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会長声明・決議・意見書(2014年度)

死刑執行についての会長声明

2014年09月12日更新

 本年8月29日、東京拘置所及び仙台拘置支所において死刑確定者各1名に対する死刑が執行された。この執行は、本年6月26日の死刑執行の際に、当会を含む多くの弁護士会や日本弁護士連合会が今後の死刑執行を停止するよう抗議声明を発表してからわずか2ヶ月後になされたもので、遺憾である。

 死刑は、かけがえのない命を奪う刑罰である一方で、刑事事件には常に冤罪の可能性があり、ひとたび死刑が執行されてしまえばもはや取り返しがつかないという恐ろしさを内包している。

 我が国においては、4つの死刑確定事件(免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件)について再審無罪が確定しており、また、本年3月27日には、死刑判決が確定していた袴田事件について再審開始決定が出され、更に、死刑執行の停止と拘置の停止が決定されており、再審請求がなされている死刑確定者に対する執行は、とくに慎重な対応が求められるところである。

 しかるに、今回仙台拘置支所において、死刑を執行された死刑確定者は、公判段階において一貫して殺意を否認しており、死刑確定後も再審請求を行っていた。本年8月6日に第3次再審請求の特別抗告が棄却された後も、直ちに第4次再審請求のための準備をして弁護人との面会が予定されていたところであり、死刑確定者の再審請求の利益を奪う死刑執行は許されるべきでない。

 今日、死刑の廃止はもはや国際的な趨勢であり、現在、死刑を廃止又は停止している国は140カ国に及ぶ。他方、死刑を存置している58カ国のうち、昨年実際に死刑を執行した国は、日本を含め22カ国にとどまる。

 国連総会は、2012年12月に、全ての死刑存続国に対し、死刑廃止を視野に執行を停止するよう求める決議を過去最多の111カ国の賛成で採択している。

 また、日本に対しては、国連拷問禁止委員会や国連人権理事会、国際人権(自由権)規約委員会から、死刑廃止に向けたさまざまな勧告がなされており、本年7月24日にも、同委員会が、日本政府に対し、死刑廃止について十分に考慮すること等を勧告したばかりである。

 当会は、改めて、今回の死刑執行に強く抗議するとともに、死刑の執行を停止し、死刑に関する情報を広く国民に公開した上で、死刑制度の廃止についての全社会的議論を開始するよう重ねて強く要請するものである。

2014年(平成26年)9月11日
横浜弁護士会
会長 小野 毅

 
 
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