横浜弁護士会新聞

back

2001年4月号(1)

next
 三月一九日、当会会館五階大会議室において、第一号議案−国選弁護運営委員会規定(会規第一条)中一部改正の件(国選弁護報酬手数料値上の件)及び第二号議案−国選弁護人に関する会規制定の件(七七歳事前承認制・推薦停止制の新設の件)を議案とする臨時総会が、午後一時三〇分過ぎ、当会会員五五名出席の下、開催された。議長に井上嘉久会員、副議長に大河内秀明会員が選任されて議事が進行し、第一号議案については、賛成三八名、反対二四名、棄権二名(出席会員六七名)、第二号議案については、賛成四三名、反対六名、棄権七名(出席会員五八名)で、両議案とも原案どおり可決された。これにより、国選弁護人推薦手数料が、八〇〇〇円(地家裁)、六〇〇〇円(簡裁)となること(支部は除く)、国選弁護人について七七歳事前承認制・推薦停止制導入が決まった。
 第一号議案−国選弁護報酬手数料値上の件について、会財政の現状と対策という観点につき杉原副会長から、国選弁護の観点につき松本副会長から、それぞれ具体的データに基づいた詳細な提案理由の趣旨説明がなされた。当会の平成一一年度の単年度収支は約一八〇〇万円の赤字決算で、本年度(平成一二年度)も同程度の赤字決算を出す見通しで、現在の当会の財政状況は危機的状況にあること、当会の収入増の手段としては事業収入によることが機動性に富んでいること、国選弁護報酬の一割程度の手数料というのは昭和五六年以前の段階と同程度であり、年々手数料割合が実質的に低下していったものを是正するに等しいものであること、国選弁護人推薦事務部門の平成一一年度単年度収支は約一三三万円の赤字で、当年度(平成一二年度)においても約一六五万円の赤字となる見通しであることなどがその主な理由とのことであった。
 右の提案理由について、一割を標準というのは一割を上回る場合もあるのか(回答−上回る事のないよう運用したい)、附則第一条但書に記載されてない相模原支部は本庁管内と同一の扱いになるのか(回答−他支部と同様である)、本手数料収入は事業収入となり課税対象となるのか(回答−日弁連及び当会でも公式見解はでていない)、支部との格差を改善されたい、国選弁護を担当する一部会員の負担増となるのではないか等の活発な質疑応答、意見発表が行われ、賛成三八名、反対二四名、棄権二名(出席会員六七名)で理事者提案の原案どおり可決された。
 第二号議案−七七歳事前承認制・推薦停止制の新設の件については、国選弁護人における不適切弁護の存在の見地から、松本副会長により本制度の提案理由の趣旨説明がなされた。罪状認否において被告人が無罪を主張しているのに弁護人が証拠の関係から公訴事実が認められると答弁した事例等が紹介され、弁護士会に対する国民の信頼の失墜を防止する必要性が説明された。
 右趣旨説明の後、七七歳とした理由(回答−会費免除の年齢との整合性)等活発な質疑応答がなされた後、小川光郎会員から、国選弁護人推薦に関する会規の修正案の修正動議が提出され、出席会員二名以上の賛成を得て動議として成立し、小川会員から修正動議の提案理由の趣旨説明がなされた。理事者提案の原案は刑事弁護活動の萎縮効果をもたらすものであり、極力制限は避けるべきであるとの趣旨説明がなされた。
 原案及び小川会員修正案に対し、弁護士自治の観点から原案に賛成する意見、年齢制限には合理性がない等の意見等が発表された後、小川会員修正案は、賛成六名、反対四六名、棄権四名(出席会員五八名)で否決され、原案は、賛成四三名、反対六名、棄権七名(出席会員五八名)で可決された。
 議事終了後、永井会長が、小川会員等の意見を十分に尊重し、運用に慎重を期したい旨挨拶して、臨時総会は終了した。
(渡辺 穣)

二月一四日、弁護士会館五階大会議室において会員集会が開催され、約六〇名の会員が集まって午後一時三〇分から午後四時過ぎまで熱心な議論が交わされた。
会財政の窮状と理事者の対策案
 会員集会は、松浦光明副会長の司会で進められ、永井会長による開会挨拶に続き、会財政の現状と対策について杉原光昭副会長から次のような報告がなされた。
 会の財政は、ほぼ直線的に右肩下がりで、平成一一年度には約一八〇〇万円の赤字に転落し、平成一二年度も同程度の赤字が予想される。支出の約七割は職員の人件費であるが、会費の増額だけで対応することには限界があるため、行政の法律相談・国選弁護等についての会員からの納付金を増額することによって、財政不足を補うべきである。
会財政再建への諸意見
 各会員からは多様な意見が活発に出され、(1)会が手配師的な発想をするのは遺憾、(2)弁護士が公益的活動をすればするほど実質的な会費の値上げとなってしまう、(3)会は身の丈にあったサービスをすべき、等が代表的な意見であった。
 この点に関して、永井会長から「赤字になると分かっていたとしても、市民サービスは会の活動として不可欠。同規模の単位会で当会ほど財政的に逼迫している会はない」との発言があった。
国選弁護人の推薦手数料の増額について
 次に、国選弁護人の推薦手数料を、地裁・家裁分八千円(現行三千円)、簡裁分六千円(現行二千円)とすることについて議論された。松本素彦副会長から、右の金額は現行の報酬額の一割程度であるところ、(1)昭和五六年以前の手数料は報酬額の一割であったこと、(2)他会とバランスを失しないことから妥当であると報告された。また、手数料納付制度がない支部もあるなど、本部と支部間に不均衡があるという点も指摘された。これに対しては、熱意のある国選弁護人から手数料を多く徴収するのは不当、本部からのみ徴収するのは不公平、等の意見が出された。
国選弁護人推薦基準に関する規則制定について
 松本副会長から、不適切弁護の実例が開示され、かかる弁護人に対して単なる自粛要請だけでは既に限界であることから、(1)七五歳事前承認制及び(2)「懲戒処分を受けたこと」等を含む推薦停止規定を設けるべきとの理事者案が提示された。
 この点につき、小川光郎会員から理事者案に反対する旨の詳細な意見書が提出された。同会員は、(1)については、同制度を採用しているのは東弁だけであり、国選のみ同制度を採用するのは不均衡で萎縮的効果の弊害もあること、(2)については、推薦停止事由を単に「国選弁護人としての業務執行に著しく不適当な行為があった場合」とする対案を提示された。また、(1)の年齢につき、会費免除規定と平仄を合わせて七七歳とすべきとの他会員の意見もあった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 会員集会は多くの会員から意見を広く聴取する場であり、その意味で今回の集会は実際に活発な意見の応酬があり、大変有意義であると感じた。しかしながら、参加人数が会名変更の臨時総会に比して明らかに少なかったのは残念であり、より多くの会員の積極的な参加が望まれるところである。
(二川 裕之)

 二月九日の日弁連臨時総会において、法律事務所の法人化に関する基本方針承認の件が可決された。
 法務大臣が解散請求権をもつと弁護士会の自治権が侵害されるのではないか、、責任ある立場にない弁護士が常駐する支店ができてしまうのではないか等の批判があったものの、結局、執行部が支店につき「社員弁護士」に限るとの方針を出し、五九一七対一二九四で可決された。
 なお、単位会としての賛成は当会を含め三七、反対は八であった。
(副会長 滝本 太郎)

山ゆり
 九六年が別府。その後、下関、札幌、前橋、岐阜を経て、今年は一一月に奈良。これだけを見て、すぐにピンと来る人はそう多くはないだろう。これは、日弁連の人権大会が開催されてきた都市である
九六年度(平成八年度)に当会の会長を務めた山下会員、それにこれを副会長として補佐した私たち五名のメンバーが、任期終了後も、飽きもせずに毎年行を共にし、この人権大会に参加してきた。その中心目的は何かなどと聞かないで欲しい
時間をやりくりして近くの名所・旧跡を訪ね、名湯につかり、名物料理に舌鼓を打つ。今秋の古都・奈良ではどのような経験が待っているのか。とても楽しみである
会務というのは、時間と労力を惜しみなくつぎ込んで行う大変な作業である。しかし、同時に日常業務では得難い経験や勉強ができるばかりか、素晴らしい仲間と知り合う契機にもなり得る。毎年人権大会の折に、六人組の珍道中が体験できるなんてすごいと思う
誰かがやらなければならない会務だとすれば、楽しくやるに越したことはない。会務を単に義務として、時には苦痛を伴って参加するというようなことは絶対に避けたい。理事者や委員長には、楽しい会務となるような工夫と努力が求められていると思う
この二年間、広報委員長を務めてきたが、四月で退任する。私自身にとってはとても楽しく充実した二年間だった。しかし、この間、速報性は向上したのか、会報の出来具合はどうだったのか、委員は楽しく仕事ができたのだろうか、…うーん、どうでしょう。
(木村 良二)

▲ページTOPへ
戻る
内容一覧へ