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一斉登録未登録者についての会長談話
2012年12月25日更新
2012年12月20日,前日に司法修習生考試(いわゆる二回試験)に合格した司法修習修了者2080人のうち,1370人が日本弁護士連合会に一斉登録した。
同日時点での未登録者数(修習修了者から登録者,検察官・裁判官に採用された者を除いた数)は,約540人であり,これは,修習修了者全体の26%を占める。4人に1人が未登録であり,法科大学院を卒業した修習修了者が弁護士登録を開始した2007年以降最多となった。
この未登録者のほぼ全員が弁護士志望でありながら就職先ができずに不本意ながら未登録となったと推察できる。もちろん,その後,就職することができ登録をする者も少なからずいるが,確実に,法律事務所に就職できるとは限らない。
すなわち,従前は,就職先の法律事務所等で新人弁護士が先輩弁護士から指導を受けることで,実務能力を身につけていくのが一般的であったが,現在では,これがかなわず,事務所内独立採算制(いわゆるノキ弁)や即時独立(いわゆる即独)など,OJT(On-the-Job Training)を受ける機会の乏しい状態で就業している新人弁護士が増えている。
このような弁護士の就職環境の悪化の一因は,法曹人口増員の目標値の前提となった需要予測が外れ,需給ギャップが生じていることにあることは疑いようがない。
かかる状況は,適正な法曹人口政策の実施によって早急に改善されるべきであり,司法試験合格者数を現在の2000名程度から,速やかに,年間1500人程度とすべきである。
さらに,司法修習生の経済面にも目を向けなければならない。
第65期司法修習生から,修習期間中の給与を支給する給費制が打ち切られ,生活費を貸与する貸与制が実施された。これにより,修習生には,本給だけでなく,それまでに支給されていた交通費や住宅手当も支給されなくなった。一方,司法修習生は,全力を修習のために用いてこれに専念すべき義務,いわゆる,修習専念義務を負っており(裁判所法第67条2項),アルバイトその他の経済活動が禁じられている(司法修習生に関する規則第2条)。このため,修習中に生活費などのために借金をする者もいる。
これに加え,弁護士登録をする際には,各弁護士会と日本弁護士連合会に対し,登録料だけでも合計6万円~63万円の支払いが必要で,登録後も月額3万円~7万円程度の会費を支払わなければならない。若手会員の会費を減額する弁護士会もあるが,勤務弁護士になることができず,ノキ弁となったり,即時独立するほかない者にとっては,定期収入を得られないため,毎月このような金額の弁護士会費を払い続けることは難しい。このため,弁護士となる資格を得ながら,弁護士登録を断念する者も決して少なくない。
修習修了者が修習終了後直ちに弁護士として活動することができない状 況やOJTを受けられない状況は,国家的損失と言っても過言ではない。
当会は,司法試験合格者を当面1500名程度とし,直ちに司法修習生に対し給費制を復活するよう求める次第である。
2012(平成24)年12月25日
横浜弁護士会
会長 木村 保夫
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