横浜弁護士会新聞

2009年8月号  −4− 目次

キャンバス アバウト ソウル・スウォン・アートの旅 パート1
会員 山本 一行
 フランス、スペインに続き、当会美術同好会海外スケッチ旅行の第三弾は、韓国である。メンバーは、団長大川隆司会員、岡村共栄会員、稲生義隆会員、小川芙美子さん(千葉県弁護士会)、福庭須美子さん(元横浜地裁書記官)、堤浩一郎会員のご令嬢和歌子さん、そして私の7名。堤さんを除けば私が最年少である。
第一日目 曇り
 朝7時20分羽田空港国際線ターミナルに集合。出発ロビーで、大川団長入念な準備を披露。ガイドブック3冊を熟読の外、旺盛な知識欲は、朝鮮の歴史、ハングル文字の解読までに及び、一同ただただ感服。この大川団長の指示に従って行動すれば安心の筈だった。
 大川団長の第1日目のスケジュールは、地下鉄に乗って国立中央博物館の見学。ところが…。まず、地下鉄の駅へたどりつくまで遠廻りをしたのはご愛嬌。切符(カード)を購入するのに手間取ったのもご愛嬌。タッチをして入場しようとしてバーにつかえたメンバーがいたのもご愛嬌。最後に、大川団長の指示のもと乗った電車を間違え、メンバーは、ソウル市内を行ったり来たり、とうとう3本目の電車を降り、タクシーで国立中央博物館へ行く羽目になってしまった。ほうほうの体で目的地へたどり着いたメンバーの目からは、大川団長に対する信頼感は失われていた。
 夕食は、海鮮鍋を、というのが大川団長の主張であったが、もはや大川団長の意見は通らない。「やっぱり焼肉でしょ。」ということになり、合流した岡村会員の依頼者の案内で明洞(ミョンドン)の焼肉屋へ。さすがに韓国の焼肉(骨付きカルビ)は美味い。海鮮チヂミも、カンジャンケジャン(ワタリガニの醤油漬け)も美味い。食べ放題のキムチは絶品。ということで一同大満足。
 しかし、大川団長はめげない。焼肉屋へ来る途中で見つけた寿司屋に行ってみようと提案。男3人が同行。ところが寿司屋は既に閉店。隣にある日本語で「まぐろ」と書かれている店へ入り、メジマグロに金粉が乗っかっている刺身を肴にジンロを飲むことに…。
第二日目 雨
 地下鉄に懲りた面々は、タクシーで景福宮(キョンボックン)へ。約1時間の自由行動の後、大川団長の後について古い町並が続く北村(プッチョン)エリアを散策。大川団長が目指すは、あさりの煮込みうどん(クッス)と韓国餃子(マンドゥ)の店。大川団長は健脚。集団は2つに分かれ、その後長い列となり、とうとう最後列が見えなくなってしまった。待つことしばし。最後の人が、店先で売っていたトッポッキを片手に追いついた。余程お腹がすいていたらしい。雨中一万歩の強行軍のためもあって、料理は美味い、ビールもすすむ。料理は前記2品のみ。店内は満席。やはり、特化するとこうなるものか。
〈すっかり自信を取り戻した大川団長のお話は次号〉

秘境の島を旅する 公害・環境問題委員会西表島調査
 日本最西南部の八重山諸島に属する西表島。亜熱帯の原生林で覆われ、希少な動植物が数多く生息する秘境の地である。当委員会は8年前にも一度訪れているが、昨年は対馬でヤマネコを調査したこともあり、もう一つのヤマネコ生息地であるこの島を再び訪れることにした。
 メンバーは委員13人(宮澤、岩橋、小倉、竹森、佐藤正幸、東、服部伸、安富、吉澤幸、櫛笥、矢澤、鈴木芳、畑中)+α。まず先発隊が6月18日に石垣島にある竹富町役場を訪ね、川満町長とも会談し、イリオモテヤマネコ保護策や離島特有の諸問題についてヒアリングした。それにしても梅雨未だ明けずというのに南国の陽射しの強さよ。そしてそれに見合うオリオンビールの美味さよ。
 翌朝からいよいよ西表入り。環境省野生生物保護センターを訪ね、自然保護専門員の岡村女史から保護策の現状についてのレクチャーを受け、島内の関係現場も案内してもらう。予算も人員も乏しい中、ヤマネコの交通事故防止策に知恵を絞り、生息地の開発防止に奔走し、孤島で孤軍奮闘している彼女の頑張りぶりには本当に頭が下がると同時に、無駄な事業に税金を注ぎ、生態系の保護を軽んじてきたこの国のあり方が嘆かわしく思える。
 公式調査後は、とにかくこの大自然を味わうべしとばかり、カヤックでマングローブの川を漕ぎ上り、ピナイサーラの滝までジャングルトレッキングして滝つぼに飛び込んだり、海に出てはサンゴでできた無人島にボートで渡り、シュノーケルで竜宮城の如き世界をゆらゆら漂ったり。夜は夜で真っ暗闇を懐中電灯のみ頼りに自転車探検し、海辺に出てありえないような満天の星空を抱き締め、朝は朝で鏡のような川に漕ぎ出でて、夜明けとともに水面に散る幻のサガリバナと逢引きし。
カンムリワシ
カンムリワシ
セマルハコガメ
セマルハコガメ
ヤシガニ
ヤシガニ
 ヤマネコの雄姿は拝めなかったものの、カンムリワシ、セマルハコガメ、キノボリトカゲ、アカショウビン、サキシマカナヘビ、ヤシガニなど、固有希少な生き物たちに力一杯出逢い、もちろん泡盛や島料理も精一杯堪能し、6月22日まで充実した調査旅行となった。胸いっぱいに残るのはやはり、生物多様性の素晴らしさ。生物多様性基本法の前文も「生物の多様性は人類の存続の基盤」と謳っている。その意味をひしと強く感じ、旅装を解いた。
(公害・環境問題委員会副委員長 畑中 隆爾)

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編集後記
 またまた島調査に行ってきました。サキシマスオウノキは上の写真のように板根で有名ですが、果実も面白いんです。ウルトラマンの顔のモデルになったと言われているんですよ、ほら。
デスク 畑中 隆爾  1面担当 喜多 英博  2面担当 三浦 靖彦
     3面担当 三谷  淳  4面担当 田丸 明子

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