横浜弁護士会新聞

2011年5月号  −4− 目次

東北地方太平洋沖地震震災対策チーム発足
 3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生した。本原稿執筆時(4月13日)において、死者、行方不明者は、あわせて2万8000人をこえる大惨事となっている。地震、津波、原発事故による放射能の影響、計画停電等、東日本全体の日常生活に影響が及ぶ異常事態である。
 神奈川県においても、震災による死亡者、負傷者の発生、主として福島県からの避難者の受け入れ、放射能に関する不確定な情報への対応、災害対策、喫緊の課題は山積みである。
 当会においても、事態の緊急性から、3月24日東北地方太平洋沖地震震災対策チームが発足した(座長小島周一会長、副座長服部政克副会長、事務局長小賀坂徹会員)。
 早速、神奈川県下にある各避難所への無料出張法律相談、被災者専用ホットダイヤルの開設(同4月7日から)、当会員向けの震災対策の研修会の実施(4月5日、講師池田哲也会員、飯田学史会員、参加会員54名)など、旺盛な被災者支援活動が展開されている。
 今後の同チームの支援活動は、(1)とりわけ被害が甚大であった岩手、宮城、福島へ被災者支援のため当会会員の現地派遣(2)神奈川県下への避難者を中心とする被災者支援(3)災害救助法、生活再建支援法、東日本震災復旧復興対策基本法案等、各種法令が被災者支援のために効果的かつ具体的に利用されるよう行政各機関等への政策提言が中心となる。
 自宅を失ってしまいあるいは原発の影響で自宅にいることができない被災者が、仮設住宅(県外への避難者は県営住宅、市営住宅)に入居してから、生活再建へ向けての被災者支援は具体化する。今後、法律家への法律相談の需要は、多くなってくるであろう。復興への道のりは、途方もなく長いものになるであろうし、生活基盤を失った被災者支援も、継続的かつ長期的なものになるであろう。当会会員の被災者支援も、継続的かつ長期的な努力が求められる。
(会員 沢井 功雄)

クラブ紹介 非常設だが固定メンバーの技量は高い! 「演劇部」
 当会は、毎年「弁護士フェスタKANAGAWA」を開催しており、フェスタのメイン企画は大講堂で行われる「劇」である。演劇部は、この劇のために活動するクラブである。
 私は、近年、脚本・出演という形で携わってきた。キャスティングも白紙状態から決めていくので、このとき白羽の矢が立った会員や司法修習生が演劇部員となる。司法修習生のうち特筆すべきは神奈川大学法科大学院出身者である。ここ数年は毎年この大学院からの司法試験合格者が数名演劇部に入部しており、彼らの活躍なくしてクラブは成り立たない。この場を借りて御礼を申し上げたい。
 さて、我々の劇は高い評価を受けているが、それには理由がある。それは演出がプロによってなされ、芝居の完成度が高いからである。当然稽古は厳しい。しかし、ここから学ぶことが少なくない。
 それは、言葉を伝えることの難しさである。
 大声を張り上げても、ほとんど「ダメ出し」をされてしまう。舞台からの声が観客に伝わらない、いわゆる「声が通らない」という現象である。これは呼吸の問題もあるが、要は大きさではなく「気持の入った声」、「意欲のある声」でなければならないということである。逆に、小さい声でも、声に気持が入っていれば十分に通る。ここが難しい。
 何だか、哲学的な問いかけをしているようだが、そうとしか言いようがない。私たちは、人前で話すことを業としている。演劇部の稽古は、私たちにとって言葉を伝える貴重な体験である。
 この貴重な体験をしたい会員は、是非、ご参加願いたい。
(会員 岡 俊之)

コーヒーブレイク(9) 靴墨の香りに包まれて
 つい先日「やまゆり」で靴について書いたばかりであるが、機会を与えられたので改めて書いてみたいと思う。今回は写真も掲載されるということで、特にお気に入りの靴を12足ほど並べてみた(総数の半分といったところ)。仕事では履けないような茶系のグラデーションがかった靴が多く、カラーでお見せできないのが残念である。
 靴には、履く楽しみはもちろんのこと、オーダーする楽しみ、眺める楽しみ、磨く楽しみがある。
 私自身、ビスポーク(木型から作るフルオーダー)は経験したことはないが、パターンオーダーであっても出来上がった靴に足を通すと何とも言えない快感を味わうことができる。将来は、イタリアのフィレンツェに工房を構える日本の靴職人に、ビスポークをしてもらうのが夢である。靴としては、値段がかなり張るので、おそらく夢のまま終わると思うが…。
 磨く楽しみについては以前にも触れたが、靴磨きの世界にも専門家がいる。バーさながらの店内でドリンクを飲みながら、カウンター越しに自分の靴が鮮やかに磨かれていく様を眺めるという、靴好きでなければ全く興味が湧かないであろうシチュエーションも私の楽しみの1つ。
 家に帰れば、枕元に靴を置いて靴墨の香りを楽しみながら眠るのは至福の時間である。私が酒を飲めれば酒の肴にもなったであろう。
 目下の悩みは、妻に内緒で購入した靴が増え、保管場所(隠し場所?)に事欠くようになってきたことである(写真の12足の内、妻が知っている靴はわずか2足)。引越時には一時トランクルームを借りることを検討しなければならないかもしれない。
(会員 久保田 辰)

備えてあんしんローゴヨーイ・ドン!

編集後記
 震災から一月経つが今でも時折大きい余震がある。我々はなんと脆弱な土地の上に居を構えているのだろうと思うと憂鬱になる。亡くなった人達の生前最後の様子がニュースで伝えられるたびに胸が締め付けられるようだ。僕らができることを精一杯して、被災者の方々が一日も早く普通の生活に戻れるよう支援して行きたい。
 東日本大震災で被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。
デスク 岩田 武司  1面3面担当 池本 康次
久保 義人
 2面担当 大関 亮子
     4面担当 久保田 辰    

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