横浜弁護士会新聞

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20004年1月号(4)

 
新人弁護士奮闘記 第55期 西村紀子
私は仕事 ジロ様はお休み
 私にとって、仕事を計画的にやることは本当に難しい。もっと早くにてきぱきやっていればいいのに、後回しにしたり、記録をだらだら読んでいたりして、気が付いたら前日にパニックを起こす。まだ1年目で仕事もそれほど多くないというのに、もう何回もそのような経験をしている。そんな私のパニックを緩和してくれるのは、まるっきり緊張感のない、我が家の飼い猫ジロ様である。
 ある時、そのような苦しい日がやってきた。事務所の弁護士と共同で受任している刑事事件。初の本格的な否認事件である。やばい(泣)。今晩中に起訴状の求釈明と証拠開示請求書を起案しなければ。家でやろうと考え、記録を持ち帰る。今日は睡眠何時間くらい取れるのかしら、などと考えながら準備をする。
 ところが、私の気持ちが引き締まったところで、外から、ジロ様の声が響き始めた。ミャウリンガルはまだ購入していないが、入れてくれ、飯をくれ、と言っているのははっきり分かる。どんなに忙しいときでも、最優先をしなくてはならない、ジロ様のご飯。私は、ジロ様を家の中に入れ、ご飯をご用意申し上げる。ジロ様は食べ終わると私を呼び出し、私の部屋に入れろと言う。戸を開けると、畳んである布団の上に飛び乗り、眠り始める。
 私は仕事。ジロ様はお休み。私が時々振り返って見ると、手足を万歳状態に広げ、ごろごろと身をよじっている。あまりにも幸福そうな表情にとても複雑な気持ちになる。仕事の区切りがついたので眠ろうと考えた私は、布団を占拠するジロ様にどいてもらおうとジロ様を起こす。ジロ様は、自分はぐっすり眠っていたのに、まるで苦労を共にした同志ででもあるかのような表情で、私を見上げる。私は、やはり複雑な気持ちになる。そして、朝ごはんをくれと鳴き叫び始めたジロ様を部屋から追い出し、鳴き続けるジロ様の声を無視して一人布団に潜り込んだ。

私の修習日記
弁護修習1か月目…
第57期司法修習生 畔柳秀勝
 私は現在、横浜綜合法律事務所の左部明宏先生のもとで修習させてもらっています。
 さてさて、弁護修習が始まってみると、借金絡みの事件、破産や任意整理が多く、借金が返せなくなって弱っている人がこんなにたくさんいるのかと驚いています。
 世間では破産というのは借金の踏み倒しで、好ましからざる制度と思っている人は少なくないと思います。しかし、破産する前は、金策のことばかり頭にあって、ホームで電車が入ってきたときには、このままスッと飛んだら楽になれるんだろうなって何度も考えたという人も、破産したあとは、すっかり気を取り直して将来の夢を語ってみたりする。そんな姿を見ていると、破産制度は満更悪くないし、法律というものが社会の中で果たす機能の一端を垣間見た気がしました。弁護修習は、依頼者の気持ちをダイレクトに感じられる場であるといえます。
 とはいうものの、3か月という期間では、弁護士の仕事のほんの一部しか見ることはできないと思います。ですから、仕事を覚えるのではなく、弁護士の仕事のやり方をしっかり見られたらと思っています。電話の応対の仕方、相談者への回答の仕方、報酬の説明の仕方、依頼の断り方、雑談どれをとっても、弁護士の先生によってタイプが異なります。
 左部先生は、電話でも、面談でも、恰幅のいい体で「ガハハ!」と豪快に笑い、相談者は問題事を吹き飛ばしてもらっているように思えます。相談者は、安心した表情で帰っていけているように感じます。弁護士には、法律だけでなく、相談者に安心感を与えられるような要素も必要だろうなと思います。私は弁護士になったら、どんなタイプの弁護士になるのだろうか。理想像を求めつつ、あと二か月弁護修習に励みたいと思っています。
(指導担当 左部明宏会員)

弁護士フェスタ 文化部編 あの女流棋士に挑む!
 多彩な催しで多いに賑わったフェスタだったが、当会の美術愛好会と写真倶楽部も各メンバー自信の作品を展示披露し、芸術の香りを品良く添えた。鑑賞する人の表情には「意外に上手なんだな」という驚きの様子が見て取れた。
 また将棋同好会は、今をときめくお二人、船戸陽子女流二段と北尾まどか女流初段を招いて多面指し指導対局を実施した。憧れの女流棋士とのお手合わせとあって参加者が引きも切らず、結構な盛況ぶりであった。
 対局を終えた参加者は「来た甲斐があった」と嬉しそうだった。

いろいろな相談にお応えします。
横浜弁護士会総合法律相談センター
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編集後記
 あけましておめでとうございます。
 一年に一度のカラー紙面です。取材、構成という点からは、白黒もカラーも同じなのですが、何となくウキウキ楽しい気分です。読者の皆さんはいかがでしょうか。
 皆様がこの一年楽しい気分で過ごせますように。
デスク 渡辺  穣 1面担当 浜田  薫 2面担当 畑中 隆爾
3面担当 佐藤  裕 4面担当 早川 和孝

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