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AI契約書チェック時代が到来しても弁護士が活躍できる理由

2021年05月07日岩﨑 崇弁護士

 筆者の事務所は顧問弁護士業務を主に取り扱っている。顧問弁護士に期待される役割は、顧問先のトラブルをスピード解決することはもちろん、トラブル予防の仕組みづくりをすることも大切である。具体的には、契約書の作成やチェックが業務の大半を占めている。
 事務所には複数の弁護士が所属しており、年約1000通の契約書をチェックしているが、これまでは各弁護士の知識、経験、専門家としての「勘」で対応してきた側面が大きい。各弁護士が顧問先の役に立っているという自負はあるものの、サービスの標準化という面では課題もあった。

 近頃、AIが様々な分野で発展している。「将来、AIに取って代わられる仕事は何か?」という議論も耳にするところである。弁護士業務にもAIの波は確実にやってきていて、契約書チェック分野にもリーガルテック企業各社が様々なAIを投入している。

 当初はAIに懐疑的なメンバーもいたが、事務所メンバーで話し合った結果、物は試しでLegalForceのデモ版を導入してみたところ、驚いた。とにかく速いのである。一般的な契約書書式をAIにチェックさせてみても30か所以上の修正箇所を網羅的に指摘してくれる。しかも、人間には不得意な抜け漏れのチェックもしてくれる。早速、導入を決定し、現在は当事務所の業務に無くてはならない存在になっている。

 しかし、AI契約書チェックによって弁護士の仕事が無くなるかというと、そうは思わない。なぜなら、AIは網羅的に多数の指摘をしてくれるメリットがある反面、実際の契約締結交渉の場面では、交渉相手が存在するし、締結のデッドラインがあり交渉時間は有限である。そのため、AIが指摘してくれたすべての修正箇所を反映することはおよそ不可能であり、「どの条項は修正を要求し、どの条項はそのまま受け入れるか」の取捨選択が必要である。この取捨選択の判断は、会社の規模や社風、成長ステージなど、いわば会社の個性をよく知っている顧問弁護士が、顧問先の実情に合わせてアドバイスができる(すべき)ところだからである。

 AIの導入は、弁護士の契約書チェックの業務負担を間違いなく軽減してくれる。これにより、他の業務にリソースを投下することができ、より良いサービス提供が可能になるだろう。

 

執筆者情報

弁護士名 岩﨑 崇

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事務所名 未来創造弁護士法人
事務所住所 横浜市西区北幸1-11-15横浜STビル7階
TEL 045-624-8818
FAX 045-624-8086
Webサイト https://www.mirai-law.jp/

 

こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です

 
 
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