2012年10月11日更新
本年9月27日、仙台及び福岡の拘置所において、2名の死刑確定者に対して死刑が執行された。前回の本年8月3日の執行以来のものであり、2ヶ月連続となる死刑執行である。 当会は、前回本年8月3日の執行を受け、同月8日の会長声明において、「就任からわずか2ヶ月しか経っていない滝実法務大臣がどのような検討の末に執行命令を出したのか、疑問が残るといわざるを得ない。」とした。さらに、「千葉景子元法務大臣は、法務省内において『死刑のあり方に関する勉強会』を立ち上げたが、小川敏夫前法務大臣はこの勉強会を終了させ、本年3月、約1年8ヶ月ぶりの死刑執行に踏み切った。滝法務大臣が就任した後も、法務省内において、絞首刑という現在の死刑執行方法を見直すべきかの議論が進められていると報道されているが、その議論状況は公開されていない。」との指摘をした。すなわち、国民的な議論がなされないままの死刑執行は容認できない旨を表明したものである。 かかる指摘は当会独自のものではなく、日弁連においても、全国各地の単位弁護士会からもなされているが、滝法務大臣は、これらの指摘、要請を一切無視し、繰り返しの死刑執行に踏み切った。報道によれば、滝法務大臣は今般の2名の執行につき、かなり前から検討してきた結果としているが、一体どのような検討の末、執行されたのか全く不明であり、誠に遺憾という他はない。 すでに日弁連においては、死刑の存廃に関する本格的な議論が開始されており、また、当会においても、刑事法制委員会において、この問題に関するより深い議論を始めている。弁護士会内部のみならず、広く国民的な議論を行い、死刑制度に関するあらゆる角度からの十分な検討がなされるまでの一定期間、死刑執行を停止すべきことは、日弁連、並びに当会を含む多くの弁護士会が、政府に対して繰り返し求めてきたことである。 そこで、当会としては、2ヶ月連続、かつ、内閣改造直前に行われた今回の死刑執行に抗議するとともに、改めて政府に対し、死刑制度の存廃を含む十分な国民的議論を尽くすまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、重ねて強く要請するものである。
2012年(平成24年)10月10日 横浜弁護士会 会長 木村 保夫
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