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会長声明・決議・意見書(2012年度)

横浜地方裁判所相模原支部に合議制の実現を求める会長声明

2012年11月15日更新

横浜地方裁判所相模原支部は、行政改革による全国的な裁判所の統廃合が進むなか、平成6年4月、それまで家庭裁判所出張所と簡易裁判所しかなかった相模原・座間地域に設置された全国で最も新しい地方裁判所支部である。しかし、開庁以来合議事件が取り扱われたことはない。

同支部の管内人口は現在では約85万人である。支部設置から18年間で約13%も増加している。全国的にみても人口急増地域のひとつであり、今後もこの地域の重要性が更に増していくことは明らかである。

そして同支部の新受件数は民事通常第1審訴訟で年間800件、刑事通常第1審訴訟で年間453件(平成22年)となっている。同支部には裁判官が5名配属されており、合議事件を審理できる法廷もある。管内弁護士数も61名(平成24年9月)いる。合議事件を取り扱うに値する司法基盤は十分整っていると言ってよい。

しかも人口、取扱事件数のいずれもこれより少ない地裁本庁は全国に多数あり、同支部が他の地裁本庁に匹敵する大規模支部であることは明らかである。また、相模原市は平成22年4月に政令指定都市となったが、政令指定都市に設置されている全国の地裁支部で合議事件を扱っていないのは横浜地方裁判所相模原支部だけである。

ところが現在、民事では医療過誤事件等の判断に慎重を要する重大事件、刑事では法定合議事件や準抗告事件は、同支部で合議体を構成できないため、横浜地方裁判所本庁で取り扱われている。これらの事件の当事者となる相模原・座間市民は、せっかく地元に裁判所支部があるのに、地元の事件を地元の裁判所で審理してもらえず、わざわざ横浜地裁本庁まで出向かなければならない。勾留決定に対する準抗告では支部裁判所職員が記録を本庁に運ぶ時間がかかり審理が遅れることで、身体拘束が長引くという市民への直接的な不利益が生じている。

裁判を受ける権利(憲法32条)は基本的人権のひとつであり、国はすべての国民が可能な限り平等にこの権利を享受できるように司法制度を整えるべきであるが、相模原支部管轄地域の住民は、人口・取扱事件数が同支部より少ない地裁本庁管轄地域の住民に比べて、裁判を受ける権利を同様に享受できているとは言い難い状況である。

そのため、同支部の管轄区域である相模原市議会は平成20年と平成22年に、座間市議会においても平成20年に、同支部での合議制の実施を求める決議を行い、相模原市においては、合議制の実施を求める市長の要望書を地裁本庁に持参し、直接実施を要請するなど、裁判所の利用者である市民も同支部での合議制の実施を待ち望んでいる。

既に物的人的に基盤が整っている相模原支部で新たに合議制を取り入れたとしても多額の費用はかからない。相模原支部において合議事件を取り扱わない理由はない。

当会は、最高裁判所に対し、横浜地方裁判所相模原支部が発足20周年を迎える平成26年4月までに、同支部において合議事件が扱えるようにすることを求める。

 

以上

 

2012(平成24)年11月14日
横浜弁護士会
会長 木村  保夫

 
 
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