 副会長 斎藤 芳則)
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小林嗣政会員を関弁連理事に推薦 次年度関弁連理事長へ | ||||||||||||||||||
第八回常議員会は出席者一八名を得て開催された。 | ||||||||||||||||||
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[報告事項] | ||||||||||||||||||
1、前回常議員会で委嘱された特別委員会より、次期関弁連理事(理事長含み)として、小林嗣政会員を推薦する事が報告され、承認された。
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2、ピロティー問題の件
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岡本会長より、裁判所との話合いにおいて、裁判所の本工事に差し支えなければ、裁判所に図面を提示して承認を得た上、着工しても構わないとの報告がなされた。
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総務委員会において、特別委嘱委員を選任し、ピロティー問題の専門部会を発足させ、早々に検討に入いる事となった。
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3、本新聞七月号以降の常議員会レポートに掲載されていた、二名の入会申込者についての報告をする。紙面に余裕がなかったために報告が遅れていたものである。
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二名は同じ大学の法学部の教授であった。二名の所属していた大学は、昭和五一年に設立され、平成元年法学部設置、同六年三月大学院法学研究科設置の新設大学である。大学院設置後、弁護士法五条第三号(以下「法」という)の特例適用の要件である五年が経過した直後の本年四・五月に入会の申し込みがあったものである。
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一名はその専攻が、法学・刑事政策・犯罪学であり、又、元家庭裁判所調査官の経験を生かした研究が主であった。最高裁判例及び日弁連基準の示す「基本的実体法又は手続法あるいはこれらの習得を前提とするものと明らかに認められる法律学」に該当するかが問題となった。又、他の一名は、専攻が民法学であるところから、前記問題はないものの、前記大学が法第五条第三号所定の大学に該当するかが議論となった。小委員会において、最高裁判例や、日弁連判断基準等について詳細な検討がなされ、又、申込人からの事情聴取やカリキュラム等の大学の資料についても詳細に検討された。
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以上の結果、二名についてそれぞれ判断した結果、いずれも資格審査会に審査 ・議決の請求をするのが相当であると判断したものである。尚、内一名については、その後申込を取り下げて決着している。
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以上は、今後の会務運営においても重要な問題であるので、敢えて報告したものである。
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(副議長 箕山 洋二) |
常議員からズバリひとこと |
第一回の常議員会の席上、箕山副議長から常議員に対し、「事前配付資料については、十分な検討をするように」との注意がなされました。当然のことを言われたにすぎませんが、なかなか実行することは難しく、前日にあわてて目を通す体たらくのことがよくあります。そんな時、理事者の趣旨説明を聞きながら、昨年度は、緊張して常議員会に臨んでいたことを想い出し、理事者のご苦労を思ったりしています。常議員会の活性化は、このような情緒的なものではなく、活発な意見交換が不可欠です。残された任期を箕山副議長の言葉をかみしめて、初心に帰り、任務を全うしようと思っています。 |
(二四期 井上 嘉久) |
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