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オスプレイの我が国への配備及び訓練に反対する会長声明
会長声明・決議・意見書(2012年度)
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オスプレイの我が国への配備及び訓練に反対する会長声明
2012年12月13日更新
声明の趣旨
米国政府に対し、オスプレイの沖縄県への配備、訓練の実施及び訓練のための厚木基地の使用に反対し、その撤回、中止を求める。
日本政府に対し、オスプレイの配備及び訓練について、米国政府に対しその撤回、中止を求めるなど、国民の基本的人権、なかんずく平和のうちに安全、平穏に生活する権利を確保する政府の責任を果たすよう求める。
声明の理由
平成24年10月1日から6日にかけて、沖縄県の全自治体及び県民が総意を挙げて反対し、また本土の多くの市民・自治体も反対する中で、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV-22オスプレイ12機が、沖縄県普天間基地に強行配備された。米国政府は、翌平成25年にかけて更に、オスプレイ12機を同基地に配備する計画を明らかにしている。
配備されたオスプレイはその後、沖縄県各地で準備飛行及び訓練飛行を繰り返しているが、11月2日の全国知事会議において森本防衛大臣は、同月中にも本土での訓練を開始する予定を明らかにした。そして本土での訓練には、岩国基地及びキャンプ富士を使用するほか、厚木基地の使用も検討されているという。
オスプレイは、開発段階から重大事故を繰り返し、量産体制に移行した後も事故が絶えず、ごく最近も平成24年4月にモロッコで墜落し、6月にもフロリダ州で墜落し、7月には2回にわたりノースカロライナ州の市街地等に緊急着陸するなど、連続して重大事故を発生させており、これまでの事故によって多数の乗員等が死亡、負傷してきている。
オスプレイは、オートローテーション機能(ヘリコプターの、飛行中にエンジンが停止しても機体が落下する際の気流でプロペラが回転する揚力を利用して安全に着陸する機能)に欠陥があることや、回転翼機モードと固定翼機モードの変換時における不安定さなどが、米国の専門家からも指摘されている。
このようなオスプレイを、宜野湾市の市街地のただ中に位置する普天間基地に配備し、訓練を行うことは極めて危険であり、ひとたび墜落等の事故が起きれば多くの住民の生命・財産を犠牲にする大惨事に至る可能性が極めて高い。
加えてオスプレイの騒音は、ホバリング時やエンジンテスト時において従来機のそれよりかなり大きく、基地周辺や飛行ルート周辺の騒音被害の深刻化も強く懸念される。
ところでオスプレイは、米軍により本年4月に作成された「環境レビュー」において、沖縄県内にとどまらず、東北地方、北陸地方、紀伊半島・四国地方、九州地方など全国6つの訓練ルートで、年間合計330回の低空飛行訓練を行う計画が明示されている。
これらの訓練ルートにおいては、従前から、厚木基地を離着陸する米空母艦載機などの低空飛行訓練が行われてきたところ、これまでにも墜落、ケーブル切断、民家の窓ガラスの損壊など、数多くの事故を発生させ、また騒音問題を惹起してきた。このような従来の米軍機による訓練に、オスプレイの上記訓練が加わり、さらに来年にはオスプレイの機数が倍増して訓練も倍増することまで予想される。
このことは、とりもなおさず日本領土内のいたるところで、日常的にオスプレイの低空飛行訓練が実施される事態の招来を意味するものである。
しかも、このオスプレイの低空飛行訓練の基地として、厚木基地が使用されるという。厚木基地は、神奈川県央地域の人口密集地のただ中に所在し、その立地条件は普天間基地にも匹敵する。
現在でも厚木基地に離発着する航空機はその飛行ルートの直下又は近接する大和市、綾瀬市、海老名市、藤沢市、座間市、相模原市、東京都町田市などの住民約200万人に重大な騒音被害を与えている。
そのうえ厚木基地に離着陸する航空機は、頻繁に墜落、不時着、落下物等の事故を発生させており、周辺住民を危険に晒してきた。なかでも昭和52年9月27日、厚木基地を離陸した直後のRF4Bファントムが横浜市緑区の住宅地に墜落し、幼児2人が大やけどを負い死亡、その母も4年余の闘病生活の末に死亡、その他重軽傷者6人を生ずる大惨事となった。厚木基地周辺ではそのほかにも多数の事故が現在でも繰り返されている。
その上、前記のとおり重大な危険を有するオスプレイが、厚木基地を頻繁に離着陸するとなれば、輪をかけて騒音被害を深刻化させると同時に、墜落その他の事故の危険を格段に増大させ、確実に周辺住民の生活に重大な被害と危険をもたらすものである。
よって、当会は声明の趣旨のとおり会長声明を発するものである。
2012年(平成24年)12月12日
横浜弁護士会
会長 木村保夫
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