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宵越しの銭は持たねぇ

2020年06月19日野村 拓也弁護士

 "宵越しの銭は持たない"
 カッコいいような、ちゃらんぽらんなようなこの言葉は、その日に得た収入はその日中で使ってしまうという江戸っ子の気質を表したものです。
 古典落語『芝浜』の主人公をはじめ落語の登場人物はそのような気質で表現されているため、関西出身の私は、「江戸っ子というものはそんなものなのか~」と漠然とした認識を持っていました。

 そもそも、江戸っ子は、何故宵越しの銭を持たないのでしょうか?
 その大きな理由のひとつとして言われているのが、江戸の火事の多さです。
 当時は今の様に消防車も消防ホースもなく、消火方法といえば燃えている家屋の周りの建物を打ち壊して延焼を防ぐことしか手がありませんでした。
 5年に1回は大火に見舞われた江戸の人々は、財産を自宅に置いていても火事が起こると全て失ってしまうため、貯めておいても意味がなかったのです。
 火事という生命身体に対する脅威が原因で、江戸っ子たちは宵越しの銭を持てなかったのです。

写真

 ところで、先日ようやく神奈川県も緊急事態宣言が解除され、国内の新規感染者数も諸外国に比べると落ち着いていますが、緊急事態宣言中には店舗に休業要請が出され、「ステイホーム」が"実質的に"義務付けられました。
 日本中でリモートワークが推奨され、弁護士も対面相談が基本だったものが電話相談やzoom等を用いたオンライン相談を実施する方が多くなった気がします。
 新型コロナという生命身体に対する脅威が原因で、今までの生活を変化せざるを得なくなりましたが、私は、心のディスタンスは離れないようにしなければ...と感じています。

 宵越しの銭を持たない訳にもいかない先行き不透明な今日ですが、早く「よそう。また夢になるといけねぇ」とは言わず、特別定額給付金の10万円をパーッと消費して旅行とか宴会でも出来るようになる日が来ることを楽しみにしています。

 

 

執筆者情報

弁護士名 野村 拓也
事務所名 未来創造弁護士法人
事務所住所 〒220-0004
横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビル7階
Webサイト http://www.mirai-law.jp/

 

こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です

 
 
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