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機関車のロマン

2024年10月18日新倉 武弁護士

 JR東日本・高崎支社エリア内で活躍する電気機関車(EL)とディーゼル機関車(DL)が、車両の老朽化を理由に、間もなく営業運転を終了する。現在、引退前のファイナル運転として記念列車が企画され、今年の11月まで運行中とのことだ。私と近い年代の方の中には、かつて、青い客車を引いて走る電気機関車の雄姿に魅せられた人も多いのではないかと思う。

 私は、司法修習地が青森県だった。当時はまだ東北新幹線が全線開通しておらず、寝台特急、いわゆるブルートレインが現役だったので、修習地と横浜との移動の際に、たびたびこの寝台列車を利用した。下り列車では、上野駅のホームに集まった人たちが東北弁で語り合い、上り列車では、東京へと帰っていくお孫さんたちを、青森駅のホームで高齢のご夫婦が寂しそうに見送っていた。片道12時間超、快適とは言えない部分も多かった。機関車が発進するたびに客車はゴトンと揺れ、夜間に目覚めてしまうこともあったが、そんな時には窓明かりを頼りに時刻表を眺めて、沿線の地に想いを巡らせた。

 時代が進み、今では新幹線が日本各地に延伸され、鉄道旅の所要時間は大幅に少なくなった。しかし、新しく開通した新幹線の道中は、ほとんどトンネルの中だ。利便性と引き換えに味わえなくなった旅情がある。「タイパ重視」の現代社会、最新技術で合理化できるところは合理化しつつも、あえて便利さと距離を置いて付き合うという選択肢を、ぜひ残していってほしいと願う。

 今回のEL/DLの引退は残念だが、実は、関東近辺で乗車できる蒸気機関車(SL)の列車は割と多い。JRでは、「SLぐんま」として、群馬の水上駅や横川駅に向かう列車が運行されている。民鉄では、埼玉を走る秩父鉄道の「SLパレオエクスプレス」や、栃木の鬼怒川エリアを走る東武鉄道の「SL大樹」、茨城から栃木を走る真岡鐵道の「SLもおか」がある。山々にこだまする汽笛の音は圧倒的迫力だ。今の時代を元気に生きるSL達に、この秋、会いに出かけてみるのはいかがだろうか。

写真1

間もなく引退する電気機関車 EF65-501

写真2

秩父路を走るSL

 

執筆者情報

弁護士名 新倉 武

 

こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です

 
 
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