2011年02月28日更新
本日、当会会員の前野義広弁護士が2010(平成22)年6月2日業務に関連して刺殺された事件の裁判員裁判において、無期懲役の判決が言い渡された。 判決によると、被告人は、離婚裁判で係争中の妻側の主張内容が嘘や自分に都合のよい事実ばかりであることに不満を募らせ、妻の代理人である前野弁護士から別居中の妻の住所を聞き出そうと計画し、事前にスタンガン、アウトドアナイフ等を購入用意して犯行に及んだということである。 被告人は、離婚裁判の当事者として手続に関与していたのであるから、自らの主張は、裁判手続の中で尽くすべきであるにもかかわらず、これを暴力によって実現しようとした被告人の犯行は強く糾弾されなければならない。被告人の凶刃に倒れた前野弁護士の無念は筆舌に尽くし難く、当会にとっても前野弁護士を失ったことは誠に痛恨の極みである。前野弁護士及びご遺族に対し、改めて深く哀悼の意を捧げるものである。 本年2月23日にも、当会会員が担当する離婚事件の相手方が、同会員の所属事務所のドアを蹴って壊すという同種事件が発生しているが、紛争解決の過程において、自らの主張を暴力という犯罪行為によって実現しようとすることは、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする我々弁護士の業務に対する重大な挑戦であり、断じて許されるものではない。このような手法が許容されるならば、法というルールによって紛争を解決するという社会の仕組み自体がその存立の基盤を失うことになる。 当会は、今後とも、如何なる弁護士業務妨害にも屈することなく、その対策に一層取り組むとともに、基本的人権の擁護と社会正義の実現のために、更に邁進することを、ここに宣明する。
2011(平成23)年2月28日 横浜弁護士会 会長 水地 啓子
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