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より良い正解を求めて |
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2020年10月16日葛山 直行弁護士
ようやく秋の気配が訪れたと思っていると,冷たい雨に襲われ,すぐにでも冬に移行しそうな気配である。
緊急事態宣言の発令期間は,自宅で仕事をする人,この機に休息を取る人,いつもと変わらず出勤する人,さまざまであった。弊所でも,特に小さな子どもがいる弁護士はウィルス対策を徹底し,出勤をできる限り減らし,仕事量も抑えていた。その一方で,私は,相手方代理人からかかってくる電話の対応や,複合機を使用して大量の書類を印刷する必要があることもあり,町に人通りがほとんどない中,リスクを抱えながら,平均的な弁護士よりは多く出勤していた。仕事量を抑えた同僚と私は置かれた環境も異なるので,どちらが正解と言うわけではない。
前置きが長くなってしまったが,正解がないと言うのは,弁護士が引き受けた案件に関しても同じである。
もちろん,貸したお金を返してほしいと言う案件は,借りたまま返してくれない人からお金を返してもらうことこそが正解である。
しかし,たとえば離婚事件では,すぐに離婚できれば正解なのかと言うと,必ずしもそうではない。代理人を通じて,互いに言うべきことを言う中で判明する事実や気づくことがあり,それによって,当事者の気持ちが落ち着き,納得することがある。特に,子どもがいない夫婦の場合,離婚によって当事者の関係性は断たれるため,その機会は離婚の時までである。そう考えると,結論に至るまでの過程が大事だと思うことがある。
引き受けた案件をどのように進めるのが依頼者の方にとって良いのか,あるいは,既に終了したあの案件の終わり方は正解だったのだろうかと悩むのは,おそらく全ての弁護士に共通することである。
このコラムを読んでくださっている方が,今後もし弁護士に関わる必要が生じた際には,目の前にいる「先生」と呼ばれるその人も,同じように悩みながら依頼者にとっての正解を模索しているのだと考えると,少し見方が変わるかもしれない。
執筆者情報
弁護士名 | 葛山 直行 |
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事務所名 | 川崎つばさ法律事務所 |
事務所住所 | 川崎市川崎区駅前本町10-5クリエ川崎11階 |
こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です