横浜弁護士会新聞

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2002年10月号(4)

 
私のホビー 26
会員  
年間100試合観戦 私の指定席
 大洋ホエールズが横浜に移って来た一九七八年の開幕第一戦、横浜スタジアムの柿落しの試合は、肌寒い小雨の降る中で行なわれた。カクテル光線に照らされた人工芝が実に美しく、新調されたユニホームが良く映え、暗く狭い川崎球場を見慣れた眼には、正に別天地に来たような強い印象を受けた。以来、私は足繁く野球場に足を運ぶようになった。
 一度習慣的に野球を観戦するようになると、薬物使用者がたどる道と同様に、観戦回数は次第に増え、今日の試合を観て明日の試合を見ないことが我慢できないようになり、更には、横浜スタジアムでの試合だけでなく、地方で開催される試合が無精に気になり、かくして、十年余前からは、横浜スタジアムでの試合はほぼ全試合観戦することは勿論のこと、北海道から九州まで、全国各地で行なわれる試合を、年間百試合前後観ないではいられない重症の野球観戦症患者になってしまった。症状がここまで進むと、全く回復は不可能であり、横浜ベイスターズが連敗を重ね、開幕早々優勝が絶望的になろうが、ノーアウト一塁二塁で四番バッターにバントさせて併殺に終り、二アウト満塁から三連続押し出しの挙句満塁ホームランを打たれる、と言う何とも情けない負け方をしようが、一向に効き目はなく、症状の改善は見られなくなった。
 私は、専ら外野席で観戦する。外野席には文字通りの常連客が多く、毎試合それぞれ決った席で観る。私にもおそらくは少くともこの十年間私以外に座った者がいないと思われる私のこだわりの席がある。監督、コーチ、選手でも、十年間同じ席から野球を観続けた者は誰もいないのだからこのチームのことについては、自分だけにしかわからないことが見えて来る、そんな気がして来るのである。
 何故外野席で観るのか、と言えば、一つには、打球が自分に向って飛んで来ることである。バックネット裏ではファウルボールはともかく、ホームランボールが飛んで来ることは絶対にない。いつも面白く不思議に思うのは、糸を引くような痛烈な打球が、広い外野に三人しかいない外野手の正面に飛び、外野手が一歩も動かず、これを捕球するのを見る時である。自分もあの位置に立っていれば今の打球を捕れたかも知れない、と思う。こんなことは、多分バックネット裏では味わえない外野席だけの感覚であろう。
 野球観戦は一人でもできるが、観戦仲間がいた方が無論楽しい。テレビ観戦を頭から否定するものではないが、外野席で生の試合を見る方が断然面白いことは間違いない。何試合か見ただけで、ただちに野球観戦症に罹患するものではないから、その点の心配は無用である。(但し、全くその危険がないと言うわけではなく、試合内容によってはほんの数試合観戦しただけで、家族ぐるみで発症し、急速に症状が進んでしまった例もあるので油断はできない。)
 外野席での野球観戦に興味のある方は、是非一度、野球場に足をお運び下さい。

私の修習日記
依頼者と共に笑い共に泣く
第56期司法修習生  星川 信行
 「一般民事でいいんだ。困った人の町医者でありたい…。」
 東京地裁からの帰り道、岡部先生が呟いた。何故か、何気ないこの一言が私の心に響いた。私は日本大通り法律事務所の岡部光平先生の指導のもと弁護修習に励んでいる。
 岡部先生は本当に表情豊か。依頼者の話を忍耐強く聞いてるかと思えば、大きな声で笑い飛ばしたり、叱咤激励をしたり。暗く引きつった顔をしていた依頼者がいつの間にか岡部先生につられ、はにかみながらも表情が豊かになっていく。まさに「心の医者」ともいえるのだ。
 受験時代、前期修習通じて、当事者の顔が見えなかったのが、今まさに目の前に居る。当たり前の事だが弁護士は生身の人間を相手にする仕事だと痛感する。そこでは難しい法的理論なんか二の次で、当事者との信頼関係を如何に築くか、その上で、単なる一方当事者の代理人の立場を超えて、当該依頼人にとって真に適切な解決は何なのかを真剣に誠実に考える事が重要なのだ、という事を教えられる。
 ただジレンマもある。被告である妻の躁鬱が原因で離婚する夫婦の親権の争いで、夫側の代理人になったが、もし勝訴して夫に親権が来たら、不安定な精神状態のなか、子供が唯一の生き甲斐と感じている被告の今後はどうなるのか…と考えてしまったりするのである。まだまだ「青い」。
 泥沼の相続争い、強盗致傷を犯した息子を長く刑務所に入っていて欲しいという理由で示談金を払おうとしない両親、覚醒剤中毒で人生を転落していく二〇代前半の女性など、正面から向き合って考え出すと暗澹たる気持ちになる事件が多い。そんな事件にぶつかった時、懐を深く、依頼者と共に大きな声で笑い、そして泣ける弁護士になりたい。
 今日も先生の大きな笑い声が事務所内に響いている。
(指導担当 岡部光平会員)

ほろ苦い 関越大会祝準優勝
 ほろ苦い関越大会祝準優勝
 「とにかく、東京を倒さなければ、我々に明日はない!」。八月四日、我が横浜マリナーズは、並々ならぬ決意で、快晴の群馬県渋川球場に乗り込んだ。
 今年の関越大会は例年と異なり、初戦で、東京対新潟の勝者とあたることになったからだ。東京が当然勝ち上がりここで東京に負ければ決勝戦どころかこの一試合のみで終わってしまう可能性があった。
 ところが、なんと、新潟チームが東京チームを三対二で破る大金星。東京戦初勝利を悲願とする我々は実に複雑な気持ちでこの試合を観戦したが、気持ちを入れ直し新潟戦に臨んだ。
 正午を過ぎ、うだるような暑さに。だが、前週も、猛暑の中、一日六時間の練習をこなしているマリナーズの面々は、皆、涼しい顔だ。
 初回、先頭打者野木選手のレフト前ヒットで波に乗り、横浜お得意の集中打で三点を先取。投げてはエース畑中投手の速球が要所で決まり、完投勝利で三対一の接戦をものにした。
 いぶし銀小澤選手の好プレーも特筆ものだ。
 決勝戦の相手は、群馬を一九対二の大差で破った埼玉。
 このところ急速に力を付けてきている好チーム。初回、横浜は、またまた集中打で四点を先取し、楽勝かと思いきや、二回埼玉に横浜のお株を奪う集中打を浴びエラーも交え一挙七点を奪われ、六対八で敗戦。結局、今年も準優勝に甘んじほろ苦い思いを噛みしめた。
 懇親会後反省会。畑中選手御尊父より久保田萬寿が振る舞われた。ほろ酔い気分の中、少年のように熱く真剣に野球談義を交わす選手らを見ていて、何とも言えず幸せな気持ちになった。
 ほろ苦さと幸せな気持ちが交錯し、銘酒の芳醇が心の深いところに浸みた一日だった。
(安達 信会員)

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編集後記
 小学校の運動会といえば、赤白二組に別れて勝敗を競うのが常識と思っていたが、最近はそうでないようで赤白に青黄の二色が加わり、四組で競うそうだ。その理由は定かでないが、二者の対決では、今の子供達には興味が沸かないのかも知れない。変革の時代にこれまでの常識と思われたことをスムーズに変えるにはどうすればよいのか。金木犀の香る路を重めの靴で歩きながらふとと考てしまう。
デスク 一面担当 奥園龍太郎 二面担当 芳野 直子
三面担当 大和田治樹 四面担当 狩倉 博之

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