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賃貸借契約の相続

2023年07月12日更新相続

先日、父親が亡くなりました。父親とは、長年、疎遠になっていましたが、父親は建物を賃借しており、建物賃貸人から、父親の荷物を処分して欲しいとの話がありました。
建物賃貸人は、すぐ対応して欲しいとのことですが、対応した場合、何か問題が生じることがありますか。

 賃借人である被相続人が死亡しても、当然には賃貸借契約は終了とはならず、被相続人の賃借人としての地位は、被相続人の一身専属権に該当しないため、原則として相続人に承継されることになります。

 相続人が1人であれば、その相続人が被相続人の賃借人としての地位を承継します。

 相続人が複数いる場合には、遺産分割が終わるまで、相続人全員が法定相続分に応じて共有して賃借権を相続することになります。

 他方、相続人が家庭裁判所において相続放棄を申し出てそれを認めてもらえれば、はじめから相続人ではなかったことになり、被相続人の財産も負債も相続することがなく、上記賃借人としての地位も承継することはありません。

 しかし、相続人が、物件内に残された残置物を処分等すると、相続を承認した(これを「単純承認」といいます。)とみなされて、相続放棄することができなくなってしまう可能性があります。

 残置物の中で、価値のないものを形見分けとして持ち帰る程度であれば、通常、問題になることはないと考えられますが、それを超えて、骨董品や貴金属などの価値のあるものを処分等すれば、単純承認をしたものとみなされてしまいます。

 ですから、賃貸人からの意向に基づき安易に応じてしまうと、相続放棄ができなくなってしまうことになりかねません。

 賃貸人や管理会社には迷惑をかけるかもしれませんが、事情を伝え、慎重に対応する必要があります。

 その他、関連する具体的な対応については、お近くの弁護士や弁護士会にご相談ください。

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回答者情報

弁護士名 青山 良治
事務所名 横浜ユーリス法律事務所
事務所住所 神奈川県横浜市中区日本大通18番地KRCビル403B
TEL 045-651-6635
Webサイト https://www.jurislaw.jp

 

こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です

 
 
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