横浜弁護士会新聞

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2003年7月号(1)

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平成15年度 通常総会 全議案満場一致で可決 箕山体制 順調なすべり出し
 五月二一日、当会会館五階大会議室において、平成一五年度通常総会が開催された。箕山執行部にとっては初めての総会とあって、所定の位置に着席した新理事者一同はやや緊張した面持ちであったが、出席者一〇〇名となった午前一時三〇分、開会宣言とともに通常総会が開始された。
開会宣言・会長挨拶
 箕山会長の開会宣言に引き続き、就任挨拶及び所信表明がなされた。
 箕山会長は、司法を巡る変化のスピードが速まる中で、新制度の運用が正しくなされるよう対応することの必要性について述べると共に、そのためには弁護士および弁護士会のパワーアップが必要不可欠であるとの認識を示した。
 また、四支部との協力体制を重視することや、弁護士会の各委員会活動の効率化を図るためにITを利用していくとの方針を明らかにした。
議長・副議長指名
 議長・副議長には、須須木永一会員・小島周一会員がそれぞれ指名された。
新入会員紹介及び退会者報告
 影山副会長から平成一四年五月の通常総会以降、研修所を終了したばかりの二六人を含む三六名の入会者と、二件の弁護士法人の入会、死亡等の事由による二八名の退会者が報告された。
 これにより、当会の現在会員数は、七四九名と二法人となった。
平成一四年度会務報告
 最初に前年度副会長の青木孝会員から平成一四年度の会務報告がなされた。
 執行部が法律扶助増額決議を求めて県内全市の首長及び議会に対して行った請願・陳情活動や、会の財政危機打開のための納付金督促強化とその成果、懲戒問題への対応と事前公表制度の策定や市民窓口の充実、さらには県内四支部を会則・会規上正式に定め、全会が一体として活動する基盤を作りあげたといった諸活動が報告された。
 続いて調査室、財務室、事務局運営室や各委員会から活動実績や、今後の方針といった点についての報告がなされた。
 さらに、前年度に支部が正式に当会における組織として位置づけられたことから、今回初めて総会において各支部についての活動報告がなされた。高柳馨川崎支部長が四支部を代表し、小田原支部が全国の支部で初めて行った裁判員劇等多くの支部独自の活動内容が報告された。
第一号議案 平成一四年度決算報告承認の件
 前副会長の田中隆三会員から平成一四年度の決算報告がなされ、異議なく承認された。
 報告によると、法律相談センターへの納付金の支払が督促強化によって大幅に増加したため、センター特別会計から一般会計への繰出金が当初予算を大幅に上回ったことに加え、財務室が委員会活動費などの削減を実現したことから、当初の赤字予算から黒字への決算になったとのこと。これにより、最近の財政悪化に伴う会費値上げは当面避けられそうであるが、司法改革関連の支出や会館建替などの難問が山積している状況で、会財政に余裕がないことは相変わらずのようである。
第二号議案 平成一五年度予算議決の件
第三号議案 平成一六年度四・五月分暫定予算議決の件
 小島副会長から平成一五年度の予算及び一六年度四・五月分暫定予算について説明がなされ、満場一致で承認された。
 平成一五年度の一般会計の収入については、会員増加に伴う収入増が見込まれる一方、会館の維持管理費支出も増えることが予定されているため、昨年同様の赤字予算となっている。昨期は黒字決算となったが、今期も同様になるかは不透明であり、将来を見越した財政の充実化への道のりは未だ遠いと言わざるを得ない。
第四号議案 横浜弁護士会会則一部改正の件
 当会から裁判官任官して、退官直後に当会に再入会する場合や、公設事務所に赴任するために退会した者が退会後五年以内に当会に再入会する場合の入会金免除を可能とし、また、各種必要書類の変更のために会則を一部改正するとの議案が可決された。
第五号議案 綱紀委員会委員選任の件
 任期満了及び常議員就任に伴う辞職者の後任として、竹中英信、森和雄、渡邊利之、松浦光明、伊藤秀一、藤田勝の各会員が選任された。
日弁連報告
 平成一四年度日弁連副会長を務めた須須木永一会員から日弁連で行った綱紀懲戒制度の改正についての活動報告や、喫緊の課題である裁判員制度、公的弁護の問題、さらには弁護士費用の敗訴者負担問題の現状について報告がなされた。
 また、日弁連業務改革委員会委員長の高橋理一郎会員、日弁連刑事弁護センター事務局長の岡田尚会員からも日弁連の最新の状況についての報告がなされた。
前理事者へ感謝状贈呈
 前会長である池田忠正会員の退任挨拶に続き、箕山会長から前理事者に感謝状が贈呈された。
 今回の総会も、出席者が少なく、一〇一名にとどまった。会名変更を巡る三月の臨時総会では二三〇余名の出席を得ている。通常総会での決算・予算についても会の今後のあり方に関わる重要な問題であることに変わりないはずである。総会においてより実質的議論がなされるためにも、多くの会員の出席が望まれるところである。

裁判員ドラマ…見るのはあなた
 五月一二日、当会会館五階で神奈川県下で初の「裁判員ドラマ」が上映された。定員一二〇名の会場に合計一二五名もの参加者が訪れ、盛況であった。参加者の内訳は、市民九九名、弁護士二六名であった。
 日弁連が企画し、石坂浩二主演、近藤晋プロデュース石橋冠監督の映画「裁判員−決めるのはあなた」である。テーマは司法改革論議の中で注目されている裁判員制度である。法律上の新制度を紹介すると、どうしても説明調になってしまうが、この映画はストーリー性も十分にあり、裁判員となった人たちの人間模様も浮き彫りにされて、感動もする。主演の石坂浩二がキャリア裁判官の雰囲気をリアルに演じている。映画として上出来との声が会場から多数聞こえた。
 来場者の中には昨年の弁護士フェスタで模擬裁判の「裁判員劇」に参加した人もいて、裁判員制度に理解を示している市民が多く、上映後の質疑応答も活発であった。解説者はドラマ制作に深く関わった小池振一郎第二〇回司法シンポジウム運営副委員長(二弁)であり、市民の関心の高さに驚いていた。今後六月二八日午後二時相模原市立産業会館、七月一二日午後七時小田原市民会館小ホール、七月十八日午後六時川崎市いさご会館と順次上映の予定である。
(副会長 小長井雅晴)

山ゆり
 毎朝、事務所へ通う道すがら、ふとした瞬間に季節の移ろいを感じさせられる
駅の構内から出た瞬間の空気の匂い、ビルが作る影の長さ、潮の薫り、道行く人の装い。昨日よりは今日、今日よりは明日と日々夏の気配が強くなっていく。夏が大好きな私は、汗だくになってビールに喉を鳴らす夏の日の自分の姿を想像してつい心が躍ってしまう。一年中夏であったらこのような季節の移り変わりに喜びを感じることはないのかもしれない。四季のある国に生まれて良かったと思う瞬間である
季節の話とは関係ないが、弁護士として働く日々の業務の中で社会の大きなうねりを垣間見る瞬間がある。増加する倒産事件などはこの不況の時世をもっともわかり易い形で映し出しているものであろう。わずか数日の間に跳ね上がる破産事件の事件番号にはただただ驚くばかりだ。倒産事件に限らず各種の事件の背後には現在の不況の影が見え隠れしている。個人の経済的窮状、精神的疲弊、不安 イラスト
季節に移ろいがあるように人の世の中にも好いとき、悪いときがあるはずだが、そんな中でも世の中が少しでも好い方向に向かっている、そんな実感を感じる瞬間に少しでも多く立ち会うことができたらと心から願う。そのために自分には何ができるのであろうか。いつもの通勤路、ふと立ち止まってみたがなかなか答えは見つからない。夏の日差しは昨日より強くなっている。
(早川 和孝)

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