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感謝の気持ち |
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2021年03月19日阿部 泰典弁護士
当会の弁護士会新聞2021年2月号で吉田正穂副会長が「『皆さん、拾った貴重品は交番に届けましょう!!』と声を大にして言いたくなった年の瀬でした。」と書かれている「理事者室だより」を読んで、思い出したことがありました。
あれは、昨年か一昨年のこと(年を取ると1年が早すぎて、昨年と一昨年の区別がつかなくなります。依頼者には「ちゃんと思い出して!」と言うのですが・汗)。いつものとおり仕事を終えて、自宅の最寄り駅から自宅まで歩いていると、横断歩道に長財布が落ちていることに気付きました。拾うと警察に届けないといけないからこんな時間(午前0時前後)だし面倒だから見なかったことにしてこのままにしてしまおうか、あるいは、横断歩道上だと車に踏まれてしまう可能性があるから歩道の方に移動させておうこうか、とも思ったりもしましたが、いずれにしても、悪い人に拾われたら落とし主に戻らないかもしれないと思い、ひとまず自宅まで持って行くことにしました。
自宅に着いて寝ぼけ眼の妻に財布を拾ったことを話し、「警察に届けようと思うんだけど」と言ったところ、妻も賛同してくれ、車を出してくれることになりました(私は晩御飯を食べるときに少々の飲酒をしているため運転できません)。
最寄りの警察署に着いて、警察官に財布を拾った旨を話して財布を差し出すと、私の氏名・住所・連絡先、拾った場所・時間・状況等の聴き取りがあった後、その警察官より「謝礼金(遺失物法所定の報労金:落とした物の価値の5%~20%に相当する額)の請求権は放棄でいいですね」と言われました。そう言われて、一瞬「?」と思いました。もちろん、謝礼金を期待して届けた訳でもないので、放棄でよいのですが、こちらは善意でやっているのに、選択肢を与えずに「放棄でいいですね」と言われると、素直に「いいです」と言いたくない気持ちも湧いてきて、でも一方で、自分、弁護士だし、せこいと思われたくないしなあ、とも思い、結局「(放棄で)いいです」と言ってしまいました(笑)。そして、警察官より、「先方さんにあなたの連絡先を伝えてもいいですか。」と聞かれましたので、「いいです。」と答えました。
警察官より、「じゃあ、書類を作るので、椅子に座って待っていてください。」と言われ、待っていたのですが、結構時間がかかり、警察官の書類作成が終わって書類の控えをもらって開放されたのは、午前1時を回っておりました。
これだけのことをしたのだから、財布を落とした方から、謝礼は無くても、お礼の電話一本くらいあるよなと思っておりましたが、結局、お礼の電話が掛かってくることはありませんでした。私は、少し寂しい気持ちになりました。
吉田副会長は、財布を拾われた方に、きっと多額の謝礼金をお支払いされていると思うのですが(笑)、財布を落とした方は、大切な物を届けてもらったのですから、謝礼金の請求が無かったとしても「せめて、お礼の電話一本くらいしましょう!!」と声を大にして言いたくなった昨年?一昨年?でした。
執筆者情報
弁護士名 | 阿部 泰典 |
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事務所名 | 横浜パーク法律事務所 |
こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です