神奈川県弁護士会とは
- 神奈川県弁護士会の概要
- コンプライアンス
- 話し合いでトラブル解決
- 弁護士と司法書士などとの違い
- 司法を学ぶ
- 逮捕された時
- 贖罪寄付
- 弁護士コラム
- 広報誌
- アクセスマップ
- 問合せ先一覧
- こんな時どうする?~ひとくちお悩み相談~
- かなべん動画
- 現在の場所
- ホーム
- 神奈川県弁護士会とは
- こんな時どうする?~ひとくちお悩み相談~
火事を起こした隣家に責任を問えるのか? |
---|
2023年01月11日更新近隣問題
私の実家は木造家屋で、同じような古い一軒家が立ち並ぶ住宅街にあります。
先日、実家に住む両親から真夜中に連絡があり、なんと、すぐ隣の家で火事が起こり、長時間にわたる消火活動により火は消えたものの、実家の一部も焼け焦げてしまったということでした。
幸い両親はすぐに異変に気が付いて避難したので無事だったのですが、実家の建物や家財は大変な被害を受けており、両親は途方に暮れています...。
火事を起こした隣家の住人に、私の実家の建物や家財の補償をしてもらうことはできないのでしょうか。
火元である隣家の住人と被害にあったご両親との間に何ら契約関係が無い場合には、ご両親は隣家の住人に対し、不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)として建物や家財の補償を求めることが考えられます。
この点、隣家の住人が故意ではなく過失により火事(失火)を起こしたという場合には、失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)が適用されるため、同法の「重大ナル過失」が認められない限り、失火者に対する民法709条に基づく損害賠償請求はできないこととなります。
被害にあった方からすると理不尽な法律のように思えるかもしれませんが、失火責任法は、木造家屋が多くひとたび火災が起きると甚大な賠償責任が生じ得るわが国において、失火者の賠償責任を限定する趣旨で明治時代に定められたものであり、非木造の建物が増えた現在(本記事掲載開始日時点)の火災事故においても適用されています。
そのため、本件でも隣家の住人の失火に「重大ナル過失」があったのかどうかを確認する必要があります。消防機関が作成する火災原因調査書類等の資料を取得し、火災の原因や火災発生前の隣家住民の行動を明らかにしたうえで、過去の裁判例と照らし合わせて「重大ナル過失」が認められるかを判断していくことになりますが、資料の収集や裁判例との照らし合わせを適切に行うことは容易ではありません。早めに弁護士への相談・依頼を行うことが望ましいところです。
なお、被害者側・加害者側のいずれの側においても、火災事故によって生じた損害を補填するための保険を使用できる場合があります。加入していることに気づいていない・忘れてしまってる場合もありますので、保険の有無の確認も是非行うべきでしょう。
関連情報
総合法律相談
法テラス相談援助利用による近隣問題無料法律相談
回答者情報
弁護士名 | 松原 雄輝 |
---|---|
事務所名 | 弁護士法人大西総合法律事務所 横浜事務所 |
事務所住所 | 神奈川県横浜市神奈川区金港町1-7 横浜ダイヤビルディング7階 |
こちらに記載の事務所情報等は執筆当時の情報です