2012年08月09日更新
本年8月3日、東京拘置所、大阪拘置所において、2名の死刑確定者に対して、死刑が執行された。本年3月29日には3名の死刑執行がなされており、本年の死刑執行は合計で5名となった。前回同様、国民的な議論がなされないままの死刑執行であって、誠に遺憾である。 今回、死刑が執行された死刑確定者のうちの1名は、静岡地裁沼津支部において無期懲役とされており、第一審と控訴審、上告審の判断が分かれていた。もう1名は京都地裁で死刑判決を受けた後、控訴したが、自ら控訴を取り下げたため控訴審の判断を受けていない。いずれも死刑判決の確定は2008年であり、確定から4年しか経過していない。就任からわずか2ヶ月しか経っていない滝実法務大臣がどのような検討の末に執行命令を出したのか、疑問が残るといわざるを得ない。 千葉景子元法務大臣は、法務省内において「死刑のあり方に関する勉強会」を立ち上げたが、小川敏夫前法務大臣はこの勉強会を終了させ、本年3月、約1年8ヶ月ぶりの死刑執行に踏み切った。滝法務大臣が就任した後も、法務省内において、絞首刑という現在の死刑執行方法を見直すべきかの議論が進められていると報道されているが、その議論状況は公開されていない。 これまで当会は、死刑制度について幅広い議論を行うべきと主張してきたが、上記のとおり、十分な議論がなされているとは言い難い状況であり、かかる状況の中で、短期間のうちに死刑執行が繰り返されることについて、深い憂慮の念を抱くものである。 そこで当会は、改めて政府に対し、死刑制度の存廃を含む十分な国民的議論を尽くすまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、重ねて強く要請するものである。
2012年(平成24年)8月8日 横浜弁護士会 会長 木村 保夫
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