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「行政手続における個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の制定に関する会長声明
会長声明・決議・意見書(2012年度)
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「行政手続における個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の制定に関する会長声明
2012年05月10日更新
本年2月14日、政府は、いわゆる「社会保障・税共通番号制」に係る法律(正式名称「行政手続における個人を識別するための番号の利用等に関する法律」、略称「マイナンバー法」)案を閣議決定し、国会に提出した。
この法案は、全ての国民と外国人住民に対して、社会保障と税の分野で共通に利用する識別番号(マイナンバー)を付けて、これらの分野の個人データを、情報提供ネットワークシステムを通じて確実に名寄せ・統合(データマッチング)することを可能にする制度(社会保障・税共通番号制)を創設しようとするものである。
共通番号制度については、日本弁護士連合会が、昨年7月29日付意見書において、①具体的な必要性や利用目的が全く明らかにされていない上、費用の概算も効果の試算も公表されていないこと、②プライバシー権(自己情報コントロール権)の核心的内容である情報主体の「事前の同意」による情報コントロールをないがしろにしていること、③共通番号が納税者番号として個人から事業者、事業者から税務当局への流れ(民→民→官)の中で広く利用されることに伴い、いわゆる「なりすまし」などのプライバシー侵害が多発する可能性などの問題点を指摘し、その抜本的見直しを要求してきた。しかし、その後の抜本的な再検討のないまま法案が提出されたことに対して、日弁連は本年2月16日、プライバシー権を危殆に瀕せしむる制度の拙速な法律化であるとして、本法案に強く反対する会長声明を公表した。
当会としても、(1)この共通番号制度により想定されている各行政分野(年金、労働保険、介護、生活保護、介護保険、税務等)の情報は、個人の私生活全般に及ぶ広汎なものであり、サイバーテロ等の個人情報に対する脅威も増大する現代において、情報漏えいの危険を完全に除去することはできないこと、(2)プライバシー情報は一旦漏えいすると、取り返しのつかない被害を招くおそれがあること、(3)個人情報等のマッチングの範囲については、大幅に政省令に委ねられており、行政の濫用に対して民主的統制を及ぼすことが極めて困難であること、(4)基本的人権のうちでも人格的尊厳や自己決定権に深く関わるプライバシー権を著しく侵害するおそれがあるにもかかわらず、いまだ国民に法案の内容が理解されていない可能性が高いことから、同法案に反対するものである。
2012(平成24)年5月9日
横 浜 弁 護 士 会
会 長 木 村 保 夫
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