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商品先物取引法における不招請勧誘禁止規制の緩和に反対する会長声明
会長声明・決議・意見書(2014年度)
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商品先物取引法における不招請勧誘禁止規制の緩和に反対する会長声明
2014年04月25日更新
経済産業省、農林水産省は、本年4月5日、「不招請勧誘規制に係る見直し」として、商品先物取引法施行規則(規則第102条の2)を改正し、ハイリスク取引の経験者に対する勧誘以外に、熟慮期間等を設定した契約の勧誘(顧客が70歳未満であること、基本契約から7日間を経過し、かつ、取引金額が証拠金の額を上回るおそれのあること等についての顧客の理解度を確認した場合に限る。)を不招請勧誘(顧客の要請によらない訪問・電話勧誘)の禁止の適用除外規定に盛り込むという同規則改正案(以下、「本規則案」という。)を公表した。
しかしながら、そもそも2011(平成23)年1月施行の商品先物取引法に不招請勧誘の禁止規定が導入されるに至ったのは、商品先物取引による深刻な被害が長年にわたって発生し、度重なる行為規制強化のもとでもなおトラブルが解消しなかったためである。
しかも、同法改正審議の際の衆議院の附帯決議において、「商品先物取引に関する契約の締結の勧誘を要請していない顧客に対し、一方的に訪問し、又は電話をかけて勧誘することを意味する『不招請勧誘』の禁止については、当面、一般個人を相手方とする全ての店頭取引及び初期の投資以上の損失が発生する可能性のある取引所取引を政令指定の対象とすること」とする一方で、「さらに、施行後1年以内を目処に、規制の効果及び被害の実態等に照らして政令指定の対象等を見直すものとし、必要に応じて、時機を失することなく一般個人を相手方とする取引全てに対象範囲を拡大すること」とされていた。
それにも関わらず、本規則案を導入することになれば、70歳未満の個人顧客に対する商品先物取引の不招請勧誘を全面的に解禁するに等しい結果となるものであって、法律が個人顧客に対する無差別的な訪問電話勧誘を禁止した趣旨を没却するものであり、到底認められない。
同時に、本規則案は、「委託者等の保護に欠け、又は取引の公正を害するおそれのない行為として主務省令で定める行為を除く」(商品先物取引法214条第9号括弧書き)とする法律の委任の範囲を超え、施行規則(省令)によって法律の規定を骨抜きにするものであって、到底容認できるものではない。
なお、本規則案は熟慮期間を設けているが、かつての海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律に類似規定が設けられていたものの、同規定は顧客保護のためにはほとんど機能しなかったのが実情である。
さらに、不招請勧誘禁止規定の見直しに関しては、2012(平成24)年8月に産業構造審議会商品先物取引分科会が取りまとめた報告書において、「不招請勧誘の禁止の規定は施行後1年半しか経っておらず、これまでの相談・被害件数の減少と不招請勧誘の禁止措置との関係を十分に見極めることは難しいため、引き続き相談・被害の実情を見守りつつできる限りの効果分析を試みていくべきである。」として、当面、商品先物取引に関する不招請勧誘規制を維持することが確認されると同時に、「将来において、不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として、実態として消費者・委託者保護の徹底が定着したと見られ、不招請勧誘の禁止以外の規制措置により再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である。」とされたのである。
しかし、現在も、個人顧客に対し、金の現物取引やスマートCX取引(損失限定取引)を勧誘して顧客との接点を持つや、すぐさま通常の商品先物取引を勧誘し、多額の損失を与える被害が相当数発生している実情を踏まえれば、現時点において本規則案のような不招請勧誘規制の緩和を行うことにより、再び被害が拡大することが強く懸念されるのであって、上記報告書にも反することになる。
当会は、平成26年1月16日にも会長声明を公表して、総合取引所の下でも、商品先物取引の不招請勧誘禁止は維持すべきであるとの意見を表明したものであるが、消費者保護の観点から、商品先物取引の不招請勧誘禁止規定を骨抜きにするような本規則案には、断固反対する。
2014(平成26)年4月25日
横浜弁護士会
会長 小野 毅
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