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大相撲と裁判 |
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2019年04月05日稲田 裕一郎弁護士
相撲が好きだ。
楽しくて仕方がない。相撲にはドラマがあり、神事でありながら娯楽でもある。そんな相撲にこの1年ほどでどっぷりハマってしまった。
立ち会い、というものがある。取り組みの初めに、土俵上で力士がぶつかり合う、あの瞬間のことである。サッカーで言うところのキックオフだろうか。
立ち会いは、行司の「はっけよ~い、のこった!」という掛け声で始まると思っている人がいる・・・かつての私である。
では、どのようにして始まるか。それは、仕切りを挟んで向かい合った力士が、お互いの呼吸が合った瞬間に、双方両手をついて立ち上がってぶつかり合うのである。立ち会い不成立、すなわち息が合わないことはままあり、その場合は仕切り直しとなる。特に、きちんと双方が土俵に手をついていないときなどは、すでに力士が組み合っていても、行司が「まだまだ」と両者を引き離すこともある。
先ほどの「はっけよい!」や「のこった!」という掛け声は、立ち会いが成立した後に、行司から発せられるものであり、一説には力士を鼓舞するために発せられるものとされている。
もし、裁判がこの方式だったらどうだろう。
民事訴訟の話になるが、弁護士が裁判所において主張や反論をするときは、書面を提出し、裁判官に対し「陳述します」と述べることがほとんどであり、この行為は「陳述」と呼ばれている。
例えば、原告・被告それぞれの弁護士の息をぴったり合わせて「「陳述します」」と述べなければ陳述として認められないことになると非常に困ったことになりそうだ。勢いよく「陳述します!」と述べても、裁判長から「まだまだ」と制されることもあるかも知れない。あの弁護士はいつまで経っても陳述ができない、などと陰口を叩かれたり、反対に法律事務所のホームページに「陳述に定評があります!」などの売り文句を載せる弁護士もいたりするかも知れない。陳述が上手くでき、裁判長からいいタイミングで「はっけよい!」と掛け声がかけられ、双方弁護士が鼓舞され、素晴らしい裁判になり、名裁判として語り継がれることもあるかも知れない・・・
・・・などと裁判所の待合室で想像をしていたら私の名前が呼ばれたようだ。
今日の陳述は少しだけ緊張する。
執筆者情報
弁護士名 | 稲田 裕一郎 |
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事務所名 | 弁護士法人権田総合法律事務所 |
事務所住所 | 神奈川県横須賀市久里浜4-10-12 ヤマシチビル5階 |
TEL | 046-833-2927 |
FAX | 046-833-2928 |
こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です