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法教育の楽しみ |
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2024年10月04日佐藤 鉄平弁護士
かれこれ18年ほど弁護士会の委員会活動としての法教育に携わっていますが、最近その面白さを再発見した気がしています。
知らない方のために説明をすると、法教育とは、こどもたちに、法律そのものを教えるのではなく、より基礎的な法的なものの見方や考え方を身につけてもらうための教育活動のことをいいます。
私は、数年ほど前から、日弁連が毎年夏休みに開催している高校生模擬裁判選手権関東大会、または当会が同日開催している交流戦(内容はほぼ同じです)のどちらかに出場する学校の生徒たちへの支援を行っています。支援弁護士と言われたりします。
知らない方のために説明をすると、高校生模擬裁判選手権というのは、高校生が検察官役・弁護人役に分かれて、刑事裁判の本番さながらに争点を巡って公判期日における訴訟活動を行うことにより、他校と対戦するという企画です。そこでは、証人尋問・被告人質問から、裁判官を説得するために行う最終意見陳述である論告・弁論までをすべて生徒たちが自身で準備して実践してもらうことになります。
大会当日までの生徒たちの準備期間はわずか2ヶ月弱しかありません。しかし、未経験の生徒が大半ですから、支援の初日に、刑事裁判における事実認定とはどうやっているのかとか、論告弁論とは何かなどと説明をしても、生徒たちに分かるはずがありませんし、刑事事件の記録を読むことも初めての生徒たちにとっては記録から事件の内容を読み取ることすら簡単なことではありません。
しかし、そうした生徒たちも大会当日までには、検察側、弁護側のそれぞれの立場から、有利な事実を証拠から抽出したうえで経験則に基づいた論理的な主張を行い、かつ、相手方の主張に対して論理的に反駁するという説得的な議論を行えるようになっています。それだけではなく、証人尋問・被告人質問では、本物の弁護士・検察官顔負けの厳しい尋問もできるようになっています。もちろん、論告・弁論における意見陳述も実に堂々としたもので、毎年のことですが、生徒たちが本番当日に見せる成長した姿には私は驚きとともに感動すら覚えます。これが最近私が法教育にハマっている理由なのです。
でも、どうして、生徒たちはこんなにも短期間のうちにこれほど難しいことができるようになるのでしょうか?その謎を解明していくこともこれからの楽しみにしたいと思っています。
執筆者情報
弁護士名 | 佐藤 鉄平 |
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こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です