2014年02月13日更新
平成26年1月7日、横浜地方検察庁川崎支部(以下「地検川崎支部」という。)内の検察官用の取調室で弁護士が被疑者と接見していたところ、被疑者が逃走するという事件が発生した。逃走事件当時、被疑者は、警察官・検察事務官の立会のもと、弁護士といわゆる「面会接見」を行っていたという。
本来被疑者には、刑事訴訟法39条1項により、立会人なしで行われる弁護士との「接見」が保障されてしかるべきであるところ、これまで地検川崎支部において、本件に限らず、秘密交通権の保障された「接見」ではなく、いわゆる「面会接見」が行われてきたのは、同支部に専用の接見室がなかったためである。
この事件を受け、法務大臣は同年1月10日、地検川崎支部に接見室を設置する旨を表明した。当会としては、地検川崎支部に専用の接見室が設置されることにより、被疑者と弁護士との秘密交通権が保障された接見が行われるようになることから、この法務省の方針には賛成する。
そもそも刑事訴訟法39条1項で保障される接見交通権は、憲法34条及び同37条3項で定められる弁護人依頼権に由来し、被疑者・被告人が弁護人による援助を受けることができるための刑事手続上最も重要な基本的権利に属するものである。そして、かかる重要な権利である接見交通権を保障するためには、全ての地検支部に専用の接見室を設けることが必要不可欠である。
しかしながら、神奈川県内では地検川崎支部の他、同相模原支部にも専用の接見室が未だ設置されていない。
そこで、当会は地検川崎支部だけでなく、同相模原支部にも速やかに専用の接見室を設置するよう要望する。
平成26年2月12日 横浜弁護士会 会長 仁平 信哉
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