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山本安志法律事務所にお邪魔して、所長の山本安志会員にお話を伺った。事務所内では、山本会員撮影の美しい写真が随所に飾られ訪れる人を和ませている。同事務所は今年で設立30周年を迎えるということであるが、早くからホームページを立ち上げ事務所情報を公開してきたことで有名である。そこでインターネットの活用を中心に特徴を伺った。 |
《インターネットでの情報公開について》 |
山本事務所は平成12年から事務所ホームページを開設し、市民からのネット上のアクセスをいち早く可能にしている。現在、新規の法律相談申込のうち、実に約3分の2がホームページを見て事務所を知った相談者であるという。 |
ホームページの運営において最も気を配っているのは、豊富な情報量、掲示板相談の回答の迅速さ、親しみやすさの3点とのことである。ネットで寄せられた相談にホームページ上で回答する掲示板相談は、質問が寄せられた当日もしくは翌日にはほぼ回答するということで、この迅速さが相談者からの信頼を得る一つの重要な要素になっているようだ。 |
また法律相談を希望する依頼者に対しては、迅速に相談が可能になるように、毎日当番制で担当弁護士を決めるようにしており、弁護士不在時でも事務局がスムーズに法律相談の予約を設定できるよう工夫しているとのことである。 |
《徹底した効率化》 |
また同事務所では、データベースを使用して独自のシステムを構築し、徹底した事件管理と情報の集約と共有化を同時に行っている。各弁護士および事務局が同システムに依頼者の氏名・事件名や進捗状況などを入力する。当該システムを用いることで、事務所全体で利益相反のチェックを行ったり、離婚・相続等類型別に情報を管理したり、事件の進捗状況を整理したりしている。当該システムは依頼者の氏名や事件名などを一度入力すれば、クリック一つで期日請書・書類送付書・経過報告書などの書式が出来上がる仕組となっており、繰り返しになる無駄な作業を極力省けるので、勤務弁護士や事務局員からも好評であるとのことである。 |
なお、ホームページの作成や更新・リニューアルや、事件管理のシステムを常に進化させたりするためには、それ相応のコストがかかる。そのため、効果と費用のバランスの見極めが難しいということであったが、今後も先駆的な取り組みに挑戦していきたいと話す山本会員の声は明るかった。 |
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このたび私は、高知県の安芸ひまわり基金法律事務所での3年間の任期を終え、本年1月、神奈川に戻りました。 |
私が赴任した3年の間、公設事務所は全国で約80か所に増え、法テラスも稼働しました。四国内でも、安芸ひまわりが唯一の公設事務所だった3年前から、現在では7か所の司法過疎解消型の事務所(ひまわり公設・法テラスの地域事務所)が稼働しています。 |
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このように、司法過疎解消に向けての動きは徐々に進んでいます。しかし、現在稼働している司法過疎解消型の事務所は全国で約100か所に上り、毎年30か所前後の引継ぎが必要になる状況が始まっています。そして後任募集後も相当期間応募がなく、事実上事務所を離れられないケースも出始めています。 |
他方で、赴任者が任期を終えて戻っても、その受け皿がなければ、仕事ゼロの状態から再スタートすることになってしまいます。 |
また、公設事務所での仕事は、当然ながら非常にやり甲斐がありますが、それだけに、任期を終えたときに次の目標を見つけにくく、「唯一の弁護士」から「大勢のうちの一人」に戻る落差に喪失感すら抱いてしまう実情もあります。 |
私は幸い、津田久敬弁護士が後任として手を挙げてくれ、また日本大通り法律事務所が受け皿になってくれ、恵まれた環境で戻ることができました。 |
しかし他方で、当会出身の徳田暁弁護士の赴任する米沢は、1月現在でまだ後任の応募がありません。喫緊の課題として、是非熱意ある後任者の応募と受け皿をお願いしたいと思います。 |
もっとも今後、後任を安定的に供給するためには、個々の熱意だけでなく、その後任者の供給源と、赴任者が任期後に戻る受け皿を制度として作る必要があります。 |
また今後、司法過疎地での貴重な実務経験をした赴任者が、これを後進に伝える場も提供して戴けると大変励みになります。 |
私は、大規模会にはそのような役割が期待されていると考えており、私自身も、事件処理や事務所運営等に頭を悩ませ、解決の方法を模索した経験、そして地方で仕事をする魅力も伝えていけたらと考えています。そのための適切な形は模索中ですが、都市型公設事務所の構成員になることなどは、その分かりやすい形だと思っています。 |
(会員 石川 裕一) |