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ネット上の名誉棄損 |
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2012年10月19日最所 義一弁護士
インターネットの普及によって、誰もが気軽に意見を発信することができるようになりました。
個人が気軽に意見を発信できるというのは、それ自体、素晴らしいことなのですが、気軽な情報発信は、ともすれば「気軽な」名誉棄損行為を生み出してしまいます。
自分のパソコン上で日記を書くような軽い気持ちで、掲示板に投稿する文章を書いてしまい、『投稿する』のボタンを押してしまう、その結果、何千、何万という人がその投稿を見ることになってしまう・・・。
投稿するのは、簡単ですが、一度なされた投稿を削除することは非常に大変です。気軽な気持ちで行った投稿を事後的に消そうとしても、掲示板の運営者が協力してくれない場合には、削除することは事実上不可能です。
仮に裁判所に仮削除の仮処分を求めたとしても、自らの意思で発信した情報については、発信者からの申立てを裁判所は認めてくれないのが通常です。投稿記事によって、批判された人から投稿者が削除を求められることも実際にはよくありますが、投稿者単独では削除することができず、大変な思いをされているケースも非常に多く存在しています。
また、匿名だから自分が投稿したことは分からないというのは間違いです。どこのプロバイダを経由して、投稿されたかのかという記録は、アクセスログとして残っていますので、裁判所がその投稿を名誉棄損として認めてくれれば、投稿者の特定に至ることも十分に可能です。
気軽な投稿が、他人の名誉を棄損してしまう、その結果、投稿したことが事後的に明らかになり、民事上、刑事上の責任を追及されてしまう・・・。
『投稿する』のボタンを押す前に、本当に、その内容を投稿してもよいのか、一度、立ち止まって考えるようにしてくださいね。
こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です