副会長 工藤 昇 |
来年5月21日から、いよいよ裁判員裁判が開始されます。単位会の中には延期決議をあげたところもあり、近時は国会でも延期を求める動きがあるようで、先行きはやや不透明になってきたようにも思いますが、私は、裁判員裁判に強い期待を抱く者の1人です。 |
確かに、いろいろな問題を抱えての船出になるかもしれません。私自身、模擬裁判でうかがい見た評議の様子に、その場のムードで簡単に結論が流されかねない、どちらにもぶれかねない非常な危うさを感じざるを得ませんでした。実際、特に量刑面の判断が大変厳しいものになるおそれは多分にあるのではないかと思います。 |
しかし、少なくとも、これまでよりは、弁護士にとってやりがいのある裁判が行われる可能性があります。これまで、どれほど必死に被告人の無実を訴えても、木で鼻をくくったようにはねつけられてきた経験をお持ちの方は多いでしょう。裁判員は、柔軟な判断が期待されるだけ、弁護人の努力や意気込みが伝わる余地が大きいとも言えるのではないでしょうか。 |
大変な裁判になることは間違いないと思いますが、個人的には、極力楽観的に、昔はまった映画「アラバマ物語」や「情婦」の主人公になったつもりで、裁判員裁判を楽しんでやろうと思っています。 |
最後に、オリバー・W・ホームズ判事の言葉を。「ひとは時代の激情と行動とに参加しなければならぬ、さもないと、彼は後世、その時代に生きていなかったのだと判断されても仕方がない」。 |
刑事裁判について言えば、まさしく今が時代の転換点です。皆さんも、ぜひ、積極的に裁判員裁判にご参加いただき、ご自身の肌で、この時代の動きを感じてみてください。 |