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会長声明・決議・意見書(2013年度)

死刑執行に関する会長談話

2013年12月18日更新

本年12月12日,東京拘置所において1名,大阪拘置所において1名の死刑確定者に対する死刑が執行された。

谷垣法務大臣が就任して4回目の死刑執行であり,今年になってすでに8名の死刑が執行されたことになる。

もとより,死刑は,かけがえのない命を奪い,更生と社会復帰の余地を完全に否定する刑罰である。そして誤判に基づいて執行がなされてしまった場合には,もはや取り返しのつかない過ちを犯すことになる。

我が国においては,4つの死刑確定事件(免田事件,財田川事件,松山事件,島田事件)について,再審無罪判決が確定している。死刑事件ではないが,最近でも,布川事件,足利事件,東電OL殺人事件等,重大事件での再審無罪判決が確定している。刑事裁判では誤判の可能性が常にあるのであり,この可能性と死刑制度が抱える諸問題を様々な角度から洗い出して,広く社会が問題点を共有し,改革の方向性を探るべきである。

日本弁護士連合会は,2011年10月に開催された人権擁護大会において「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め,死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択した。また,本年2月12日には,谷垣法務大臣に対し「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し,死刑の執行を停止するとともに,死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し,死刑制度に関する検討課題について国民的議論を行うための有識者会議を設置し,死刑制度とその運用に関する情報を公開すること,そのような議論が尽くされるまですべての死刑の執行を停止することを求めている。当会もまたこれまで,政府に対し,同様の要請を繰り返してきた。かかる要請を一顧だにせず,死刑執行を繰り返すことは,極めて遺憾であると言わざるをえない。

死刑廃止は国際的な趨勢であり,死刑を廃止又は停止している国は140か国となっている。死刑を存置している国は58か国であるが,2012年に実際に死刑を執行した国は日本を含め21か国に止まる。昨年12月20日には,国連総会において,死刑廃止を視野に執行を停止するよう求める決議が過去最多の111か国による賛成多数で採択され,また,本年5月31日には,国連拷問禁止委員会の総括所見が発表され,日本は死刑制度を廃止する可能性についても考慮するよう勧告されたばかりである。

当会は,改めて,今回の死刑執行に抗議するとともに,死刑の廃止について十分な国民的議論を尽くすまでの間,死刑の執行を停止するよう,重ねて強く要請するものである。


2013(平成25)年12月18日
横浜弁護士会
会長 仁平 信哉

 
 
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