2003年4月号(4) |
「一乗谷への誘い」 |
会員 市村 大三 |
一乗谷に魅せられ、このたび朝倉義景を主人公とした小説「一乗谷残照」を執筆した市村会員に、舞台となった一乗谷について語っていただきました。 |
九頭竜線は福井から九頭竜湖まで走っている、JRのローカル線です。この九頭竜線で福井から一八分のところに一乗谷はあります。ここは戦国時代、越前朝倉氏が都を置いていたところです。 |
当時一乗谷は、応仁の乱以来荒れていた京から、多くの学者や文化人が訪れた、文化と芸術の都でした。そして一乗谷朝倉氏五代目朝倉義景のとき、織田信長に滅ぼされ、焼けた一乗谷は全面灰に覆われました。以来四百年、昭和四二年にいたって発掘され、戦国城下町が永い眠りから目覚めました。 |
一乗谷は南北約二キロ、東西は広いところでもやっと五百メートルという狭い谷ですが、往時はここに一万人もの人口がひしめいていたそうです。しかし現在は、朝倉氏の館跡や庭園跡が復元されているほか、武家屋敷跡や町屋跡が、遺跡として保存されています。また朝倉館跡と一乗谷川を挟んだ向かい側には、武家屋敷や町屋が立体的に復元され、ここを歩くと戦国時代の町並みを体験できます。そのほか山城跡や、足利義昭の滞在した御所跡など、一乗谷は谷全体が遺跡です。そうした意味で一乗谷は、貴重な戦国時代遺跡です。 |
皆さん福井というと、永平寺と東尋坊、あとはカニを食べて終わりというところではないでしょうか。しかしもう一歩足を延ばして、ぜひ一乗谷を訪れてみてください。そして戦国時代遺跡を歩いて、歴史ロマンに浸ってみてはいかがでしょうか。 |
このたび私はここ一乗谷を舞台とし、朝倉義景を主人公とした小説「一乗谷残照」を書きました(夢野大志著、文芸社刊)。これは信長、秀吉、家康側からではない、敗者からの視点で描いた歴史小説です。それは凡愚な人物とされてきた義景を再評価すると共に、戦国城下町遺跡一乗谷を、多くの人に知ってほしいという思いから書きました。 |
冒頭に一乗谷は福井から一八分と書きましたが、現在は待ち時間が三時間もあることがあります。多くの人が一乗谷を訪れるようになって、こうした状態が解消されるとよいと思います。 |
悪いやつらは許せない |
第56期司法修習生 安國 治彦
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司法修習生の安國治彦と申します。現在、私は、弁護修習として、港都綜合法律事務所で勉強させていただいています。弁護士志望の私にとって、弁護修習は待ちに待った実務修習で、とても楽しみにしていました。そして、港都綜合に配属になり、毎日実に楽しく、修習をさせていただいています。今回は、私が事務所にいて、感じていることについて、書かせていただきます。 |
さて、私の指導担当弁護士は松浦光明先生ですが、先生の法律相談において、顧客に対し厳しいことをおっしゃっている姿を何回か拝見させていただきました。当初、弁護士とはいえ、客商売であるので、客に厳しいことを言うなどということは少ないと思っていたのですが、先生は、「きっちり」叱っていました。これを見て、弁護士は単なる商売ではなく、社会正義の維持という崇高な使命がある以上、先生のように、たとえ客といえ、不正に対しては、厳格な態度で臨むべきだと考えさせられました。また、これに関連するのですが、松浦先生は、民暴に関してかなり精力的に取り組まれていらっしゃいます。私がその理由につきお尋ねしたところ、「暴力で不正に解決するというのが、単純に、許せないんだ」とのお答えでした。 |
法曹関係者には、正義を守る義務があるはずですが、その前提として、先生のお言葉通り、素朴な「悪いやつらは許せない」という正義感を常に持つことが必要と思います。もちろん、なにが正義かは、各人異なるものですが、せっかく正義というものに関わっていける仕事に就ける以上、正義を貫き、自分の信じるもの、守りたいものを守れる弁護士になるべく、より強い精神力と能力を身につけていきたいと思いました。 |
さらに、今楽しい修習生活を送れる大きな理由は、先生方と事務員の方々との間にとても厚い信頼関係があり、それがひしひしと伝わってくることです。いい雰囲気の下で、初めていい仕事もできると感じました。 |
このように本当に夢のような修習生活をさせていただいています。この幸運を生かし、多くを学び、いい弁護士に早くなるべく、精進したいと思います。 |
(指導担当 松浦光明会員)
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恒例の三庁対抗囲碁大会が、二月一五日、三庁から総勢四一名の参加を得て、横浜弁護士会館五階で開催された。 |
激戦が予想されたAクラスは、裁判所A1が、前評判の高かった検察A1との直接対決を僅差でしのぎ、その他の試合もすべて二勝一敗で切り抜けて、二年ぶりの優勝を遂げた。弁護士会A1(柴野眞也・木村和夫・宮下浩司)も奮闘した。最終的に裁判所A2と勝星・対戦相手の獲得勝数何れも同じで並んだため、大将の成績の比較で決定することになったが、三戦全勝の大将柴野を擁した弁護士会A1が準優勝となった。 |
Bクラスは、検察庁チームの圧勝であった。あえて波乱といえば、段位順にチーム編成をしたはずが、検察B1対B2の全勝対決をB2が制したことであろうか。検察両チームの表彰式におけるスピーチが、例年に比較して非常に短かったところに、複雑な心理状況が示されていた。弁護士会B1チームも総合二勝一敗と健闘したが、個人勝数が一つ及ばず、惜しくも三位にとどまった。 |
三庁対抗戦は、毎年二月の第三土曜日に開催されるが、スキーシーズンと重なるため、参加者確保に苦戦を強いられている。悲願のA・B両クラス制覇に向けて会員各位の積極的参加をお願いしたい。 |
(会員 三浦 修) |
お悔やみ申し上げます 箕山保男 会員 平成一五年三月一二日ご逝去 享年九二歳 明治四三年九月一二日生 昭和二四年四月六日当会入会 |
いろいろな相談にお応えします。 | ||||||||||||||||||
横浜弁護士会総合法律相談センター | ||||||||||||||||||
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編集後記 | ||||||||||||||||||||||||
今年度も理事者交代の時期がきました。弁護士会の役割が増大する中で処理すべき業務も増え大変だったことと思います。本当にご苦労様でした。ところで,若い期の会員はご存じないかもしれませんが,理事者の候補者は毎年会員により開かれる「梅香亭方式」という会合で推薦されています。私は,会員相互の信頼関係を基礎にしているこの方式が,当会の雰囲気に合った制度だと,とても気に入っています。これからも,互いに信頼し合える自由な雰囲気の弁護士会であって欲しいと願っています。 | ||||||||||||||||||||||||
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