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会長声明・決議・意見書(2013年度)

不招請勧誘禁止規制を設けないまま商品先物取引を総合取引所に導入することに反対する会長声明

2014年01月22日更新

  1. 証券・金融・商品を一括して取り扱う総合取引所は、平成24(2012)年改正金融商品取引法によって可能となった。現在、金融庁は、同改正法の施行に向けた政省令の準備を進めている。そして、内閣府副大臣は、平成25(2013)年6月19日の衆議院経済産業委員会において、「商品先物取引についても、金融と同様に、不招請勧誘の禁止を解除する方向で推進していきたい」旨の答弁を行った。これは、総合取引所において商品先物取引業者に対しても監督権限を有することとなった金融庁が、総合取引所で行われる商品先物取引について、不招請勧誘禁止規制を設けない方針であることを示したものである。
  2. しかしながら、そもそも、商品先物取引についての不招請勧誘禁止規制は、商品先物取引業者が、不意打ち的な勧誘や執拗な勧誘により、顧客の本来の意図に反した取引に引き込み、多くの被害を生んできたという被害実態と、再勧誘の禁止等の勧誘規制の強化策では十分な効果が得られなかったことを踏まえ、2011(平成23)年1月1日施行の商品先物取引法により、ようやく実現したものである。
    そして、2012(平成24)年8月、経済産業省構造審議会商品先物取引分科会において、「将来において、不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として、実態として消費者・委託者保護の徹底が定着したと見られ、不招請勧誘の禁止以外の規制措置により再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である。」との報告書がまとめられ、商品先物取引についての不招請勧誘禁止規制を維持することが確認されている。
    それにもかかわらず、不招請勧誘禁止規制の施行からわずか3年余りで、上記分科会の報告書が指摘する実態の検証もなされないまま、商品先物取引における不招請勧誘の禁止を解除するのは極めて不当である。
  3. 不招請勧誘規制によって商品先物取引被害は減少しているが、同規制を潜脱する業者の勧誘によって消費者が被害を受ける事例がなお相当数報告されており、不招請勧誘禁止規制を行わないまま商品先物取引を総合取引所に導入すれば、知識経験が十分ではない個人投資家が取引に巻き込まれ、再び商品先物取引被害が増加するおそれが非常に高い。
    よって、当会は、消費者保護の観点から、不招請勧誘禁止規制を行わないまま商品先物取引を総合取引所に導入することに強く反対し、改正金融商品取引法施行令には、商品先物取引に関する市場デリバティブを加えるよう求めるものである。

 

2014(平成26)年1月16日
横浜弁護士会
会長   仁平  信哉

 
 
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