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便利さと引きかえに失ったものは? |
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2013年10月04日三浦 靖彦弁護士
中学時代、ベッドに寝転びLPを聞きながら思った。
A面が終わったら、ステレオの所まで行き、B面に裏返し、B面が終わったら、クリーナーで盤面を拭いてレコードジャケットに納める。次のレコードを選んで、ジャケットから出して、クリーナーで拭いてからターンテーブルにそっとおいて針を落とす。そして、ベッドに戻って寝転ぶ。これは、いかにもめんどくさい。
自動的に、レコード盤が次々とかかる個人向けのステレオはないものかと。
その後、録音メディアが進化して、何枚ものLP・CDをカセットやMDに録音して連続再生できるようになった。
さらに、メモリーオーディオの登場である。
自宅のPCを確認してみると、保管されている音楽データは、約60日分とある。つまり、2ヶ月間、24時間、音楽を流し続けられることになる。
これで、私の中学時代の夢は叶った・・・・・のであろうか。
その音楽の聴き方は、中学時代より充実しているだろうか。
中学時代に買ったLPは小遣いを大事に貯めて、下調べをした上でレコード屋で2枚も3枚も視聴させてもらった上で買ったものだから、毎日のように聴いたものだった。
そして、レコードをターンテーブルに乗せる行為は、ジャケットから出したレコード盤の独特の香りと相俟って、これから音楽を聴くんだ、という、一つの儀式のようなものであった。
ところが、最近は、ポケットの中のメモリーオーディオに1万曲以上の音楽が入っていて、なんの「儀式」もなく、ダダ漏れのように音楽を聴いている。
ネットで購入した音楽「アルバム」も、1曲1曲が1万曲の中に埋もれ、「アルバム」としての全体の曲の構成などに気も配らない聴き方になっている。極端な場合は、気に入った曲だけつまみ食いのように購入する始末である。
便利になることは、扱いがぞんざいになることかもしれない。
そして、話は、どうも音楽だけで止まるものではなさそうだ。
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